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正義の感染症  作者: ふん
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エピローグ:永遠の感染

 一年後、発端となったエコバッグ・ペットボトル炎上を覚えている人はほとんどいなかった。

 SNS上では相変わらず毎日新しい炎上が発生し、正義の戦士たちは新しい敵を探し続けていた。

 専門家たちは相変わらず解決策を提示し、その解決策が相変わらず新たな問題を生んでいた。

 政治家は相変わらず規制を検討し、その規制が相変わらず炎上していた。

 学者は相変わらず研究を続け、その研究が相変わらず学会を炎上させていた。

 すべてが相変わらずだった。

 一年前となにも変わらないSNS。


 そんな中、佐藤ケンジは今日も猫の写真を投稿した。


『今日のミー太郎。日向ぼっこ中』


 平和な写真だった。しかし、30分後、最初の返信が来た。

『その猫、太りすぎじゃない? 動物虐待では?』


 佐藤は思わず笑った。

「また始まった」

 彼はスマホを閉じ、リアルなミー太郎を抱き上げた。

「お前だけは炎上しないよな」

 ミー太郎は「にゃー」と鳴いた。

 しかし佐藤は知らなかった。その鳴き声が隣の家の犬を刺激し、犬が吠え始め、その騒音に近所の人が苦情を言い、苦情を受けた人がSNSで愚痴を投稿し、その投稿が新たな炎上の火種になることを。

 正義の感染症は、今日も静かに、それでいて元気に拡散を続けていた。

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