プロローグ1
初投稿です。暇な時にでも読んでみて下さい。
まいったなぁ、と頭のなかで呟きながら鬱蒼とした木々のなかを俺達は歩いている。
3時間前~
「ぱぱぁ、おそと木がいっぱいだよぉ」
「そっか、そっか、はぁ?!」
何いってんだいと思い、玄関開ければ森のなか...。
何が起こっているのかわからず、3歳の娘を見れば、頭に小鳥が羽を休めとまっている。見たことない鳥だ。
イヤな予感を感じつつ、しばし歩くことにする。娘は、俺と手を繋ぎ歩く、鳥はとまったままだ。しかし此処はどこなんだと思いながらも、なんとなく確信めいたものを感じる。
(異世界、転移.....なのか?)
異世界...ラノベの世界は好きだ、かなり読みまくった、自分自身にあの病があるのでは?と、疑いをかけながらもハマってしまった、この年齢で(32歳です。)確定か? 確定だな。そんな自問自答し娘を見る、鳥が3匹に増え、後ろからうさぎ?らしき生物やらなんやらが数匹ついてくる。当の娘といえばぽやんとしたニコ顔で嬉しそうだ。娘、息吹は生き物にやたらとなつかれる、どんなレベルかというと、公園にいくと他所様のペット達が飼い主を放り出し息吹に擦り寄ってくるのである、公園中のペット達がだ。それだけに留まらず息吹と同世代の子供達までも親の手を離れ集まってきてしまうのだ。さながら動物園のふれあいパークだ。そんなレベルなのだ。そんな息吹に声をかける
「疲れてないかい?大丈夫か?」
「へいきでしゅ、たのしいのー、ぱぱはー?」
ニコ顔で俺を見る、その姿にほっこりし、
「大丈夫だよ、楽しいよ、でも手だけは離さないようにね」
「はぁーい」
そんな、他愛ない会話をしつつ俺も落ち着きを取り戻し、切り替えることにした。
そして現在
此処は異世界、たぶん広い森のなかなのだろう。ということは異世界お約束の魔物もいる、絶対、間違いない。だって息吹の後ろにいる子達ってあきらかに違う、違うのだ。小鳥たちは色がなんか派手すぎる、自己主張のかたまりだ。うさぎらしき物も耳の間から触覚?らしきものが2本のびている。その他の生物達も全てみたことがないのだ。とりあえず今のところは狂暴そうなのはいない、さらに増えた生物達を見る、敵意はないように思うが警戒だけは怠らないようにしよう。異世界だろうがなんだろうが、この地で息吹を守り、育て上げる事が俺の役目だ。1本の軸を明確にし、覚悟を決めた。その時息吹がニコ顔のまま大きな声をだし
「あー、おおきなワンワンだー」と俺の手を離れ駆け出してしまった。焦りとイヤな汗が一斉に毛穴から吹き出るのを感じた、慌てて後を追いかけ息吹の手をとり、息吹と同時にその存在を見る。
"おおきなワンワン"は驚いたのか、かなりの速さのまばたきをしていた。マーキングしながらも...。
お互い無言なまましばし、この状況を作り出した我が愛娘は興奮を隠しきれず鼻をふんふん鳴らしていた、そして一言
「きれいなワンワンねー」
それで俺も覚醒し、何の気なしに
「ごめん、君を驚かせる気はなかったんだ、本当にごめん」
[気にしてない]
「「!」」
驚いた、会話が出来ることに、また相手もそうなのか驚愕の表情を浮かべている、そしてまた無言になるかと思いきや、話せるとわかった息吹は目をキラキラさせ
「ワンワンしゃん?、おおかみしゃん?」
[わ、わんわん? 私は銀狼種なの名前はファリスよ、あなたたちは?]
「いぶきでしゅ、3しゃいでしゅ」
「俺は、あらしでしゅ....」
か、噛んでしまった。鳥肌がたってしまった。だってそうだろうある病を抱えてるとはいえ32のおっさんなのだ、かわいいわけがない
そんなおっさんに銀狼のファリスさんは緩んだ表情でよろしくといってくれた。
自己紹介も終わり、息吹はすっかりファリスさんになついてしまった。きゃーきゃー言いながら、すりすりしている。
しかし、このファリスさん本当に綺麗なのだ、銀色に輝く毛並みといい、険しくも優しそうな瞳といい、きっと誰もが見惚れてしまうと思う。銀狼種という種族も孤高という感じでかっこいい、...ヤバい、ある病が顔をだしそうだ。そんなことを思っていたら、
「くぅ~、ぎゅるる~」
息吹のおなかが正午をお知らせします。
「ぱぱぁ、おなかがしゅいたの~、ふぁりしゅといっしょにおべんとたべよー」
うん、今日は公園で食べる予定だったから、大量に作ってきている、ファリスさんにも食べてもらおう。
「よし、用意するから待っててな、ファリスさんも良ければ食べてください。」
鞄から大量の弁当をだし、ビニールシートの上にならべれば準備完了だ。その様子を見ていた、ファリスさんは真剣な表情とは裏腹に涎が垂れていた。いい、ギャップが素晴らしい、萌えたぜファリスさん!
「ふぁりしゅ~、ぱぱのごはんスゴくおいしいんだよ~。いぶ、大好きなんだぁ」
[楽しみ..、じゅるり]
「ハハ、じゃあいただきますしようかぁ」
なんか、気分的に幸先はいいような気がする。かわいい我が娘、とても綺麗なおおかみさん、静かなランチタイムから始まる異世界ライフ。色々と考えなければならないがまずは、腹ごしらえだ。
「「いただきますっ」」
読んでいただきありがとうございます。
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