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【連載中】MOBILE FORMULA 2135 -スターライガ∞ 逆襲のライラック-  作者: 天狼星リスモ(StarRaiga)
【Chapter 3-4】Focus on Escort

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【192】義侠のライラック(後編)

 一方その頃、こちらは護衛対象の要人を乗せているCH-47JB輸送ヘリ――コールサイン"ボールドイーグル"。


「凄い、敵がどんどん減っていく……!」

「油断するなよ、撃ち漏らしの2機が近付いて来る」


副操縦士のベアータが見ているレーダー画面から赤い光点が次々と消えていく光景が、先行した2機のMFの圧倒的戦闘力を証明していた。


しかし、機長のミルヤミは感心しっ放しの副操縦士を窘め最後まで気を抜かない。


「サレナさん! 迎撃を!」

「いえ……大丈夫よ」


敵機接近を受けて迎撃を求めるミルヤミの支援要請を直掩のサレナが退けた次の瞬間、ボールドイーグルに向かって接近していた2機のUAV(無人戦闘機)が突如蒼い光線に撃ち抜かれ爆発四散。


「前方で爆発を確認! 敵機影、全て消滅!」


その直後、レーダー画面を監視していたベアータは爆発と同時に敵機の反応が消滅したことを報告する。


「流石だな……あれが史上最強のエースドライバーの戦闘効率か」

「もう一機のドライバーもやり手ですけど……何者なんです? ライガさんと連携できる人間なんてそうそういないのに」


戦果を誇るかのように2機のMF――パルトナ・メガミRMとエクスカリバー・リベリオンは輸送ヘリとすれ違い、後方で反転してから改めて編隊を組み直す。


本来は敵同士とは思えないほど統率された動きにミルヤミとベアータは感動さえ覚える。


「……」


他方、悪気は無いとはいえ長年にわたり確執を抱える母を称賛する言葉を、サレナは素直には受け入れられなかった。



 最後の戦闘から十数分後、ボールドイーグル及び護衛機は襲撃の可能性が低いとされるエリアに到達。


それを祝福するかのように吹雪は収まり、ようやく太陽が昇り切った空は蒼く晴れ渡っていた。


「ボールドイーグルより各機へ、本機は無事安全圏に到達した」


輸送ヘリを操縦するミルヤミは本作戦の山場を乗り越えることができたと宣言する。


「この辺りはエソテリア市街地に近い。民間人に被害を出すリスクを負ってまで仕掛けてくることは無いだろう」


ここから先が安全圏である根拠は人口密集地の存在だ。


ミルヤミが指摘している通り、これからヘリは市街地上空を抜ける飛行ルートを取る。


民間人を盾にしていると言われればそれまでだが、それを分かっていて撃墜を試みるのならばそれこそ悪だろう。


「乗員一同を代表して感謝の言葉を述べる」

「ヴワルに到着してから改めて聞かせてくれ。まだ道程みちのりは残っているからな」


もう作戦成功した気分でいるミルヤミを窘めるように"感謝の言葉はまだ早い"と返すライガ。


「……さて、一応国際指名手配犯の私はここでおいとまとしますか」


そして、これ以上の助太刀は必要無いと判断したライラックも正規軍に嗅ぎ付かれる前に離脱を図る。


彼女は旧ルナサリアンへの協力やテロ活動への関与といった罪状により、インターポールから国際指名手配を受けていた。


「母さん……今回の件に限っては感謝します」


この機を逃したら二度と言葉を交わす機会は無いかもしれないと感じたのか、サレナは母の去り際に感謝の気持ちを伝える。


「……だけど、次に戦場で会った時は見逃さないから」


無論、今回が特例だという注釈付きで。


「フフッ、その言葉は肝に銘じておくわ」


娘から釘を刺されたライラックがどこまで真剣に受け止めたかは分からない。


だが、今回の行動で目立った分しばらくは大人しくしてくれるかもしれない。


「それじゃ……"積み荷"さんによろしくね」


最後に輸送ヘリの機内に向かって左手を振ると、ライラックのエクスカリバーは今度こそ南に針路を変えて離脱していくのだった。



 安全圏到達から更に数時間後――。


パルトナ・メガミRMとクリノス・エグゼに護衛されたボールドイーグルは目的地のヴワル市スターライガ本部に到着。


護衛対象はもちろん、作戦に参加した人員も誰一人欠けずに生還させることができた。


「――本件に関する報告書はそちらに送信しておいた。後で確認してほしい」


本部に帰還したライガはその日のうちに報告書を作成し、電子データを依頼主である連邦情報総局に提出。


程無くして依頼発注時に訪問してきたレギーナ・ピスクンから電話があり、その応対が今年最後の仕事となった。


「報告書にも記載しているが、O.S.とその娘はしばらくの間こちらで保護しようと思う」


ところで、依頼発注時には保護した人物達の作戦成功後の扱いに関する指定が無かった。


それを覚えていたライガは自分達に有利な条件を報告書に記載しており、その内容を承認するよう遠回しに迫る。


「スターライガ本部――あるいは我々の母艦は世界で一番安全な場所だと自負しているからな」


通話相手のレギーナは電話越しに悩んでいる感じだったが、ライガが更に圧を掛けたことで"前向き"な回答を示してくれた。


「うむ……今年の年末は完全には休めないが、あまり無理はするなよ若いの」


戦時体制下では国防に関わる仕事をしているレギーナはもちろん、そういった業務に就く組織から依頼を受けるライガも今年は制約付きの年末休暇となる。


とはいえ休める時は休むよう彼は自分より遥かに年下の若者を気遣う。


「では、何かあったらまた連絡してくれ」


通話を終え受話器を置いたライガは一息吐きながら背筋を伸ばす。


これで今年最後の大仕事は終了だ。


「(今年は即応体制での休暇とはいえ、家に帰ってリフレッシュできるのは重要だ)」


年末休暇はヴワル市郊外の自宅に戻り、家族と共にクリスマスを過ごし英気を養う。


ただし、緊急招集を受けた場合はいつでも応じられる状態で備えておく必要がある。


「(母さんにも身体を労わってもらいたいしな……)」


また、近所に住んでいる母レティも例年通り息子夫婦の家に帰って来る。


ライガはここ3か月間働き詰めだった母の体調を案じていた。

【インターポール】

正式名称は国際刑事警察機構。

フィクションと異なり独自の捜査権は存在せず、本来の主目的は各国の法執行機関の国際連携である。


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