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第1話 現在の僕
僕は暗闇の中に立っている。
ここには何もなくて、光もないから。
どうしていればいいのか分からない。
ひどく退屈だよ。
それから長い時間が経った。
とてもとても長い時間が。
そうしたら、その暗闇に人の気配。
こんばんは、僕は虚勢の僕だよ。
本音の僕を迎えに来たんだ。
ぽつぽつぽつ。
たくさんの人達の気配。
再生される思い出。
あ。
思い出した。
僕は外で、何かとてつもない悲しい出来事に面して、それに耐えられなくなったんだ。
それでその悲しい出来事から逃げるために、この暗闇の中に引きこもったんだった。
うん。
虚勢の僕。
今までごめんね。
僕の代わりに頑張ってきたんだね。
でも、もう大丈夫だよ。
この暗闇がずっと僕を守ってくれたから。
もう、傷はふさがったから。
だから、今度は僕が頑張るよ。
止まらなかった涙は乾いた。
もう、この目に滲んで見えていた景色はどこにもないよ。