ダンジョン攻略4〜5層 レベル上げ
3層のボス.キマイラを倒したエリーと3人の少年は4層の攻略に取りかかった。
4層の敵はゴブリン。人間タイプの小鬼だ。身長は人間の子供くらいの大きさがほとんどで凶暴とは言えない。ただし、ある程度の知能があり、武器を用いる。危険なのは数を活かした集団行動だ。
どんな強者でも数の暴力には勝てない。囲まれて袋叩きにされたら生きて帰れる可能性は皆無だ。
「今回は俺がやる」
タンの申し出にエリーは驚いたが、残りの少年たちは右手の親指を上げ、サムズアップしている。
少年たち3人で戦う方法を編み出したんだろう。
エリーは疑問符のままで、3人の表情を凝視する。
(このニートどもがやる気を出すって何かあるわね)
無造作にゴブリンに近づくタン。
(背が低いからって見つかるわよ。それじゃ)
ゴブリンが仲間を呼び総勢30匹に囲まれるタン。
(いくらなんでもこれじゃ助けられないよ。オワッタ)
1匹のゴブリンが合図をして30匹のゴブリンが一斉にタンに飛びかかった。
タンはすぐさま地面に手を当て土魔法で大きな穴を掘る。
ゴブリンの足元が消えて30匹のゴブリンたちは大きな穴に
落ちた。
地上にひとり残り不敵な笑いをするタン。他の2人、テルもウィルもガッツポーズをしている。
ウィルは穴に向かいファイアウォールを穴から這い上がろうとするゴブリンを弓矢で射ている。
『あなた達!なんか卑怯な気がするわ。冒険者らしくないって気が…でもまあ良いけど安全に…でも冒険者らしく戦って欲しいような』
エリーは、遠くからファイアボールを撃ってくるメイジゴブリンに攻撃する。ゴブリンのファイアボールは速度が遅く、水属性のエリーは水の剣で簡単に斬って落とせる。相性が良い相手だ。ただ、エリーはまともに戦ってる自分が馬鹿らしいって思っていた。
考えなしに突っ込んでくるゴブリンは、すべてタンの落とし穴にハマってあえなくドボンッ。4層をクリアする頃にはエリーのレベルが8少年たちのレベルは7になっていた。
5層に進んだ。
敵はグールや骸骨と言ったアンテッド系のモンスター。
1体1体の動きは遅いが次から次へと数に物を言わせ襲って来る。
5層の床は石畳。壁も石で出来ている迷路のような地形だ。
牢のような部屋になっていて牢の入り口で戦うと斜め横から鉄格子越しに魔法や弓矢が飛んでくる。
今回は落とし穴は使えなさそうだ。
「ここら辺りだね?」
「ああ、ここなら弓矢が飛んでこないだろう」
(ニートどもが!また何やら始めたの?)
ウィルがお得意の魔法を使った。
「ファイアウォール」
グールや骸骨が一直線にファイアウォールに沿って炎の中を歩いて来る。ただ、魔物は炎の中を長時間歩くためにファイアウォールの端に着くまでに燃え尽きてしまった。さらに、牢の出口で骸骨が渋滞を起こして固まっている。
その骸骨の塊にもファイアウォールをかける。さらにテルの風魔法で風を煽り追い討ちをかける。
骸骨は逃げる事も無く。炎の中で燃えていく。
骸骨の歩みが遅いのを逆手にとって骸骨が燃え尽きるまで炎の外に出さない作戦らしい。
エリーは呆れてつい口を開いた。
「キミ達は剣で戦う気はないのかな。ずるい作戦ばっかりだね」
敵の中ボスは何度も何度も骸骨を蘇らせることが出来る。
中ボスを先にやっつけない限り終わりがないのがこの5層攻略のキモだった。
「ねえ、骸骨はエンドレスで復活してきてるけど」
「それが良いんだ。このままずっと続けてれば経験値が丸儲け。レベルも上がって僕たちウハウハだよ」
エリーはずっとってどれくらいなのかを尋ねようかとしたけど少年たちは座り込んで雑談を始めたのでとりあえず待つ事にした。
待つ事、30分。
「いい加減真面目に戦ったらどうなの?」
「そのうち、中ボスのMPが切れるよ。こっちは補充しているから丸一日持つけど」
「もう良いわ!」
エリーは自らの水魔法で自分を覆い、中ボスに突撃。スパッと中ボスの首を落とす。
レベルは大幅に上がり少年たちはレベル10、エリーはレベル11になっていた。
少年たちは、自慢そうに口にする。
「この戦い方を経験値『稼ぎ』としてギルドの裏技本に載せたらいいのに」
「冒険者に裏技なんてものはないし。私は正々堂々と強くなれって言いたいわ」
中層のモンスターが落とす魔石は1個500G。80個集めたから4万G。ひとり1万Gだ。
(ニートが楽して1万Gってどうなのよ。奴らずーっとこれ続けたりしたらどうしよう。)
「1万Gかぁ。マジックポーションの金額考えると全くおいしくないな」
「オレなんか、矢を拾い集めなかったら赤字になっちゃうよ」