プロローグ
おはこんにちばんわ、ナーナーです。
このサイトにては初めての投稿とさせて頂きます。自由に書いて行くので何とぞよろしくお願いします!
この投稿をしている日は試験休みな訳で読んで下さる皆さんには息抜きなんかに使って頂けると嬉しいです^^
プロローグ
答えなんて探しもせず、ただただ何かを嘆いていた。考えればふと思いつくだろうことも、考えずに意識を飛ばしていた。
少年少女のように無邪気に、老人のように奥深い。あの人に私は憧れていただけかもしれない。
森に覆われた城を静かに灯火は照らしている。
ベランダに銀髪で長髪の女性は雲で覆われた真っ暗な空を見上げる。コートを羽織り長いスカートを履き、全体的に白いイメージが強い。
寒く、息を吐くと白く空気がもくもくと現れる。
コツコツと何個かの足音が聞こえる。
「奥様。支度が整いました」
執事の格好をした老人とメイドの格好をした女性が2人、セルフィの後ろに立っていた。メイドの2人は執事の老人から一歩引いた感じで立っている。
「ありがとう爺」
「いえいえ、セルフィ・サーナ・ソルフェ様の命であればなんなりと」
老人は深々と頭を下げた。
「ふふ、またフルネームで呼んでる。めんどくさいから奥様でいいのよ」
「いやはや、すいません奥様。なかなかにこの呼び名は慣れなません」
困ったように顔をしかめる老人。セルフィは空を再び眺めていた。
「どうかございましたか?」
悲しそうな顔になり、目には涙が溜まっている。
「もう…始まってしまうのね。少し、私は怯えているの」
「奥様…」
セルフィにかける言葉は老人には見つからなかった。この後に起こる出来事は1人の女性には荷が重すぎる。
「でもね、あの子だけは助けるわ。私が出来ることなどたかがしれているけどね」
「そんなことは御座いません。奥様は大変強力な戦力です」
「それなら爺はそれ以上の戦力よ。護身術にしても強すぎるわ」
老人の力は凄い。マフィアを30人相手にキズ一つなく帰ってきたときは度肝を抜かれた。
「しかし奥様、今回は魔術師の戦い。私めが入り込む隙は殆ど御座いません」
悔しそうに手を握りしめる。確かにそれは一理ある。
魔術は訓練をしなければ手に入らないそれも物凄い時間が掛かる。
だが、時間だけかけても意味がない。やはり最後には才能という高く分厚い壁が立ちはだかる。
セルフィは後ろを向き老人の目をまっすぐと見た。
「爺、あなたは十分過ぎる戦力です。それは私が保証します」
「ありがたきお言葉…」
老人は一礼をした。
「奥様方、時間が押してます」
眼鏡をかけ長い黒髪の女性メイドが凜とした声を発した。
「ありがとうヒナ姉」
雛は困った顔をしてセルフィを見た。
「それは幼少期の呼び名です。忘れて下さい」
「いいのよ、この方が私には呼びやすいもの」
ふふっと笑い雛の顔をまっすぐ見る。
「ヒナ姉にも期待してますから」
「うっ…」
雛は期待という言葉が苦手と知っての行為なので実に憎たらしい。
「了解しました、奥様」
今、このひと時は居心地が良い。
「わたしは〜?わたしもいっぱい頑張るんだからっ」
14歳の少女のメイドは長いスカートをわしっと握って抗議をしてくる。肩まである髪はふわっとカールがかかっている。
「そうね、マユにも頑張って貰うわよ」
「うん!頑張るよっ」
大きく手を上げてにっこりと笑った。
「では、行きましょうか」
気分が軽くなったのだろうかセルフィの足取りは少しだけ軽かった。