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嘘つきの異世界魔王譚  作者: 紅葉 咲
異世界 1日目
15/33

接触

24までに4万文字書かなきゃいけなくなりました

「ふぇぇぇっぇえぇえ助けて下さいぃぃぃいい!!」


俺はサチュとンダミスへカッコよく別れた後、全力で人間達のところに走る


もう抱きつく勢いである。だってここに来て初めてちゃんとした人に出会ったのだ。感動するのも仕方ないのだ


サチュやフルウとかも人の形をしてはいたが、さすがに額にある禍々(まがまが)しい眼や犬耳と尻尾を見て親近感を得るのは無理と言うものだ


だが今俺の前には普通の人間らしき奴らが12人もいる。どうやらそれ以外は人はいないみたいだが、とりあえず俺は人間と接触がしたかったので少なくても別に良かった


とにかく早く接触して保護してもらい、すぐに沢山人がいる所まで連れて行ってもらいたい


人間達も俺に気付いているらしく、立ち止まってこちらを見ている


そして12人のうち4人が弓を構え、2つの矢が俺に向かって飛んできた


「ふぁぁぁっぁああ!? 何故に!?」


俺は横にころまわり飛んできた矢をかわす


それを見て、矢を放った2人はまた弓を構える


「いやいやなに当たり前のように弓を構えてるの! あぁ矢をセットしないで攻撃しないで! 俺は人間だ!」


俺は急いで立ち上がり両腕を上げ敵意がない事を示し叫ぶ


両腕を上げるのは武器をもっていないことを相手に知らせたり、抵抗の意思がないことを示すのに最も適したポーズである


そのポーズをとる俺に2つの矢が飛んできた


今度は牽制けんせいなのか俺から少し前の地面に刺さる


「おぉいぃ!? だから俺は人間だって! 君たちの味方! 魔物違う! アイムヒューマン!!」


「近付くな!」


「近づいてねぇよ!!」


両腕を上げながら泣きそうになりながら叫ぶみっともない男(俺)に銀髪を腰まで伸ばした端正たんせいな顔した男が大声でこっちくんなと言ってきた


どうやらこの男がこの人間達のリーダー格のようだと言うのは一目でわかった


声の調子がしっかりとしていて聞きとり易かったし、身体を守る鎧は他のやつより綺麗きれいだ。だがところどころ傷が付いていたることから結構使いこまれてることがうかがえた


それに、若いが雰囲気が他の奴らとは違うのが決定的だ


その銀髪の後ろには茶色のローブをまとう金髪のこれまた見てるとイライラしてくるほど端正な顔をした男がいて、その金髪男の両脇にはたくましい男が弓を構えて立っている


この2人の男がさっきから矢を撃っている。ふざけんな


弓を構えているのはもう2人の女がいるが、こちらの2人は何故か銀髪たちから少し離れた所にいて、構えるだけで一度も攻撃をしてきていない


最後尾さいこうびにはいかにも魔女ですみたいな帽子を被った青髪の女がこれまたいかにもな杖を持ってこちらをサチュの額の眼と良い勝負が出来るぐらいの目つきで俺をにらんでいる


最後に、子供が3人大きな荷物を持っている。なぜこんなとこに子供を連れてきているんだ?


「弓で狙われてるんだから近付きたくても近づけねぇんだよ!」


俺は相手の構成を確認し終え、銀髪に不満をぶつける


「少しでも魔力を使ったり、おかしな行動をとったら一斉いっせいに矢を放つ!」


矢を放つって、もう合計4本もの矢が放たれてるんですがそれは誤射ごしゃか何かなのか?


「てめぇ一発までなら誤射かもしんねぇが4発はおっとなんでもないですわかりました変な動きは一切しませんともさ!」


俺は文句の1つでも銀髪イケメンに言おうとしたが、2人の男がまた弓を構え始めたのでやめておく


俺は大人だからなぁ! 今回は大目に見てやるよぉ!!


「おい貴様。今自分が人間と言ったな。 なぜ武装ぶそうもしてない人間がここにいる?」


銀髪は10Mくらい離れた所から話しかけてくる


すっごい警戒けいかいされている。俺すっごい警戒されてるよ


「【魔物達に拉致らちされました】」


俺は銀髪たちに聞こえる声で話す


「…拉致だと?」


「【はい。 魔物達は少しでも多く私たち人間の戦力や作戦などの情報を得るために何人か拉致をしているみたいなのです】」


「何人かということは、お前以外にも魔物に連れ去られた奴がいるのか?」


お、こりゃ思ったよりも話しの食い付きがいいな


「【はい。老若男女ろうにゃくなんにょ問わず私のような魔力や力の少ないもの負傷者ふしょうしゃを中心に連れさらわれていました。私はなんとか魔物達の拠点に入る前に逃げられましたが、連れ攫われている途中は生きた心地がしませんでしたね】」


「他にお前のように逃げた奴はいないのか?」


「【それは…。…分かりません。何分逃げるのに必死で…】」


「そうか…。そう言えば、ここで火を見たという奴隷どれいがいる。それはお前か?」


「【そんなまさか! 私は魔物達から逃げているのですよ? 何故火なんて目立つものを持たなければならないんですか?】」


…あん? 奴隷? 今あのイケメン銀髪奴隷つったか?


「確かにそうだな。ならばその火が何なのか心当たりはあるか?」


「【…きっと魔物たちでしょう。私を探していたのかもしれません】」


「今も近くにいるのか?」


「【それはわかりません。あぁそういえば、大きな音が鳴った時に魔物達があちらへ走って行くのを見ました】」


「!! それは本当か?」


「【はい。間違いありません】」


「そうか、それは良かった」


「【良かった、とは?】」


まぁ多分『北の囮作戦』が成功したと思っての『良かった』だとは思うが、一応聞いてみる


「あぁ、気にしないでくれ。とりあえず君は」


イケメン銀髪が何かを言おうとした時、後ろでずっと黙っていたローブ金髪が銀髪になにかを耳打ちした


「…あの? どうかしましたか?」


嫌な予感がしたので俺はとりあえず話しかけた


「ん。あぁ悪い。とりあえずお前は私たちと行動を共にしてもらう。いいか?」


『君は』から『お前は』か…


嫌な予感が加速する!!


「行動を共にとは?」


「これから魔物達の拠点に行く。それについてこい」


「…申し訳御座いませんが、私はもう魔物達のいる所には戻りたくはないです」


「それは何故だ?」


銀髪が何かを探るように言う


こいつ、多分嘘が下手だな


何かを探るなら相手に気取られるような間抜けはしちゃぁいけねぇ


「【そんなの、拉致されたからに決まっているじゃないですか!】」


俺は怒鳴る。出来るだけこいつ何言ってんだって気持ちを込めて言う


「ほう。それもそうだな。わかった。ならお前は先に私たちの拠点に連れて行こう」


だが俺の怒鳴りにも銀髪は冷めた目で対応した


銀髪だけじゃなく、金髪も、弓を構えた4人も、その他の奴らも俺を警戒した目で見つめる


目は口ほどにモノを言う


こりゃなんか訳分かんないが俺、敵視(てきし)されてるな


本当いつも俺は敵しか作らないな…


「ありがとうございます」


まっ、人間達の拠点に連れて行ってくれるんなら別に敵視されようが別にいいだろう


居心地は悪いだろうが、こんな死と隣り合わせのような場所よりかだったら多少居心地が悪かろうが喜んでいくさ


「そうと決まれば急ごう。こっちに来い」


「…あの、すみませんが弓をおろしてもらえませんか? 怖くてそちらに行けません」


銀髪がこっちにこいとか言ってるが、さすがに弓で狙われてるのに近付くのは無理だ。俺は何度も言うが人の数倍は臆病だからな


「あぁ、すまん。お前達、弓を下げていいぞ」」


銀髪は一言謝ると俺から目を離さずに小指を立て右手を上げる


それと同時に男2人はすぐに弓の構えを解き、弓を子供に持たせた


どうやら小指を立てて右手を上げるのは弓を下げろとの合図らしい。だせぇ


だが、2人の男が弓を手離したというのに相変わらず離れた所にいる女2人は弓を構えたままだった


合図伝わってねぇぞ銀髪イケメン。クソだせぇなおい


「…いや、あの、とても言いにくいんですがそこの2人はまだ弓を構えたままなんですが?」







「ほう。よくわかったな。さすがは『魔物』と言ったところか?」







…お、おやおや~?







「な、何を言ってるんですかね?」


「ふん。うまく私たちを(だま)したと思っていたようだがそう簡単にはいかないぞ」


銀髪はそう言い上げていた右手を素早く下げる


瞬間、ずっと弓を構えたままだった女2人は銀髪が右手を下げると同時に矢を放つ


矢は寸分違わず頭と心臓へ向かってきた


俺はそれを見て、最初と同じように横に転がり避ける!


この女2人、さっきまで撃ってきた男2人よりも精密(せいみつ)に急所を狙ってきやがった…!!


「こ、殺す気ですか!?」


「殺す気だと? もちろんその気だ。『敵』は殺さねばならない」


銀髪は腰にさしていた剣を抜き、平然と殺すとか言い出す


「『敵』!? 私は人間ですって!」


「はっ。くだらん戯言(ざれごと)だな…。大方私たちの数の少なさから魔力を見る事が出来る奴はいないのだろうとあたりをつけて近付いてきたのだろうが、生憎(あいにく)と私たちは優秀(ゆうしゅう)精鋭(せいえい)揃いでね。魔力を視ることが出来る者は複数いるのだよ」


魔力を見る事が出来る奴がいるだと!?


じゃぁ尚更(なおさら)なんでだ? 俺は人間だから魔物の魔力ではなく人間の魔力を持っているはずだ


実際にサチュはそれを見て俺を人間だと判断したのではなかったか?


「いやいや魔力視る事が出来るなら分かるんだろ!? 俺は人間なんだっ」


「いいや。お前の魔力はどこからどうみても魔物のものらしい。なにせうちの魔導師と解析者が言ってるんだからな」


「なにか、間違ってるんじゃねぇのか!?」


「くどいぞ? それに、たとえ魔力が見えなくてもただの人間が何回も飛んでくる矢をかわせるものか。 しかもこんな暗闇で明かりもつけずにな。お前は魔力が少ないのだろ?」


銀髪が呆れたように言う


俺は一瞬何を言われたか分からなかったが、確かに俺は『飛んでくる矢を見ながらかわした』


それは銀髪の言うように普通の人間には出来ないことだ


…ふむ。確かに銀髪の言う通りだ


だが、


「いやでも出来るんだから仕方なくないか?」


とりあえずそんなのはどうでもいいから開き直ってみた


「黙れ魔物」


そして、矢の雨が俺を中心に降り出した


「聞く耳ないんですねわかりました!!」


俺は良く見え過ぎる目で降ってくる矢を見据えながら叫んだ






この小説は5千文字くらいで1話ですから、4万文字だと8話書かないといけませんね…

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