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ばんばんばんばんばん

「おねえちゃーーーん」


部屋の前で突然大泣きしだした弟に亜美夏は戸惑った。


隣の部屋の中からの声ではなく扉の前だ。

そこなら下の階の両親にも筒抜けのはずなのに、それなのに止めに来ない。

どうやら両親に怒られたのがきっかけなのは間違いなさそうだ。


バンバンバン、バンバン、バンバンバン

怜のやつ今度は扉をたたき始めた。


「おねえちゃーーーん」

バンバンバンバンバン


「お ね え ちゃーーんんんぅぅぅぅぅぅぅ」


亜美夏にとっての弟は馬鹿みたいに前向きで

馬鹿みたいに頑張り屋で3年生のくせに、中1の姉を小馬鹿にするくらいにませた大人なガキだった。


私より馬鹿なくせにさ。

「宇宙飛行士になる」って言い出した日なんて

「お姉ちゃんみたいになりたくないから、夢見なくて引きこもるくらいなら今から一生かけて叶えなきゃいけないくらいでっかい夢を見てやるんだ。なんならおまけで姉ちゃんも一緒に連れてってやるよ宇宙の先まで!」

なんてことを言うだけ言っていびきかいて寝やがった。


ほんとに馬鹿で馬鹿で馬鹿で馬鹿で馬鹿な弟なのだ。


三度目のばんばんばんが鳴り出した。


亜美夏は扉の前まで来ていた。

その向こうに泣いてる弟がいる。

亜美夏は弟が好きだった。馬鹿で馬鹿だし馬鹿だけどでも、大好きだった。


鍵に手をかける。

この鍵を軽く半周させればカチャリといって鍵が外れる。

動かせない。手が動かない。右手が震えだして。

それを抑えようとした左手が震え出して、怖い。


怖い怖い怖い。弟が怖い。弟は私が好き?

私は好かれるような人間なのかな?


「おねえちゃーーーーん」

私は、亜美夏は諦めて一歩下がってその場に座り込んだ。


その時階下から声が聞こえた。

「無理なものは無理なんだからね」母親の声だった。


その後も何か続けて言ってる気がしたけど

姉ちゃんは、亜美夏は聞いてやらなかった。


その代わり小さく呟いた。

「無理って決めんな」


そして、カチャリと、いつの間にかドアを開けていた。

ドアの前の弟の、泣きすぎてすごい事になってる弟の服の襟をぎゅっと掴むとそのまま部屋の中に乱暴に引き込んだ。そして、何事もなかったかのようにドアを閉める。と同時に鍵を掛ける。


その間、ほんとに無心で


亜美夏が気づいた時には、弟が、怜が不思議そうに亜美夏の顔を見上げていた。



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