精霊王と神
「なんででしょうね。ほっとけばいいものを…」
「私たちの愛し子が…やっと…やっと幸せになれるかもしれなかったのに!!」
「ねぇ、地球が僕達の管理下に無いのがいけなかったんだよ。僕達の管理下にあるアルトスに転生させてあげようよ…もうあの子が苦しむのを見たくない…助けてあげられないのはもう嫌だ。」
「アルトスなら我の世界でもある。我が愛し子を守ろう。」
「そうだな…アルトスなら我らの力を貸すことができる。何より干渉が可能だ。しかし…」
「彼女を世界一愛してあげられる家族の元へ魂を送りましょう。」
「だが…私でも1人だけ我らも干渉できない人物がいる…なによりお前が送ろうとしているのはヒューズリス公爵家だろう?」
「アルトスは乙女ゲームというものをモチーフとした世界なのであろう?しかし乙女ゲームと少し相違点がある。それは我もそなたら3人の神も干渉できるというところだ。」
「僕達がいる。気をつけるのはこれから生まれるであろう男爵家の女児だけだ。忌々しいがアルトスしか僕達が完全に手を出せる世界がないじゃないか!」
「そうだな…仕方がない…アルトスで、我らが幸せになれるようにしよう。」
「「「「祝福あれ。」」」」
暖かいくてふわふわしたものが私を包む。
私は何故か泣いている。
ぼんやりと見えるのはとても綺麗な色…髪の毛?
ううん。それよりここはどこ?
「旦那様!奥様!おめでとうございます!可愛らしい女の子ですよ!」
「よくやった…!!初めての女の子だ。どのような名前がいいと思う?」
「あなた…この子を見た瞬間に思いついたのですがアメリアはどうでしょう?この子は神に愛されている気がするのです。」
「アメリアか…いいな。この子の名前はアメリアだ!」
「アレックス、ルーカス、この子が私たちの娘でありあなた達の妹、アメリアよ。」
ソフィアは優しげな瞳で息子達を見た。
「妹ですか!?」
「僕達の?」
初めて見る今にも散って儚い妹。
「そうだ。これからお前達が守っていく存在だ。」
「任せてくださいお父様!」
「僕が守る。」
「2人ともお願いね。神々よ…精霊王よ…この子に祝福を」
その時だ、少し曇っていた空に光が差し、神々しい光がヒューズリス公爵家の領地をおおったのは…
みんなは驚き目を見張った。
たった今生まれたアメリアが外の光と同じように輝いていたからだ。
ソフィアは腕の中で眠る我が子を見つめ、守っていく事を決心した。その場の誰もがそう決心した。
翌日から公爵家は作物がぐんぐんと育ち、花は見事に咲き、草は青々とし、患っていた病気や負っていた怪我や古傷、すべてが治った。
みな不思議に思ったが彼らが敬い尊敬するヒューズリス公爵家の当主カルロスによる魔術を使った宣言で、公爵家に新たな女の子が誕生したことを知った。
神に祝福された子だと思いしばらく街では誕生を祝う祭りが開かれていた。
私の名前はアメリアと名付けられた。
はねられたはずの私がどうして…
このあたたかいては…
本能的に自分の新しい母だと悟ったアメリアはその腕の中ですやすやと安心しながら眠ってしまった。
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