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嘘つきの異世界魔王譚  作者: 紅葉 咲
異世界 1日目
19/33

思考の迷路

失敗した






失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した!!!!






何故失敗した!?


何かを間違えたのか!?


ならどこを間違えた!?


どうして間違えた!?


どこが間違いだ!?


情報が足りなかったのか!?


この世界の常識をしらなすぎたのか!?


どこかで何とかなると安易(あんい)に考えたか!?


考えが浅すぎたのか!?


不確定要素(ふかくていようそ)が多すぎたのか!?


敵を(あなど)ったのか!?


これまでの情報に(あやま)りがあったのか!?


現実が見えなかったのか!?


全てだ!!


全てが失敗した理由だ!!


全てが俺が人を殺した理由だ!!


俺の持ってる情報なんてたかが知れている!!


この世界の常識なんて俺は1つも知らない!!


命がこうも簡単に消えることを忘れていた!!


よく考えもせず自分が助かる為だけにあの化け物を呼びよせた!!


敵の中にまさか子共がいるなんて思いもしなかった!!


弓や剣を使い、迷いなく人を殺そうとする奴なんかがこんなにいるとは考えなかった!!


水獣があんなに凶暴なんて話しは聞いてなかった!!


これが現実だと心のどこかでは思っていなかった!!


だから人が死んだ!!


俺の行動で2人の命が消えた!!


身体が大木に押しつぶされて死んだんだ!!


上半身を溶かされて死んだんだ!!


失敗したんだ!!


俺は取り返しのつかない失敗をしたんだ!!








だけど、それは仕方がなかったんだよ








あぁそうさ俺が生きるにはこうするしかなかった


他の選択肢なんて俺には思いつかなかった


敵は弓や剣を持ってるのに加えよくわからない力を使って本気で殺しにかかってくる奴が12人


それに対し俺は1人


そんな状況じゃ俺は遅かれ早かれ絶対に殺されていた


だから俺は生きるために【嘘】をつき、行動に出たんだ


それしかないから


暴力に立ち向かえる力もなければ、絶望と向き合える勇気もない、そんな弱者には、『敗北者』には【嘘】しかないから


唯一の武器である【嘘】を使った


数少ない≪知識≫と奴らの勝手な≪思いこみ≫、そして俺の≪ハッタリ≫を材料に【嘘】を生みだした




まず最初に1対12という状況を壊す必要があった


しかもただ壊すだけではなく、12人全員を充分に引きつける何かも必要だった


そこで俺はマウルの言っていた魔物の小隊でも倒せなかったと言う『水獣すいじゅう』をここに呼びよせる事にした


『1対12』から『1対1対12』にする策を思いついた


マウル達は傷ついた野生動物を湖に落とし、野生動物が流す血の匂いを水獣に水の中で感じ取らせ陸地付近までおびき出したと言っていた


不幸なのか幸いなのか銀髪の隊長って呼ばれる奴に容赦(ようしゃ)なく殴られ血を流していたから俺は自分自身の血を(えさ)にして水獣を待った


そして水獣が湖のどこかから来る前に奴らに≪はったり≫をかました


水獣が出てきてもあいつらはそれをただの野生動物だと判断したらそのまま無視して俺に攻撃を仕掛けてくる可能性もあった


だからこれからやってくる水獣は俺が洗脳した生き物、俺の手下だと錯覚するようなはったりをした


奴らは何をどう勘違いしたのかはわからんが俺が精神系の魔法を使うとか叫んでいたのをしっかりと聞いている


存分にその勘違いを利用させてもらった


まぁ精神とか言うから洗脳とかあるだろっていう当たればラッキーみたいな考えだったが…


それが思いのほかうまくいき、そのまま奴らは俺と水獣は仲間であると誤認した


それにより厄介な水獣から対処をするか俺と水獣を同時に相手しなくてはいけないといけないと考えるだろうと読んだ


そしてあわよくば水獣に奴らが攻撃して水獣の標的が完全に奴らになった瞬間俺は逃げる計画だった





だが、水獣は思った以上に強く恐ろしかった


でかいし、うるさいし、怖いし、凶暴だし、何もかもを壊そうとしている勢いがあった


何とか銀髪と一緒に湖から出たが次は酸を吐きだしてくる


俺はなんとか酸の降ってくる軌道を確認して隣にいた銀髪を酸の降らない場所まで突き飛ばし、俺も横におもいっきり飛んで酸の雨をやりすごした





だが、態勢(たいせい)を立て直し酸が降った場所を見ると奴らの仲間で大きな荷物を持った1人が酸をまともに食らう瞬間だった




そいつは咄嗟(とっさ)に背負っていた荷物を盾にしていたが、肉の焼けるようなにおいがするのと同時に地面に倒れた


俺は、動けなかった


一瞬理解出来なかった


いや、何が起きたのかは分かっていた。この肉の焦げるようなにおいも何からしてるのか分かっていた


分かってはいたが、理解は出来なかった


理解したくなかった


そして、遠くから大きな音が聞こえた


見ると木が空から降ってきていた


沢山降ってきていた


まるで地面が降ってきたのかと錯覚するほどに木が空から落ちてきていた


そして、また1つの命がなくなった


その時はまるでスローモーションのようだった


落ちてくる沢山の大きな木の1つが、これまた大きな荷物を持った奴に丁度当たったんだ





『パキュ』って音が、


聞こえた気がした





紅いものが四方に勢いよくはじけた


紅い水が木の下から這い出てくる





不快感


めまい


どこが地面なのか分からない


嫌な汗


吐き気


喉から何かがこみ上げてくる痛み


嘔吐


漂う酸っぱく甘いようなにおい


考えがまとまらない


あの光景は現実か?


この匂いは現実か?


現実って何だ?


俺は今どこにいる?


失敗したのか?


失敗したんだよ






失敗した






失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した!!!!






何故失敗した!?


何かを間違えたのか!?


ならどこを間違えた!?


どうして間違えた!?


どこが間違いだ!?


情報が足りなかったのか!?


この世界の常識をしらなすぎたのか!?


どこかで何とかなると安易(あんい)に考えたか!?


考えが浅すぎたのか!?


不確定要素(ふかくていようそ)が多すぎたのか!?


敵を(あなど)ったのか!?


これまでの情報に(あやま)りがあったのか!?


現実が見えなかったのか!?


全てだ!!


全てが失敗した理由だ!!


全てが俺が人を殺した理由だ!!


俺の持ってる情報なんてたかが知れている!!


この世界の常識なんて俺は1つも知らない!!


命がこうも簡単に消えることを忘れていた!!


よく考えもせず自分が助かる為だけにあの化け物を呼びよせた!!


敵の中にまさか子共がいるなんて思いもしなかった!!


弓や剣を使い、迷いなく人を殺そうとする奴なんかがこんなにいるとは考えなかった!!


水獣があんなに凶暴なんて話しは聞いてなかった!!


これが現実だと心のどこかでは思っていなかった!!


だから人が死んだ!!


俺の行動で2人の命が消えた!!


身体が大木に押しつぶされて死んだんだ!!


上半身を溶かされて死んだんだ!!


失敗したんだ!!


俺は取り返しのつかない失敗をしたんだ!!








だけど、それは仕方がなかったんだよ








気づけば俺は同じことをずっと繰り返しつぶやいていた


何度も嘔吐をしていた


吐く物がなくても繰り返し嘔吐を繰り返していた


どれくらいたったのかが分からないほど同じことを繰り返しつぶやく嘔吐していた


だが、耳に聞こえて来たものが俺の思考を『繰り返し』から『現実』に引き戻した




遠くから聞こえる『笑い声』




2人の人間が今死んだ場所にこだまする笑い声


笑い声をあげるのは、死んだ人の仲間であるはずの奴ら


最初は何も考えられなかった


次に来たのは何故笑ってるんだと言う疑問


そして最後に来たのは怒りだった


だから俺は上半身が溶かされた死体に近付き


抱きしめて、魔物よりも恐ろしい声をあげる奴らに聞いたんだ








「おい。お前ら。何でお前らはそんな幸せそうな笑顔で笑ってるんだ?」




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