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冒険者ギルドを育てよう〜S少女とお人好しニート少年〜  作者: みーちゃん
第一章 領主の娘とニート少年
9/9

ギルドでスキル測定

4人はダンジョン探索からギルドに戻った。


ギルドにはレベルがどれだけ上がったかを測定する魔道具がある。


レベル。人間の世界でありそうでないパラメータだ。

『魔物を倒す→経験値が入る→レベルが上がる』

凄くわかりやすく、単純明解なのだが魔物を殺しただけで人間が成長する訳がない。


猫が人間の言葉を話すくらい不可解な現象だ。

この世界の神は人間を道具に楽しんでいるのに違いない。



レベルはさて置き、『スキル』と言うものがある。これは技能の部類で料理が出来る、鍛治が出来るなどといった付加能力だ。


レベル10毎に積んだ経験により勝手に現れる能力だ。

ギルドのレベル測定魔道具はレベルと一緒にこのスキルもギルドカードに記してしまう。


今回パーティー全員がレベル10に達してスキルを得た。

結果はエリーのスキルは『覗き』ダンが『忍耐』ウィルは『絵描き』テルが『木細工』だった。


『絵描き』や『木細工』ってもはや趣味の分野だ。『覗き』や『忍耐』が趣味だというのも悲惨だが。


エリーは、ギルドカードを見るなり投げ捨て、怒りでワラワラ震えている。エリーのギルドカードを拾ってあげようとテルが手を伸ばしたが、エリーはあろう事かその手を踏み潰している。

「女子の私が覗きなんて、このカードどうしてくれよう」

八つ当たりはカードだけにして欲しいものだ。


かわいそうなテルに黒猫は治癒魔法をかけて上げた。

(この世界の神、中々やるな。もしかしたら、自分かもしれない。)黒猫は自分の事ながらそうも考えていた。


スキルがこうなったのは理由がある。

エリーはダンジョンで敵の動きを注視していたのだろう。将来的には『千里眼』や{鑑定』の能力になる可能性がある。


ダンの忍耐は、エリーの仕打ちに我慢をしていたからか敵の攻撃に対して堪えたからかもしれない。


テルの木細工は矢を沢山作ったからで、ウィルの絵描きはダンジョンマップの作成を手伝わされてるからだ。



ギルド内は少しずつ様変わりして来た。

他のギルドより高く魔石を引き取ってくれると言う噂が流れ、冒険者が魔石を売りに来る様になった。


さらにある商会が大量に魔石を買い集めてる事でギルド本部が魔石の相場を上げて来た。

エリーは他のギルドよりさらに高い金額を設定して今や魔石は1個250Gで取引されるようになった。


ある商会とはおそらくケニーだ。魔石を液状化した事で魔石の優良性に気付いたのだろう。


薬草栽培によるポーション作りによりギルドに豊富な資金が出来た。冒険者の武器も揃った。魔石の高値買取で冒険者の収入も確保出来た。


エリーの考えは次にこの町を拠点にする冒険者を増やさなければならない。


冒険者が増えれば、宿や酒場が増え町はもっと発展するだろう。


街の事は領主の父の仕事。エリーは冒険者にとって有益なダンジョン地図作りに精を出している。制作はニート少年に任せているのだが。


ダンジョン地図はモンスターの弱点まで載っていてわかりやすいと評価が高い。ダンジョン地図が置いてある場所には大抵人集りが出来ている。



エリーは得意げにダンジョン地図が閲覧場所へ行ってみたが、結果憤慨した。

ダンジョン地図に巨乳美少女キャラが描かれている。

『ミルルだぉ〜』とか名前までつけられている。


マップの隣にはその巨乳美少女の人形が並んでる。

土で作ったものと木細工で作ったものだ。


「あいつら〜。許せない」



チビデブガリの通称ニート少年は、今もフィギュア作りに精を出していた。

『グシャ』


突然、ダンの作っていた粘土フィギュアが頭から潰された。

「君たち、何をしてくれちゃってるのかな」


「あー〜。俺のミルルちゃんが」


エリーは木製で色付け塗装されているフィギュアに水をかけながら少年たちを睨む。

「可愛いキャラは譲歩しよう。巨乳である事も見なかった事にしよう。ただ、君たちにはなんか不健全な物を感じるわ。これ以上、のめり込んじゃダメ」


「ああ、せっかく色を入れたのに水で流れた」


エリーはフィギュアを掴み窓の外に遠投した。

「いい?わかった?もう人形作りはおしまい!」


得意の魔法やスキルを美少女フィギュア作りに使った少年たちも一応反省点があるらしい。


「君たちは個性的過ぎて、周囲の人から白い目で見られがち。でも、多くの才能を持っているわ。その証拠に私は初めから君たちと普通に接してる。ねえ、その才能をギルドや世の人のために使ってみたら?私が強制する事じゃないけどさ」


「僕達はエリーに感謝しているんだよ。これでもね。エリーは僕達を偏見の目で見た事は一度もないんだ。エリーにはひどい事をたくさんされてるけどさ。恨んでないけど、エリーみたいにはなれないよ。でも、ちょっとずつならエリーに近付きたい。いつかエリーを守れるくらいの騎士になれたらいいね」

「おお、騎士か。うん、カッコイイ響きだ」

「エリー。いつかお前を守ってやるゾ。待ってろ」


「生意気ね。まあ一生無理っぽいけど待ってあげるわ」



エリーは振り返りギルドの部屋に向かう。

大きく上を向き「男の子っていいなぁ」ひとりごとを言う。


その目に大粒の涙が流れた。





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