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状況整理//この部分は読む必要がないかもしれない


 今はテラが家にやって来てから四日目の早朝だ。


 なんやかんやで、もう三日も経ってしまったのだと思うと、なんだか改めて時間がとても速いスピードで流れていることを感じさせられる。やっぱり、独りでいるときよりも、誰かと関わって過ごす一日の方が速く過ぎていくらしい。



 昨日はいろんな出来事が持ち上がった。さしあたって、今、僕が何をすれば良い結末へとたどり着けるのかという問題が、とても複雑なものになってしまった。テラはこの状況に対して、心配することは無いと言っている。彼がそう言うのならば僕はそれを信じるしかないのだが、やはり僕らも、何らかの自己防衛をしなければいけない。でも、どうやって?


 とにかく、まずは自分たちが置かれている状況を整理する必要がある。情報がそこら中に放置されているままじゃ、難問の解法は見つからない。


    差し詰め、こういうのは社会科のノート作りが得意な奴の得意分野だ。こういう作業は、物事の原因、過程、結果、時にはその副産物といった無数に広がる関連性の触手を、ごちゃごちゃに絡まった状態から素早く、そして丁寧に構築し直さなければならない。そしてそういう作業は、自慢ではないけれど、僕が専門とするところだ。



 まず最初に、テラの存在だ。彼は、僕の従妹、陽子とその夫、徹夫の子で、ある種の世間には発明の天才として知られている六歳児だ。彼の発明は、簡単に言えばアマチュアが地方自治体主催の発明コンテストに出品しているような物ではなくて、いわゆる科学的な、多くの利益を生むことが予想される高技術の結晶だ。


 そしてその発明のアイデアを売ることで、陽子たちは大きな収入を得ている。


   ここまでが、ことの原因だ。ここでは、テラが持つ例の不思議な引力については触れないことにする。それは物理的な観点とは次元が違う物であって、より話がややこしくなる可能性を孕んでいる。



 まず最初に起こった「結果」は、陽子たちの身に降りかかったものだった。テラの能力を独占しようとする者や、彼の発明によって損失を被った者たちが、挙って彼を狙うようになった。その具体的な手段としては、脅迫や監視などが行われたと推測できる。


 そして陽子たちは、テラや自分たちの身に強く危険を感じるようになった。


 これが第一の結果であり、第二の原因。



 その後、テラの身を守ろうとした陽子たちは、それぞれが四散して、脅迫者の目を誤魔化そうと考えた。陽子とその夫がどこに行ったのかは分からないが、彼女の手紙では、二人とも僕が住む本州とは海峡を隔てた所に行ったらしい。


 そして、テラは僕の下へ送られた。


 なぜ僕の下にテラが送られることになったのかは、いまいち判然としない。手紙では、僕しか信用のできる人がいなかったと書かれていたが、それだけを理由とするには、今回の出来事は重大すぎる。これについては、一つの謎として保留しておく。



 昨日、つまり三日目、外出先で僕は戸田という新聞記者の男に出会い、テラが些か不安定な立場にいることを知る。そして帰宅したとき、僕の家の中に陽子の手紙と3000万円が入金された預金通帳が送り届けられていて、僕は事の重大さを思い知らされることになる。



 ざっと今までの経過はこうだ。


 結果的にすべて起こってしまっているのだから、疑いようがないのだが、しかし、これらの出来事は、一つ一つが気持ちよく繋がらない。所々で、大事なファクターが抜けているように思える。でも、それがどこの部分で、具体的に何なのかということはまだ分からない。僕が見落としているだけかもしれないし、あるいは元々そんなものなど存在していなくて、偶然と気まぐれの積み重ねでこうなったのかもしれない。



   そこで、僕に今何ができるのか。


 安直に考えれば、あと三日間を無事にやり過ごすことができれば、迎えが来て、テラをどこか別の場所へ連れて行くことになる。しかし、果たしてこの世界はそれほどうまい具合に事を運んでくれるだろうか。家の周りには知らないうちにボディーガードが配備されているらしいけれど、それはどこまで信用できるものなんだろうか。陽子が言うように、僕らにも、家ごと爆破されてしまうような危険が迫っているのだろうか。


 とにかくまずは、そこら辺の情報を集める必要がある。ボディーガードさんともコンタクトを取らなくてはならない。


 それよりも先に、テラとのコンタクトを取らなければいけないかもしれない。僕の勘では、彼は何か隠している。というよりは、自分が知っている情報を、僕に伝える必要性を感じていなくて、そのままやり過ごしているように思える。


 あと、残るは陽子とのコンタクトだが、これはどうやらより慎重にしなければならないようだ。場合によっては共倒れになる可能性もある。それは避けたい。


 やはり手始めはテラだ。何か情報を聞き出さなくては。今度は僕が質問する番だ。 









 

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