自失
もぬけ
あなたと過ごした時間はいないのです
本当の意味で分け合ったものは何もかもなくなったのです
それを気持ち悪いとすら思います
私は手を洗う
掃除は嫌いではありません
料理は嫌いです
炊事洗濯皿洗い
そんなものに囲まれて生きていくなら
私も無かったことにされたいです
洗った手が含有していたものくらい 事も無げに排水溝に吸い込まれていきたい
それで「なにもない」と言われたい
なに と ないをサンドイッチするためだけに も が用いられて
なに 程に はっきりしない扱いを受けて
ない という はっきりした否定だけをされて
なにも の後ろになにを付けたってないじゃない
なにも必要ない
なにもかも知らない
なにも心配いらない
私の彼の誰かの尊厳を当人が決められないなら それはもう生き物ではないのかもしれない
生きていたかったよなぁ
生きていたかったかい
生きていたかったかい
生きていたかったかい
怒らないから言ってごらん
打ち明けてごらん
だってほら 私くらいにしか言えないでしょう