転
大きな声がこだまする森の中を、2つの影が駆けていた
様々な生き物の血の匂いを滴らせる女性と、それを追う銀髪の青年
夜の森で、空に輝く星の光りは木々に遮られ地面にわずかにしか届かない
木の根、ぬかるむ地面に足をとられる銀髪の青年『ハイネ』はそれでも前を美しい黒髪をたなびかせながら軽快に走る女性に追いつかんと足を必死に動かし駆ける
だが、まるでその必死さをあざ笑うかのように木々の間を飛んでいるかのように女性は進む
転びかけるたびに無理やり体制を立て直し、時には木に肩をぶつけ走るハイネと女性の距離は次第に離れていく
ハイネがこのままでは見失ってしまうと焦るころ、女性は不意に動きを止めた
それを確認しハイネも走るスピードを緩めようとするが、運悪く足が木の根に引っかかってしまった
勢いよく前に倒れる
ハイネは迫る地面に反射的に手を突き出し目を閉じた
だが、覚悟していた転びの痛みや衝撃はいっこうにこず、代わりに柔らかいものに前から包まれた
「あんた仮にもリーダーなんでしょ? なに無様に転ぼうとしてんのよ。その突き出したハンドを痛めたらなにでソードを握るつもりなの? バカなのー? 死ぬのー?」
耳元で心底呆れたような声で罵倒される
ハイネはすぐに固く閉ざしていた瞼を開き顔を上げると、汚物を見るような瞳と目があった
前を走っていた女性が転びそうになったハイネを前から抱き受けとめたのだ
「え、あ…」
ハイネがその事実を理解するのに時間はかからなかったが、あまりに意外だったため声がでない
「…あぁもう気持ち悪いからさっさと自分の足で立てや殺すぞゴラァ!!」
「は、はいぃ!」
女性の叫びにハイネは弾かれるように離れる
「ったくほんと男ってのは神聖な女体に触れるとすぐに知能がモンキー以下に…」
腕を組み吐き捨てるように言ったあと、何かに気付いたかのように女性は目を見開く
「あんたもしかして私に触るためにわざと転んだの!? 殺すぞ!?」
「いやそんなことは決してないです!! あなたが動きを急に止められたので私も走るのをやめようとして」
「あぁもういいわ。言いわけはもういいわ。とりあえず後で殺すの確定として、あんたは今から私のする質問にアンサーしていきなさい」
必死の否定を全く聞き入れてくれない女性にハイネは何か物言いたげにするが、言っても無駄なんだろうなと考え口を閉じる
「あんた、魔法使える?」
「魔法? 魔術の事ですか?」
「あーそうだったわね。こっちじゃ魔術って呼ぶんだったわね。それよそれ。で、使えるの?」
「使えます」
「何種類」
「え、あぁ。私が使えるのは3種類です」
「…オーケー。やってみなさい」
「え、今ここでですか?」
急なお願い、というより命令にハイネは面を食らう
今は拠点に向かう仲間たちの為に水獣と戦闘を始める直前だ
何故このタイミングで魔力を無駄に使わねばならないのだろうか?
ハイネは思わず眉をしかめる
「いま思ったら声の主はこっちに来てるんだから、わざわざ私たちが走って出迎える必要ないわ。あっちから来てくれてるんだからね。だったらナウはとりあえず戦闘時にお互い何が出来るか話しておいた方がいいじゃない?」
女性がハイネの表情から疑問を察し、自分の考えを伝える
「だからほら、早くやりなさいよ。ハリーハリー」
「で、ですがここで魔力を使うのは…」
話しの内容は理解できたが、水獣の恐ろしさや強さをついさっき体験しているハイネは魔力が少しでも減るのを嫌った
実際、先ほど9人がかりで戦い惨敗した化け物にこんな短時間で、しかも今度は2人で相対することは精神的に難しい
ハイネは仲間の為に、そして目の前の女性に叱咤されたうえで、死んでもいいという覚悟を決め女性についてきた
だが、無駄死にだけはごめんだ
来たからには絶対に仲間たちの安全を確保してから死ぬと心に決めていた
そのため、ハイネはわずかでも魔力は残しておきたいのだ
「ごちゃごちゃいってねぇではよやれやぁ! どうせ減るもんじゃねぇだろ!?」
だが目の前の女性にその覚悟は全く伝わらない
「いやだから魔力が減るんですよ!」
「お前のような鼻くそみてぇな魔力がちょっと減ったくらいで戦況が変わるかよ! ほら! ハリーハリー!! 殺すぞ!」
「あなたって息するように死を宣告するんですね!?」
女性に軽く怒りながらも、こりゃだめだと諦め何かと理由をつけて魔力を節約しようと考える
「…まず、これが盾です」
ハイネはそういい、動きを止め目を閉じる
数秒後、ハイネが目を開けると同時に前方に小さな青く光る板のようなものが現れた
その板は薄く、だが確かな固さをもち空中に浮いている
「あぁこれね。これは私のウィーネちゃんもできるし、なんなら私もできるわ。やっぱ魔術の才能がある人は基本これは覚えるのね。てか、あんたこれ出すの遅くない? 近接戦の時に盾出すの4秒弱かかってちゃ死ぬわよ。次は?」
女性は出現した板、魔力の盾をトントンと叩きながら次を催促する
「…魔力の箱です」
ハイネは盾を消しぶっきらぼうに言う
盾を出すだけでもどれくらいの大きさ、どれくらいの強度、どの場所に展開するかと考え、その考えにあった魔力を空間に放出するという一連の動きが必要とされる
ハイネは魔力を主に使いながら戦う魔術師とは違うが、それでも盾の出現は早い方だという自信があった
「魔力の箱? なにそれ?」
「これには殺傷力は無いです」
「…? まぁいいわやってみせて」
「いや、これほんと集中力つかう魔術なんで…」
「…じゃぁ仕組みは?」
「仕組みですか? えぇと、まず魔力で小さな箱を作ります」
「箱? …へぇ、魔力で薄い二次元的なシールドだけじゃなく箱みたいな立方体、3次元的なものも作れるのね?」
女性はそこで初めて感心したような言葉を上げた
「えぇ、作れます。ですが、私以外に魔力の箱を作れた人はあまりいませんね。こう、四角い盾を折っていって箱にするような感じですかね」
「…あぁほんとだ、これ結構難しいわね」
「え、もしかして出来てます!?」
ハイネは目を丸くした
確かに女性の掌、正確には掌から若干浮いた所には黄色く光る箱が出現していた
「見ての通り出来てるじゃない。で、この箱はどう使ってるの?」
「…基本はその箱に物を入れて持ち運びに利用してます」
「クソ。はい次」
「く、クソですか? …私が使える最後の魔術ですが、それは爆発です」
自分の生み出した魔術が一言で片づけられ割と傷つくが、女性にそれを悟られないよう若干早口で最後の魔術を教える
「爆発? へぇ。私好みの派手な魔法じゃない。やってみて」
「いや、これほんと魔力つかう魔術なんで…」
「あんたさっきも似たような事言って断ったわよね? まぁいいわ。仕組みは?」
「まず小さく頑丈な箱をつくります」
「おいてめぇずっと箱作ってるだけじゃねぇか!?」
女性はハイネの肩を掴みガクガクと揺らし叫ぶ
「いや違うんですよほんとに! 真面目に箱を作るんですって! 綺麗な箱を作るんですって!」
「もうおまえ私の中じゃぁ目を離したら箱作ってる男だからな!? わかってんのか!?」
「いやですから箱が重要でしてね!?」
2人が叫びあっていると、そこに別の叫びが加わった
「「「そぉぉぉぉぉぉこにぃぃいい!!!だぁっぁれぇぇかぁぁ!!!」」」
それは甲高い声で、まるで助けを求めるかのような悲哀を含む叫びだった
「!? そんな、もうこんなに近くに!?」
「あいつ独特なボイスしてんな」
「言ってる場合ですか!?」
そして、2人が構えて数秒後、木々の闇から吐きだされるかのように声の主は現れた
「なんだ、これが水獣か? ただ手足沢山はやしたちょいと大きなトカゲじゃないの」
それは頭から尻尾までが大人を2人並べたくらいの大きさを持ち、顔は爬虫類を思わせる。
口は常時開いた状態であり、無数の牙の隙間からよだれが絶えず垂れていた
だが、一番異形で目を引いたのは女性が言った手足の数と形状だった
それは大小様々な人間の手と足だった
それが腹から尻尾の方まで無数に蠢きながら歪にはえている
「違います! こいつは先ほど私達が戦った相手ではありません!」
その姿を見て、今頃思い出したかのように震えだした自身の身体を止めるように剣を強く両手で握りながらハイネは叫んだ
確かに、ハイネが相対した『水獣』は巨大な蛇のような姿であり、あのような人間の手足は持っていない
大きさも、木よりも長く太かった
顔の両頬にはヒレがあり、口には大きな牙が2本、その奥には無数の小さな歯があった
今目の前にしてる化け物とはかなり違う
だが、不思議と恐怖は今の化け物の方が格段に上だった
「はぁん? なら森にはこいつの他にまだボスっぽいモンスターがいるのね」
そのハイネの叫びを聞き、女性は笑みを浮かべた
「「「みぃぃつけぇぇたぁぁぁ!!!」」」
そんな二人に化け物は言葉を叫びながら突っ込んでくる
「横に跳べ!」
その動きを見た瞬間、女性は叫ぶと同時に跳び、ハイネもそれにならい逆方向に跳ぶ
その2人が飛んだ真ん中を飛ぶ鳥のような速さでとんでもない質量の化け物が通り過ぎた
「中々に速いわね」
女性は受身をとりながら呟く
「「「ああぁああぁああ!!」」」
化け物はそのまま木にぶつかり、木を何本か倒し止まった
そして2人の方に向きなおり、叫びと共に口を異様に大きく開ける
「!? 気をつけてください! もしかしたらそいつも『水獣』と同じように酸を!?」
ハイネが助言をする前に女性は走り出していた
「うっるさいわねぇ!」
そして大声を上げる化け物の下に潜り、顎を腰から抜きだした武器、刃が波打つような形の片手剣で下から上に斬り上げた
「「「んぐぁ!?」」」
化け物はその攻撃に強制的に顎を閉じられる
「す、すごい…!」
ハイネはそれを見てただ驚きの声を上げるしかできずにいた
「シッ!!」
そのハイネ前まで女性は化け物を見たまままいもどる
「たく、お触りは禁止だってのに!」
見ると女性は右足と左腕、そしてわき腹を手で掴まれていた
「だ、大丈夫ですか!」
「大丈夫なわけないでしょ! 片手剣と腰の一部の武器は持ってかれたし、なにより胸がもまれそうなったわ!」
どうやら女性は近付いた際にあの化け物から生えてる無数の手に掴まれたらしい
それを斬って急いで距離をとるため戻ってきたようだ
だが手に先程取りだした剣は無く、腰につけていた武器は減り、化け物の近くに散乱してしまっている
「「「うぼぁぁぁあ!!」」」
化け物は強制的に閉じられた口を再び開き、そのまま液体を吐きだす
「うっわ汚な!?」
斬り口から血を流しながら尚も動く腕を自身からひきはがしながらその光景を見た女性は素直な感想を口にする
そして化け物が吐きだした液体は、近くにあった女性の武器を溶かしつくしていく
「やはり酸だったみたいですね。あれに触れてしまうと肌がとけます。気をつけてください!」
「気をつけろったってねぇ…」
女性は少なくなった腰の武器から掌の中心から肘まである大きな針のような武器を何本か投擲する
それは化け物の外皮に見事命中するが、ほとんどは刺さらず地面に落ち、酸に溶かされた
「チッ! やっぱ投げ武器は硬い皮膚でほとんど弾かれるわね。ビックなダメージは接近しなきゃだめみたい、ね!」
女性はそう言い地面の酸がないルートを選び再び走る
「「「きゃぁぁぁぁぁぁああ!」」」
それを見た化け物は身体の向きを変える
「尻尾です!危ない!」
ハイネがいち早く向きを変えた意味に気づき叫ぶ
女性の横から大きく長い尻尾が迫る
「よっっと!」
それを女性は跳んで避ける
それは常人が跳ぶ倍以上のものだった
「そらぁ!!」
女性はそのまま腰からまた武器をとりだした。
それは両手剣で、化け物の右目を斬り裂く
「斬った!」
ハイネが歓喜の声をあげた
運よくか狙ってか、女性は酸のない所に着地する
「「「きゃああぁあぁぉあぁああ!??」」」
「うわっととと!?」
そして化け物が痛みに暴れだし、巻き添えを食らわぬようまたハイネの前にまで戻ってくる
「凄いですよ!あんな化け物に一太刀いれるなんて!」
「「「ああああぁ!?ああいたぁあぁ!?いたいぃぃぃぃい!??」」」
「あぁもう化け物もうるさいしお前もうるせぇ! てかお前も来たならなんか手伝えや!」
「は、はいすみません!」
女性の怒声に慌てて自身の持つ刀身の見えない剣を構える
「いくよ!たたみかける!」
その掛け声で2人は走り出す
「「「く、くるなぁあぁあ!!」」」
それに反応してか、化け物は近くの木をへし折り飛ばしてきた
「木が飛んできます!」
「邪魔ね!」
「木が!?」
その木をまるで苦も無く両手剣で斬り走り続ける女性に、ハイネは自分が居る意味は無いんじゃないかと思いだす
「このままレッツゴーよ!」
「え、あ、はい!!」
「「「うばぁあぁああ!」」」
そこに化け物は酸を吐きだす
「!? 酸で地面を覆った?」
だがそれは化け物の周りの地面に向かってだ
女性はそのまま止まることなく走る
「危ない!」
そしてもうすぐで酸を踏むと言う所でハイネは何かを投げる
「え、これ箱ほげぇ!?」
「「「!?」」」
ハイネの投げたものは女性の目の前で爆発した
「大丈夫ですか!?」
爆発の衝撃で後方に転がった女性の側にハイネは駆け寄る
「お前なにしやがったぁ!?」
「うぐぅ!?」
そして殴られた
「い、いや、あのままではあなたがまともに酸を踏んでしまうとおもい爆発で援護を」
「死ぬわ! 危ないって叫びながら爆発物投げんなや!」
「す、すみません…」
「「「うがぁぁもぉぉああ!」」」
「! くるしんでる? ってうぁああ!?」
目の前に木が大きな音をたてて落ちてくる
「なるほど、あのモンスター、地面に酸をまいてこっちから近づけなくして自分の方は暴れて木を飛ばして攻撃してきてるのね」
すぐそばに飛んできた木を避けながら女性が言う
「ど、どうします? このままでは木を避け続ける私たちと暴れまわりながら木を飛ばしてくるやつとの体力勝負に…」
化け物と2人の間には距離があるので冷静になれば避けられるが、これがいつまで続くのかはわからないのでハイネは焦る
「持久戦は私きらいなのよねー。行くかー」
「行くって、地面には酸がありますし木や奴の尻尾もありますよ!?」
「なんのために魔法のシールドあんのよ」
「いくら魔術のシールドでもあの木や尻尾は防げないですよ! それに発動するのに時間がかかります!」
盾の固さ・大きさは魔力を込める力できまる
自身を完全に守る大きさの盾では強度が足りず、飛んでくる木で破れない強度の盾では小さすぎる
それに発動するのが間に合わないかもしれない
ハイネはそう考え女性の意見を否定する
「私だったら多分木とか防げるわ。ま、シールドは地面の酸対策に使うけど」
「魔術は確かに個人差がありますがさすがにあれは…。え、地面の酸に?」
「あぁそうだ。ところでさっきのあんたの爆発の仕組みだけど、小さな箱がいきなり膨らんで見えたのよね?」
女性は先程自身をふっ飛ばした物について聞く
「あの状況でみていたんですか!?」
「そりゃ目の前にでてきたら見るわよ。で、爆発と同時に魔力が出てきたんだけどもしかして…」
「そこまで見ていたんですか? …そうですね、爆発の仕組みは作った丈夫な小さな箱に私や周りの魔力をありったけいれ、箱の破裂と中にある魔力の放出で衝撃波を作ります」
「なるほどね。箱の丈夫さと状態維持に集中力、あとその丈夫な箱を破裂させるほどの箱の中に入れる魔力が必要になる燃費のわるい魔法ってわけね」
「…一応私の切り札の魔術なんですが」
「はっ。せいぜい相手を驚かせるか吹っ飛ばすか、じゃなければ自分が衝撃波に乗ってぶっ飛んで移動するかくらいしかできなさそうね」
女性はそう口にするが、表情は優しかった
その表情を見たハイネは、まるで『やるじゃないの』と言外で言われているような気がした
「まぁ、今回はそれを使ってあげるわ」
「え?」
「聞きたいこと聞けたから、レッツゴーよ!」
女性はそう言い走り出す
「あ、だから酸が!?」
女性はあっという間に酸の海に突入する
そして酸の海ギリギリのところで大きく飛ぶ
だが、今も暴れる化け物には到底届かない
ハイネがそれを見て走り出す
「シールド展開!」
そんな状況に女性の声が響いた
瞬間、女性の真下に黄色く薄い掌より少し大きいくらいの盾が下向きで現れた
それを女性右足で踏み、力強く蹴る
触れた足が離れた瞬間その盾は消え、女性が踏みだした左足にまた同じような盾が出現し、足が離れるとまた消える
そうして女性は空中を走る
「盾を足場に!?」
「「「!!? く、くぅるなぁぁあ、ってばぁあぁぁぁぁ!」」」
女性がものすごい勢いで空中を走りながら近づいて来るのを見た化け物は、恐怖にその声を震わせ木を飛ばす
「ひゃっはぁぁぁああああ!」
だが女性は奇声を発しながら踏み出す所全てに盾を出現させ、左右どころか上下迄も自由に動き木をかわす
「あんなスピードで、めちゃくちゃに動きながら盾を足場にするため的確に展開するなんて…!」
ハイネはもはや訳が分からないと動きを止め見入る
「「「ああおぁぁ!!」」」
化け物は木が当たらないのを悟り口を大きく開け酸を吐きだそうと狙いを定める
スポンッ
「「「!!!?」」」
「!?」
まるでそんな間抜けな音がしたのかと錯覚するほど綺麗に、女性は大きく開いた化け物の口に中に入った
「「「?????……。……!!」」」
化け物は数秒動きを止めていたが、状況を把握するやすぐに口を閉じ中にいる女性を噛み砕こうとする
「シールドォォォォォオオオ!!!」
女性はその前に上下に盾を展開し口を閉じられないようにした
「ボックスゥゥゥゥゥウウウ!!!」
そしてそのまま叫び人間の頭くらいの大きさの箱を作り出した
「&(あんど)!」
そして口の中から飛び出し盾を解除する
化け物は止められていたものが急になくなったため勢いよく口を閉じる
その中に箱があるにもかかわらず
女性は空中でそれを見とどけ、盾を展開して足場をつくらずに言う
「バァンッ!」
その言葉に呼応し、化け物の口内が爆発した
「あ、ちょ、きゃぁぁあああ!?」
女性はその爆風に飛ばされる
そしてそのまま地面にぶつかる刹那、衝撃が分散された
「…ハハハッ! 初めて役にたったな! リーダーさんよぉ!!」
女性は逆さまの状態で自身を受けとめたハイネに言う
「あ、あなたって、めちゃくちゃですね」
ハイネは逆さまな状態で自分を褒める女性に疲れたように、だが褒められた事が嬉しかったのか笑顔を隠せずに言う
「ワンダフルでしょ?」
それに女性は得意げに答えた




