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嘘つきの異世界魔王譚  作者: 紅葉 咲
異世界 1日目
6/33

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俺は今、100を超える魔物たちの目線をあつめている


…目線を集めてると言ってもそもそも目のない奴らもいるんだがな


もうほんと怖くて漏らしそうだがとりあえず目からビームを出すような奴がいなくて安心したぜ


まぁ安心したからと言っても足の震えは止まらないんですけどね!


「さて、この勇敢ゆうかんな3人に続き見張りをしてくれる者はいるか!?」


俺のすぐ目の前で魔王の妻であるらしい『トガノ』が声を出す


そう。『俺の目の前で』だ


先ほどまでトガノ1人しかいなかった祭壇さいだんには今では4人に増えていた


魔王の妻であるらしい『トガノ』と先ほど声をあげやがった『厚着女あつぎおんな』に絶望に呑み込まれている『フルウ』


そして俺こと『毒島ぶすじま 心斗しんと』だ


…何故俺なんかが神聖しんせいっぽい祭壇の上にいるのかと言うと、先ほどのトガノが言った言葉に間髪かんぱついれずに答えた厚着女にトガノが酷くテンションを上げてしまい、そこの3人祭壇に登ってきなさいとか言ってきたからだ


祭壇に登れと言われた瞬間は全力で逃げようかなって思ったんが、さすがにここにいる全魔物達が注目している状態で泣きながら出口に走るのは怪しすぎるだろうと思いとどまり思い足を引きずりここに来たんだ


「あーやべー。もうすっげー恥ずかしいんだが? 恥ずかしいを超えて具合が悪くなってきたんだが?」


フルウが俺にしか聞こえない声で話しかけてくる


「あぁ。なんか見世物にされた気分だ」


動物園の動物はよくあんな自然体でいられるな。尊敬そんけいするぜ


「クソッ。大体さ、俺らが上に来なきゃなんない理由なんてないよな?」


フルウが悪態あくたいをつく


確かに俺ら3人がここに登る理由なんて何もないな


この女はただ俺らをはずかしめたいからここに登ってこいって言ったのか?






『パチンッ』






そんな無駄むだなことを『魔王の妻』がやるのか?


「いや、もしかしたら『女や若い男、さらに弱そうな奴が進んで前に出て来たというのに貴様らはそのまま後ろで見張りをしないで見ているだけなのか?』という事を暗に示している可能性があるな」


それだと気の強い奴や目立ちたい奴とかは釣れるかも知れないな


因みに『弱そうな奴』は言うまでもなく俺の事だ


「・・・え? それはさすがに考え過ぎじゃねぇか?」


いやいや、人を疑うなら考え過ぎなんてことはねぇんだよ


とは言えないか・・・・


そうこうしているとトガノがまた喋る


「ではこうしましょう。見張りをするという者だけこの部屋に残り、他の者はまた各自自分の持ち場に戻ってください。皆さん。急な集会に集まって下さり、再度お礼を申し上げます」


その言葉を最後に、緊急集会が終わった


トガノは少し悲しそうな顔をして出ていく魔物たちを見送る


俺はここで初めて魔王の妻と名高いトガノを見る


あ、この女頭の左右になんか曲がった角生えてる。髪洗うの大変そうだな・・・


でも以外だな。魔王の妻って聞いたからもっと化け物じみた姿をしているのかと思ったら、なかなか綺麗きれいじゃないか


容姿ようしも背中から小さな黒い羽根と頭にある曲がった黒いツノ以外は人間だし、その人外の部分も同じく黒い長髪に黒いドレス風の服のせいで隠れてしまいパッと見普通の人間に見える


いや、綺麗過ぎるから『普通』ではないか


ただ胸がでかすぎるな。残念だが俺のセンサーには引っかからない。チェンジで


そんな俺の視線に気づいたのかトガノが俺の方に振り向く


そして、ばっちりと目が合う


「・・・・? どうかされましたか?」


・・・・やばいな。まさか『胸が大きすぎるから俺のタイプじゃないなぁって思ってました』とか言えるわけないな


「【いえ、何でもありませんよ。ただ、悲しい顔をされていたのでどうされたのか気になってしまっただけです】」


とりあえず即興そっきょうで嘘をつく


相手は目上だから敬語も忘れないようにしねぇとなぁ・・・


「あら、私は今悲しい顔をしていたのですか? それは、申し訳ない事をしてしまいましたね」


「申し訳ない? 何が申し訳ないのですか?」


「上に立つ者として、ですよ。上の者が不安を顔に出し下の者を不安にさせるなんてあってはならないことですから」


確かにそうだな


でも今の言葉で俺はトガノが不安を持っている事を知ったからもうスゲー不安になったぞ


「そんなことありませんよ。不安は誰にだってあるものです。それをずっと外に出さないで内にためていくことは良くないんじゃないかと思いますよ」


俺はとりあえずぺらっぺらな言葉で返答する


するとトガノはひどおどろいた顔をした


「・・・・ありがとうございます。まさかこんな所で普通にお話しが出来、さらにはなぐさめられてしまうとは思っていなかったから驚いてしまいました」


「いえ、私のような言葉がトガノ様の心に届いたのならこれ以上の喜びは御座いませんよ」


とりあえずお前はポーカーフェイスを習得しろよ


「フフフッ。あなたはお優しい方なのですね」


「俺は優しくなんてねぇよ」


「え?」


「いえ、何でもありませんよ」


「・・・そうですか?」


トガノは少し首をかしげたが、最後に『ありがとう』と俺にお礼をいいまた出ていく魔物たちを見送るため前を向く


ったく。俺を優しいだとか目が節穴ってレベルじゃねぇぞふざけやがって


俺は少し恥ずかしくなりトガノが視界しかいに入らないように横を向く


すると厚着女とフルウが俺をジッと見ていた


「ヒッ!?」


そりゃ短い悲鳴も出るわ


そんな俺にフルウが話しかける


「お前よくあんな普通に話しできるな」


「は、はぁ? 普通って何がだよ」


俺の問いに今度は厚着女が声を出す


「あのお方は魔王様の妻であり、ここにいる魔物たちの中でナンバー3の実力を持ったお方なのだぞ? 分かっているのか?」


「え? ナンバー3? ってことはなんかスゲーの?」


「そうだなぁ・・・。本気を出せばここにいる魔物の5分の1は30秒くらいで消える」


「怖ッ」


俺は改めてトガノを見る


相変わらず優しい笑顔で、だが少しだけ悲しい雰囲気ふんいきまといながら魔物達を見送っている


いや、どう見てもそんな恐ろしい力の持ち主には見えないんだが・・・?


・・・・なるほど。俺をビビらせるための2人の【嘘】か


いや、それとも魔物たちにそう思わせて支配を楽にさせようっていうトガノの【嘘】か?


どっちだ?


「・・・貴様。まさか知らなかったのか?」


厚着女が疑惑ぎわくの眼差しを俺に向ける


・・・やばいな。話題を変えよう


「にしても、お前はよくあんなに間髪いれずに返事をしたな」


「何の話だ?」


「さっきの事に決まってるだろ。いや、【すごくカッコ良かったぜ。なんか騎士みたいでよ】」


「そ、そんなの当然ではないか! わ、私は魔物たちの為にと当然の事をしたのだ!」


おっ、思ったより好感触こうかんしょくだな


「いやいや、それだったらもう本気でスゲーよ。自分以外の奴の為に動くなんてそうそうできることじゃねぇ。お前はほこっていいぜ」


「お、お前に言われるでもないわ!!」


やばーこいつおもしれぇぞ


「全く・・・。それに巻き込まれた俺たちは散々(さんざん)だな」


フルウは死んだ目で自分の境遇きょうぐうなげ


「いや、もしかしたらこれで俺たちの株もあがるかも知れねぇんだ。よかった事にしとこうぜ」


俺はフルウを元気づける


こいつ、フルウには悪いことしたからな・・・


俺は昔から相当運が悪いところがある


たぶんフルウは俺と一緒にいたからこんなめんどくさいことに巻き込まれてしまったんだ


こいつは完全に被害者なんだよな・・・


「・・・・・ここに残ってくれた者たちよ。本当に感謝する」


そしてとうとう見張りをする奴としない奴とが別れた










どうやらこの聖堂に残った奴らが、俺の<駒>になるみたいだな

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