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第十二章 真実
炎上対策コンサルタントのマリコは、自分のオフィスで一人考え込んでいた。
数々の炎上案件を手がけてきた彼女だったが、最近ある真実に気づいていた。
炎上は解決できない。なぜなら、炎上を解決しようとする行為が、新たな炎上を生むからだ。
しかし、それに気づいたところで、彼女は仕事を続けなければならない。生活がかかっているからだ。
マリコは新しい名刺を作った。
【炎上対策コンサルタント】の肩書きを【炎上延命コンサルタント】に変更した。
そして、正直な営業文言を作った。
「炎上は解決できません。でも、上手に長期化させることで、お客様の存在感を維持し、話題性を保つことができます。私たちは炎上を終わらせるのではなく、炎上を芸術品に昇華させるお手伝いをします」
皮肉なことに、この正直すぎる営業方針が話題となり、マリコの会社は大成功を収めた。
【正直な詐欺師】として有名になったのだ。
そして当然、【正直な詐欺師って何だ】という新たな炎上が始まった。