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逃走中

帰省から一夜明け、昨日脱走した患者さん、

伊藤奏さんの資料を確認する。


伊藤さんは生まれつき心臓が弱いらしい。

疲れたりすると変な不整脈が出たり、

突然倒れたりするらしいが、原因は不明。

この病院にいる理由も検査と療養のため。

実家は都内の美容室。

母が女手1つで育てているため、夏休みは毎年

療養を兼ねて母の実家があるこのL県へ、か …。


で、何故私がこんな事をしているかと言うと、

父親に命じられたから、に、他ならない。

「すぐ脱走しちゃうんだ。拓真、どうせ暇だろ?

相手になってあげてよ…」

とは言われたものの、相手は多感な中学生。

私より8歳も年下。しかも異性!

ハードル高いな…。


とりあえず… 脱走しないように見張ってれば

いいんだろ?

伊藤さんの部屋を一応確認しておくか…。 


私は父親に貸してもらった白衣を身に纏い

入院病棟へ向かう。

現在、朝の10時。

朝の検温が終わり、仕事が始まる時間…

バタバタバタバタ…

何だか騒がしいな…

具合の悪い患者さんでも出たのか…?

「あ…っ!拓真くん!」

向こうから看護師長の井上さんが小走りに近づいてくる。何か…嫌な予感がする…。

「伊藤さんがいなくなっちゃって!!捜してくれる?今ちょうど拓真くんにお願いしようと思ってたのよ!!」

井上さんが走って来ながら拝む様なポーズをする。

…やっぱり…。

「…はい。」

早速仕事が舞い込んで来たか…。

私は観念した。

「捜すって言っても…いつもどの辺に居るんですか?」

井上さんに質問する。

「ここって無いのよ。とりあえず医院の外って事はないから、敷地内にはいる!」

そう言われて立ち眩みを覚える。

敷地内…って。

病棟自体は小さいとは言え、

めちゃくちゃ範囲の広いかくれんぼだな…

コレは、本腰入れんと見つからなそうだ…

私は覚悟を決めて

病院内を捜し始めた。

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