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【連載中】MOBILE FORMULA 2135 -スターライガ∞ 逆襲のライラック-  作者: 天狼星リスモ(StarRaiga)
【Chapter 3-4】Focus on Escort

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【190】サプライズゲスト

 護衛対象のすぐ近くに敵増援が出現した報を受け、それを迎撃するべく直ちに引き返したサレナ。


「(情けない……! 敵機に纏わり付かれているのに、何もしてあげられないなんて!)」


しかし、彼女の愛機クリノス・エグゼが到着した時点で敵増援は護衛対象への攻撃を開始していた。


護衛対象であるCH-47JB輸送ヘリ――コールサイン"ボールドイーグル"が持ち堪えているのは、ひとえにパイロットの操縦技術のおかげだ。


「(私にライガみたいな射撃技術さえあれば……!)」


この距離からはメインウェポンの試製レールランチャーの有効射程であり、理論上はUAV(無人戦闘機)を一方的に狙撃できる。


だが、視界不良の状況下で護衛対象への誤射を避けつつシルエットが小さいUAVを狙い撃つことは、サレナの技術では極めて困難でリスキーな行動だ。


精密射撃と早撃ちが得意な相方のライガならば造作も無いことだろうが……。


「……ッ!?」

「新たなアンノウン! すぐ近くだとぉ!?」


リスクと安定の狭間で手をこまねいていたサレナは、ボールドイーグルの機長ミルヤミよりも早く所属不明機の出現に反応する。


所属不明機から放たれたと思われる回避不能な蒼いレーザーは輸送ヘリ――ではなく、それにしつこく絡んでいたUAVの一機を正確に撃ち抜いていた。


「いや、UAVを撃墜している……ライガさんが援軍を呼んでくれたのか?」

「……違う、あれは私や彼にとっては味方じゃない」


射線上に積極的に割り込むことで攻撃を誘引しつつ迎撃してくれる所属不明機を副操縦士ベアータは味方と認識するが、その光景を確認したサレナの反応は完全に真逆だった。


「味方じゃないなら何なんだよ!」

「――フフッ、"善意の第三者"と言ったところかしらね」


至極当然なミルヤミの指摘に答えたのは、なんと所属不明機のMFドライバー自身であった。


「……何故あなたがここにいるのですか、ライラック・ラヴェンツァリ」


その声をサレナはよく知っている……あまり認めたくなかったが。



「非武装の輸送ヘリが一方的になぶられていたら、救援するのが良心に基づいた行動というものでしょう?」


ライラック・ラヴェンツァリ――。


レヴォリューショナミー創始者の一人の足取りはここ最近掴めていなかったが、まさか任侠を説きながら祖国オリエント連邦に堂々と現れるとは。


「(あの機体……3年前にラヴェンツァリ博士が乗っていたモビルフォーミュラ……?)」


そして、奇妙なことに輸送ヘリの窓から機外の様子を窺っていた要人O.S.――オウカはヘリを守るように戦った灰色の大型MF、エクスカリバー・リベリオンを知っているようだ。


「本件に関する情報をどうやって入手した、博士?」

「地球圏広く同志を抱える我々の情報収集能力を侮らないことね」


遅れて護衛対象の近くまで戻って来たライガからの詰問きつもんに対し、答えをぼかして誤魔化すライラック。


レヴォリューショナミーの情報収集能力の高さは事実であり、それを基に主力を動かす戦略には度々苦戦を強いられてきた。


「それはともかく、そのヘリの"積み荷"は私にとっても守り通したい者なのよ」


だが、ライラックがこの戦闘に介入した目的は積み荷――すなわちオウカの護衛という私的な理由らしい。


「……」


実の母親の言葉を信用できず黙り込むサレナ。


「……その言葉、この場に限っては信頼に足ると見た」


一方、幼馴染の母親として家族ぐるみの付き合いがあったライガは意外な反応を示す。


「ライガ……!」

「今は護衛対象を守り切るために駒が欲しい。少しでも怪しい行動を見せたら、お前の代わりに俺が殺す」


幼馴染の名前を呼ぶサレナの声には不満感が滲み出ていたが、自身の判断に責任を負うことを条件に抗議を退けるライガ。


「(お前自身のイノセンス能力に聞いてみろ。あの人は嘘をいていないと分かるはずだ)」


一応のフォローとして彼は秘匿通信で"感情ではなくイノセンス能力を信じろ"と冷静に諭すのだった。



 ライラックの加勢――護衛戦力の追加により敵は任務遂行困難と判断したのか、その後しばらくは平和な編隊飛行が続いていた。


「こちらボールドイーグル。一時はどうなるかと思ったが、何とか安全圏まで到達できそうだ」

「これもあの機体のドライバーのおかげですね。サレナさんと同等かそれ以上の技量の持ち主がいるとは」

「……」


護衛対象の輸送ヘリを操縦するミルヤミとベアータの言葉に悪気は無かったが、それを無線で耳にしたサレナは露骨に不愉快そうな表情を浮かべる。


「危ない目に遭っておいて懲りないようだな、ベアータ。もう一波乱あるかもしれないから気を抜くなよ」


その心中を優れたイノセンス能力で察したライガは遠回しに助け舟を出す。


「(サレナのラヴェンツァリ博士に対する感情は複雑だからな……外から見て分かるモノではない)」


サレナとライラックの関係は娘と母。


言葉にするならこれだけだが、実際にはこの一言では表せない複雑な事情があることをライガは知っている。


「……くそッ、本当にもう一波乱ありそうだ。針路上に展開する敵UAV編隊を確認した」


そして、彼の悪い予感は的中してしまう。


ミルヤミが見ているCH-47JBのレーダー画面には敵機を意味する6つの赤い光点が表示されていた。


「母さん――ラヴェンツァリ博士、何のつもりですか?」


敵増援の報告を聞くなり加速して編隊から突出するエクスカリバー・リベリオン。


連携を乱しかねない母の行動の真意をサレナは心なしか厳しい口調で問う。


「疑り深い娘に信用してもらうための行動よ」


娘からの詰問に対しライラックは"積極的な迎撃行動"だと悪びれもせずに答える。


「この人の監視も兼ねて俺が前に出よう。クリノス、お前はボールドイーグルの直掩を続けろ」


とはいえ、本来は敵対している人物を自由に行動させるのは確かに不安だ。


そこでライガは自分が監視兼サポート役に回り、幼馴染には護衛対象の直掩を任せることを提案する。


「……了解」


自身の意見具申が護衛対象を窮地に追い込んだ負い目もあり、サレナはフラストレーションを我慢して命令に従うのであった。

【Tips】

オウカの地球への亡命に際しては、当時ルナサリアンの客将であったライラックが手引きしたと云われている。


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