Dearest
初めて会った日は、まさかこんなに君を好きになるなんて思ってもみなかった。
だって…
こんなに弱々しいんだもん!!
「五十嵐〜イチゴ大福は??」
私たちの大切なもの。
「あっ、今日は持ってないです…。」
同じ年なのに敬語ってところからして変わってる。
「今日は…って今日はまだ終わってないじゃん!!」
それに何かおどおどしてるの。
「え…。今日は終わってないって、あの…」
そして究極に鈍感なやつ。
「学校終わってからどっか行こうよってこーと!!」
「でもあの…」
「嫌なの?!あたしとどっか行くの!!」
…って!!これじゃまるで私がデートに誘ってるみたい。
やっぱりこいつと居るとイラつく。
「嫌じゃない。…ただ葉山さんが恥ずかしいんじゃないかなって…思って。」
だけど、どうしようもなく心が温かくなるんだ。
もっと自信持ってもいいのに。
そんなに悪くないと私は思うけどな。
ただみんなとは少しリズムが違うだけ。
私もそれに気が付くのにずいぶん時間、かかっちゃったけど。
今は分かる。
君は、温かくて、優しくて、素敵な人だ。
「五十嵐がいつも行く所に連れてって♪」
困った顔をしている君が可愛くって仕方ない。
君がいつも歩く道。
君が好きな風景。
君が愛しいと思うもの全てが私も愛おしい。
「…ここは、僕のお気に入りの場所です!!」
「じゃあ今日から私も〜♪」
「え〜…」
君と居るとなぜか、時間がゆっくり流れていくような気がする。
「あ…危ない!!」
「ありがと…って何で?私転びそうだった?」
視線を足元へうつす君。
「…良かった。」
「…ってそっちの心配かよ!!」
「あ、ごめんなさい…でも。これ、はい!!」
緑の葉っぱが1,2,3,4枚。
「四つ葉のクローバー?可愛い〜♪よく気付いたねぇ!!」
私の気付かないものに気が付く君が好きだなぁって、しみじみ思ったりして。
「葉山さんが、幸せになりますよ〜に…」
「…顔、真っ赤だよ!!」
照れた横顔が可愛くて、愛しくて。
慣れないこと、言うからだよ。
「…私と五十嵐が!幸せになれますよ〜にでしょ。」
二人が幸せになりますように。
「葉山さん、顔…真っ赤ですよ。」
生意気だな、こいつ!!
「うるさいなぁ!!」
「慣れないこと言うから…」
やっぱりムカつく!!
「照れてる…」
「照れてないし!!てゆーか五十嵐ムカつく〜」
なんて言いながら、楽しくってしょうがない♪
「…優花?」
「先輩…!」
よりによって…こんな時に先輩に会っちゃうなんて…。
「え…彼氏(笑)?」
あんなにキラキラしてたのにな。先輩の笑顔。
「お前こういう系がタイプだったの??まじで〜!なくね?(笑)」
あんなに好きだったはずなのにさ…。
今はなぜか。
「うるさい!!修斗は先輩なんかよりかっこいいもん!!」
誰にもバカになんかしてほしくない。
こいつのこと、何にも知らないくせに。
「一緒に歩いてて恥ずかしくないの(笑)?」
「先輩と歩いてる方がよっぽど恥ずかしいよ。」
「まっ、いーや(笑)じゃあね〜♪」
「泣かないで。僕のために泣かなくていいよ。大丈夫だから…」
何で気付かないの!
何でこんなに素敵な人だって、みんな分からないんだよ。
「悔しい!悔しいよ〜!!五十嵐は悔しくないわけ?!」
「僕は大丈夫だよ。大丈夫。葉山さんが…優花さんが本当の僕を分かってくれてれば、僕はそれで大丈夫だから。」
やっぱり…
大好き!
初めて会った日は、まさかこんなに好きになるなんて思ってもみなかったんだ。
だけど今では、
君のその優しい話し方も、
温かいハートも、
全部、全部愛しいから。
「さんはいらないよ。優花でいい。」
「じゃあ、そっちも名前で…」
きっかけは小さなイチゴ大福♪
「…ねぇ!手繋いでもい?」
「え?!あっ、あの…」
もうイラついたりしない♪
「もう繋いじゃったもんね〜♪」
「…イチゴ大福、買いに行こっか。」
やっぱり、大好き!!