↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載中】MOBILE FORMULA 2135 -スターライガ∞ 逆襲のライラック-  作者: 天狼星リスモ(StarRaiga)
【Chapter 1-5】It's So Hard

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/254

【34】激流の双子(前編)

【2026/7/13追記】

改行の形式を後半のエピソードと統一させるように修正。

初期版から文章を一部修正。

※ストーリー展開自体に変更点はありません

 ゲイル及びブフェーラ隊がレイキャヴィーク空港周辺で激闘を繰り広げていたその頃、市域南部でもイギリス軍MF部隊による本格的な攻勢が始まっていた。


「作戦は順調に進行中。引き続き敵戦力の掃討を行う」

「地上部隊の到着までにはあらかた終わらせるぞ」


 イギリス軍主力MF"サイクロン MGR.1"で構成される航空部隊はレヴォリューショナミーの防衛戦力を着実に排除しており、遅れて到着するであろう地上部隊の進軍ルートを確保しつつある。


「北部の方はゲイル隊が頑張ってくれているらしい。この戦い、おそらく勝てるぞ」


 このMFドライバーが述べている通り、激戦区となるエリアを一番強い短距離戦術打撃群が担当しているおかげでイギリス軍は楽をできているのだ。


「俺達も負けていられないな」

「オリエント人にばかりイイ格好させるかよ!」


 無論、遠路はるばる海外遠征してきた連中に地元ヨーロッパ勢が後れを取るわけにはいかない。


 多国籍軍内部で戦果争いをするつもりは無いとはいえ、短距離戦術打撃群の活躍に刺激されたイギリス軍MFドライバーたちは非常に高い士気を見せている。


「地上部隊のレーダー車両より入電! 『南西方向ヨリ高速デ接近スル飛翔体ヲ確認』――誰かそれらしき反応を捉えている者はいるか?」


 その時、航空部隊が制空権を確保した市街地を進軍中の地上部隊から敵影捕捉の報告が入る。


「地上部隊の言う通りだ! 方位2-2-2に所属不明機の反応を確認した!」

「サイズ的にはMFだが……たった1機で何をするつもりだ?」


 レーダー車両よりも高性能なレーダーを搭載し、尚且つ遮蔽物の少ない上空から索敵可能な航空部隊はすぐに"飛翔体"を捕捉する。


 距離が遠いため識別はまだ不可能だが、レーダー画面上の光点を見る限り飛翔体はMF1機だけのようだ。


「いや……待て、機影が二つに分かれた! しかも速い!」


 しかし、間も無く接敵というタイミングで敵影は突如二つに分離。


 レーダー画面でも分かるほどの一糸乱れぬフォーメーションで一気に距離を詰めてくる。


「お前だ! 狙われているぞ!」

「くそッ! 見たことの無い――!」


 奴らが獲物として見定めたのは実戦部隊へ配属されたばかりのルーキーが駆るサイクロン。


 ベテランドライバーはすぐに自分達と合流するよう促すが、彼の叫びも空しくルーキーとの通信は途絶。


 それと同時に味方機の反応もレーダー画面から消失していた……。



「こら! 勝手な行動を……弱い敵相手に無駄弾を使わないの!」


 ルーキーのサイクロンをやったのは、レヴォリューショナミーの新型機であろう見慣れないMFだった。


 その片方に搭乗する女性MFドライバー――ルナサリア語を話す女は相方の独断専行を咎め、フォーメーションを戻すように命じる。


「だって、アイツ弱そうだったもん。才能も無さそうだったし……弱いくせに戦場に出る奴が悪いよ」


 独断専行で敵機を撃墜した"問題児"は素直に従ったものの、戦果を挙げたのに怒られたことはどうも納得が行かない様子だ。


 彼女の持論によると"戦場では弱いことは罪"らしい。


「もう……編隊を組み直して!」


 ああ言えばこう言う相方に呆れつつもルナサリア人の女は改めて指示を飛ばす。


「はいはい。それにしてもアイツのビビり具合、情けなさ過ぎてさ……へへッ、思い出すだけで笑っちゃうや」


 問題児とルナサリア人の女――この同郷コンビの持ち味は一心同体の連携だ。


 前者が駄弁りながらも繊細な操縦で曲芸飛行隊顔負けの超接近飛行を維持し、援軍要請があった戦闘エリアへの移動を急ぐ。


 彼女らは空中接触寸前のリスキーな飛行によって敵のレーダーを欺いていた。


「ッ! 敵部隊の一部がこちらに向かってくる!」


 しかし、この距離まで近付くとさすがにこちらの戦力を欺瞞し続けることはできない。


 自機のレーダーで敵部隊の迎撃行動を確認したルナサリア人の女は気を引き締める。


「好都合だ、全員返り討ちにしてやろう」

「いえ、私達の任務はあくまでも"蒼い悪魔"の迎撃よ。雑兵の相手は必要無い」


 問題児は随分と血気盛んなようだが、任務遂行を優先するルナサリア人の女は戦闘回数を最低限に留めることを決めていた。


「ちぇッ……『邪魔な敵だけを叩きなさい』ってか」

「機体性能ならば完全にこちらが上。捕捉されてもそのまま振り切れる」


 極めて残念そうに上手な声真似で煽ってくる相方は無視し、安全且つ迅速に突破できるルートを空中に思い描くルナサリア人の女。


「レヴォリューショナミーの新型機だ! 警戒しろ!」


 恐る恐る接近してくる数機のサイクロンのドライバーが"不安"を感じていることは手に取るように分かる。


 なぜならば……。


「ナグモ!」

「了解だ、姉貴! たまにはクロエちゃんに恩を売ってやろうぜ!」


 ルナサリア人の女が妹の名前を呼ぶと、その一言だけで指示内容を察知したナグモは姉貴――ツクモが全く言及していなかった人物を話題に挙げる。


 彼女達はヤツヅキ姉妹。


 常人とは異なる特殊なパターンの脳波を持ち、嘘のように鋭敏な超感覚"イノセンス"を有する元ルナサリアンの双子であった。



「あいつら……あんな危険な飛行をしていてなぜ接触しないんだ!?」


 見ているだけでハラハラさせられる超接近飛行にイギリス軍MFドライバーは驚愕する。


「ここは通してもらうわよ……!」


 そして、それを目の当たりにしただけで怖じ気付く雑魚などツクモの相手にはなり得ない。


「ぶい・えす・える・しー――ええい! 目標捕捉!」


 ヤツヅキ姉妹の搭乗機は"XREV-004 ディオスクーロイ"。


 優れたイノセンス能力を持つ双子の搭乗を前提に2機製造されている同機は、従来のレーザーライフルに代わる射撃武装としてナグモが発音できていないV.S.L.C――可変速レーザーキャノンを採用していた。


 これはレーザーの集束率及び発射速度を調節することで特性を変化させる、使いこなせれば戦術の自由度が高まる画期的な兵装であった。


「「発射!」」


 2機のMFは腰部に装備された計4基のV.S.L.Cを進行方向上に向け、高集束率・高速発射で貫通力に優れた細いレーザーを放つ"スナイプモード"に設定。


 自分達の行く手を遮るように数機のサイクロンが接近してきた瞬間、双子は寸分の狂い無く完全一致したタイミングで左右操縦桿のトリガーを引く。


「くッ……回避ブレイク!」

「2機、いや3機やられた! たった一度の攻撃で!」


 ベテランドライバーは指示を飛ばしながら自らも緊急回避で攻撃をかわしていたが、他の機体は彼のようにはいかなかった。


 不幸にも蒼く細いレーザーに射抜かれた数機のサイクロンはバランスを崩し、体勢を立て直せないまま市街地へと墜落していく。


「情けない! 足止めさえできないとは……!」


 墜落時にドライバーの脱出を確認できなかった機体もあった。


 僚機を喪ったことをベテランドライバーが嘆いていた時、その悲劇を招いた2機の新型MFは既に追撃不可能な距離まで飛び去っていた。


「(ああいう兵装を使っていた連中を俺は知っている……が、彼らとレヴォリューショナミーに繋がりがあるとは思いたくないな)」


 ところで、このベテランドライバーは僚機の命を奪ったああいう兵装――V.S.L.Cに似た兵器を以前見聞きしたことがあった。


 今から3年も前の話だが……世界に先駆けて実用化された可変速レーザー技術が何かしらの要因で流出したとは考えたくなかった。


「敵機、高速で離れていきます! 追跡は困難!」

「深追いするな! どちらにせよ我々の戦闘力では太刀打ちできん!」


 部下の報告を受けたベテランドライバーは追撃を禁じる。


 先程の先制攻撃の時点で実力差は歴然としており、そもそも機動力の差が大きく追跡自体が不可能だった。


「地上部隊、余裕があればベイルアウトしたドライバーの救助を頼む!」


 不幸中の幸いは鈍足且つ脆弱な地上部隊が全く狙われなかったことだろうか。


 ベテランドライバーは僚機がロストした位置座標を戦術データリンクで地上部隊へ送信し、生存者の救助を任せる。


「(気を付けろよ、ゲイル隊……!)」


 2機の新型MFは地上部隊には目もくれず、しかも典型的な空対空装備で随分と身軽な兵装をしていた。


 奴らの狙いはおそらくレイキャヴィーク空港周辺に展開中のゲイル隊。


 生まれた国は違えど同じ地球人たる彼女たちの無事をベテランドライバーは心の中で祈るのだった。



 一方その頃、ゲイル隊のうち隊長を除く2名――スレイとアヤネルはレイキャヴィーク空港周辺に展開する防衛戦力への攻撃を順調に進めていた。


「マイクロミサイル、シュート!」


 空港上空で作戦行動中のスレイは地上に残っている多数のターゲットをロックオンすると、空対地マイクロミサイルが搭載された乗機オーディールM3のウェポンベイを展開。


 頭上からミサイルの雨を降らせることで地上目標を一網打尽にしてみせる。


「ゲイル3、ファイア! ファイア!」


 それに対して射撃戦が得意なアヤネルは相方の援護攻撃の間隙かんげきを縫って地上に降り立ち、両肩に担いだ無反動砲による時間差攻撃で残敵を一掃していく。


「アヤネル! 後方に注意(チェックシックス)!」


 上空にいるスレイは戦場の状況を把握し相方をフォローする役割も兼ねている。


 彼女はアヤネルのオーディールに接近する白いMF――バイオロイドのリガゾルドB型を視認し、牽制射撃で妨害を図りつつ注意を促す。


「まだいやがったか……邪魔だ!」


 ビームブレードを構えながら突撃してくるバイオロイド専用MFにアヤネルは冷静に対応。


 格闘武装に持ち替える余裕が無かったことから飛び蹴りによるカウンター攻撃で間合いを取り、転倒しかけた敵機がリカバリーする前に無反動砲の一撃を叩き込む。


 爆風が収まった時、徹甲榴弾の直撃を受けた白いMFは上半身が無くなっていた。


「お前、上空にいるんだろ? そっちから見た状況はどうだ?」


 敵対勢力を沈黙させたアヤネルは上空待機中のスレイに詳細な状況確認を求める。


「目立った抵抗は確認できない。ふぅ……隊長たちがカタを付ける前に制圧できたわね」

「逆にあっちは結構手こずっているみたいだな。あの黒いヤツが気掛かりだし、そろそろ援護に向かおう」


 見晴らしの良い上空からでも敵残存戦力の存在は認められないと報告するスレイ。


 それを聞いたアヤネルは航空戦の軌跡が描かれている東の空を見上げ、そちらで戦い続けているであろう隊長セシルとの合流を提案する。


「ええ……いや、待って! 南西方向に新たな敵影を確認! 機数1!」


 相方の意見に同意しエレメント(2機編隊)を組み直そうとしたその時、スレイのオーディールのレーダー画面に突如敵機を示す赤い光点が現れる。


「こちらでも捕捉した! しかも速いぞ……新しいエースのお出ましか!?」


 同じく敵増援を捉えたアヤネルはレーダー画面上でも分かるほどの機動力に着目。


 今から移動しても交戦は避けられないと判断し、警戒を強めるのであった。

【イノセンス】

3年前のルナサリアン戦争中からオリエント圏を中心に相次いで報告が為され、その後正式に存在が認められるようになった特殊能力のこと。

この能力を持つ者はオリエント語風に"イノセンティア"と呼ばれる。

現時点では研究方法自体が模索段階且つ対象となる能力者も少ないため、信頼性の高いデータが揃っておらず最終結論は控えられているが、イノセンス能力に覚醒した者に共通する特徴として特殊なパターンの脳波と鋭敏な感覚を持つことが判明している。

前大戦末期には旧ルナサリアンでも存在が認知されていたらしく、彼女らの言葉では"純心能力"と呼ばれていた。


本作を読んで面白い・良かったと感じて頂けたら、高評価・ブックマーク・感想・レビューなどをお願いします。

総合評価ポイントが増加すればランキング入りする可能性が増え、より多くの人の目に留まる機会を得ることに繋がるので……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。