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プロローグ

 ついこの間作成された人類のルールによれば、殺人は重犯罪である。

 世界を生み出した創造主だの、神だのに罰されて、地獄なる辛い場所に落とされるらしい。

 じゃあ、創造主だの神だのが人を殺した場合、どうなるのだろう。

 全知全能なんだから、無かったことにできてもいいはずなのに。


「あぁ〜、どうしよう」


 リィは長い髪をくしゃくしゃに掻きむしりながら、月光に照らされた男性の死体を見下ろしていた。

 冷たい夜風がリィの貧相な体に触れる。服を着ていないので余計に寒い。

 真夜中にすっぽんぽんの全裸で外にいたら風邪を引いてしまうだろう。

 リィとっては、それどころではないが。


「うっ、ケホッ、ケホッ。もうお終いだ……」


 男に死んでほしかったわけじゃない。

 不可抗力だ。

 決して意図的な犯行ではないが、誰も信じてくれやしないだろう。


「あんなイケメン信じなきゃよかったのよ!」


 後悔先に立たず。

 過去を嘆くだけで失敗をなかったことにできるなら、お腹出して寝て翌朝腹痛になる人間なんていやしない。

 

「ごめんねルゥ、こんなお姉ちゃんで……。ごめんね……」


 涙が溢れて止まらない。

 もうだめだ。なにもかもお終いだ。

 きっと両手足の爪を潰されたあと殺されるのだ。

 いまのうちに爪を鍛えて硬くしておけば、多少は苦しまなくて済むだろうか。

 

 いやいや、なにを後ろ向きに考えている。

 こんなときこそ冷静にならなくては。冷静に、対処しないと。

 誰にも見つからず、速やかに逃げ出すのだ。

 できる。きっとどうにかできる。うまく誤魔化せるはずだ。

 爪を鍛える必要などない。

 だって自分は、全知全能の神なのだから。


 そのとき、


「おい!」


 背後から男に声をかけられた。

よろしくおねがいしまーーすッッ!!!!

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