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いいかげんなプロローグ

 少年は宇宙飛行士になるのが夢だった。


 夢は見るなら早いほうがいい

 

 姉ちゃんは夢見ることができなくて自分の中に、自分の部屋に閉じこもってしまった。父さんはそう言っていた。


 「亜美ちゃんは人の優しさを信じられなくなったのよ。」母さんはまるで遠い国の話でもするように疲れた顔で呟いた。


 そして僕に両親は自分を信じろ、強く生きろって言った。姉ちゃんの分まで…


 そんな姉を持ってしまったから、だから、少年は小学生のうちに決める事にした。自分は宇宙飛行士になるんだと



 姉は外が見たくなかった。


 外なんて悪意で満ちている。悪意が満ちすぎていて彼女は息すらできなかった。


 きっかけはありふれたいじめだ。突然クラスの女子が口を聞いてくれなくなった。男子は病原菌とでも言うかのように大袈裟に避けて『ウイルスウイルス』って騒いでた。


 小学生の頃に、まだ2年生の時に遠足で一度吐いたことがある。バスに酔って仕方なかったのに。

でもそのせいでバスがすごい事になった。


 袋がたまたま私の座席にはなかったから。私はみんなに迷惑をかけてはいけないと思ったから。だから私はその場にあった袋、自分の鞄の中に吐いた。


 でも、バスは酸っぱいニオイでいっぱいになって。他の子まで吐き出して。私は泣いて、クラスの女子もたくさん泣いて。遠足の思い出はその時の泣きたくても泣けない担任の顔くらいしか残ってなかった。


 その時はそれですんだ。はずだったのに…


 私が学校に持ってきた袋が、体操服入れてた袋がその時の袋だって言い出した子がいた。

 冗談だったのか本気だったのか、そんな袋取っておくはずがない。すぐに捨てたのに。


 それなのに、鞄が臭うだの私が臭うだの女子も男子もふざけるな。


 私がなんで、なんでなんでなんでなんでなんで


 口も聞いてもらえず、言い訳もできず。私はクラスに漂う悪臭になって

悪臭になった私は、1週間と3日と4時間目の授業が終わって、イヤイヤ席をつけるフリをしてイヤイヤ同じ空気を吸うフリをしてイヤイヤ同じ空間にいるフリをする給食という、そのごっこを前に気を失った。


 その場に倒れる私を、誰も助けようともせず、倒れた私からみんな遠ざかっていた。


 そして、過呼吸症候群だの適応障害だのストレスからくるパニック症候群だのイジメに学術用語が付けられて私は病人になった。

私は引きこもる言い訳を押し付けられて、部屋に閉じこもった。


 皆、私が嫌いで、私は私が嫌いで、閉じこもった部屋は牢獄みたいに何もなかったけれど。一度閉じこもった部屋から抜け出すのは、逆立ちして100m走るよりも難しかった。


 時々母親が部屋をノックする。


 父親は咳払いだけだ。


 その後グダグダ言ってるけど聞いてやらなかった。心配してるのかもしれない。それは病気の私?いじめられてた私?


 聞いてやらない。


 どっちにしろ惨めなのは私じゃないか。


 それに、まるで半を押したようにいつもいつも、母親は部屋をノックする。父親は咳払い。そんな合図を出されたらこっちにしては音楽を大音量でヘッドフォン。そうしろって言ってるようなもんじゃないか。


 でも、弟の不意打ち攻撃だけは痛かった。


 なんでも言ってくる。突然脈絡もなく。隣の部屋から壁越しに


「理科で100点取ったんだ」とか言われてもあっそ、くらいしか言えないじゃん。

「でも、算数で65点…」ダメじゃん。


「決めたよ。宇宙飛行士になる。そしたら姉ちゃんも一緒に乗っていいよ。おまけにね」

なれるかよ65点。


 なれてもお姉ちゃんはあんたの飛行機になんか乗ってあげませんけどね。


 そんな弟が部屋の前で突然大泣きしだした。


 それがあの不思議な夜の始まりだったんだ。


 そう、その星降る夜に私たちは妖精と名乗る変な女にあった。バカみたいに真っ白な3人は雪よりも白かったし冬よりも寒かった。他にも真っ黒だったり、びっしりいたり、いろいろで...



 そして


 私は世界をぶっ壊した。


 弟は夢を果たした。


 私たちはそんな夢を見れたんだ。


 「いいかげんな星降る夜の物語」 映画のタイトル風に言ってみる。


 少年の名前は「怜」

 姉の名前は「亜美夏」


 これは私たち2人の他愛ない、でもかけがえのない夢の一夜の物語だ。


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