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 放課後、三年生の教室に呼び出されて謎の放課後雑談倶楽部なるものに呼び出された僕は、世にも奇妙な喋る掃除用具箱と対面したのである。

 そしてガタガタと振動し独りでにその大口を開き、中から金髪青目の女の子を吐き出した。

「うわぁ、あの掃除箱女の子を吐き出したよ。凄いね、七不思議?」

「……は? あんたそれ本気で言っているの?」

「本気で言ってはいないよ。真優良さん」

 言うと彼女はうげっと表情を歪ませた、白人らしい綺麗な肌が台無しじゃないかな。

「なんで名前覚えてんの? キモ。本当に下心とかないんでしょうね?」

「うわ、辛辣だ」

 品よくスカートの埃を叩いて、真優良さんは工藤の向かい、北斗の隣の席に着いた。掃除用具箱に隠れて人の話を盗み聞きする方がよっぽどキモいと思うけどなぁ。

「じゃあ四人揃ったところでそれぞれ自己紹介でもする?」

 と如月先輩が妥当な落としどころを提案するも、真優良は挙手した。

「異議を申し立てます。ここは元々抱えきれない悩みを如月先輩に話しているうちにできた部じゃないですか。単なるお悩み相談所じゃないんですよ、友好関係からなる場所です」

「それなら! カズ坊と私の仲だから問題ないよ!」

 なんか非難されたり擁護されたり、僕って忙しいね。でも僕自身は特に何もしないことにした。

 真優良はむすーっと明らかに不満そうに青い瞳を狭めている。今その敵意は北斗に向けられている。

 対する北斗は僕の方をちらりと見ながらも、やっぱり真優良と視線をぶつけている。

 真優良は背が低くて金色の長髪をツインテールにしているからどこか幼く見える。如月先輩と呼んでいたから二年か一年だろう。本当に人形みたいに作られたような美しさだけれど、今はその活き活きとした邪気が表に出ていてなんとも人間味に溢れて愛いやつ。

「ふーん。でも私はその子と仲良くないし」

「何言ってるのさ、まゆっち! 私達だって話し合うことで仲良くなったじゃない! みんなで話し合うことでだんだん仲良くなるんだよ!」

 と助け船を出したのは工藤だ。多分この人の影響で北斗があんな感じのことを言ってたんじゃないだろうか、と思わせるくらい堂々とそんなことを言っている。

 工藤は黙っていれば、妙に凛々しくて、かつ活動的なエネルギーも見ていて満ち溢れて素敵なのだが、この喋ると暑苦しいを越えて狂気じみている感じが不気味だ。底抜けに明るいのも考え物だね。

 二対一で都合が悪くなった感じの真優良は、一度僕を睨んでから如月先輩に視線を送る。なんで僕を睨むんだよ。

「んー、でも元々は真優良の言葉と違って友好関係からなると言うよりも悩み相談の場所だったし。あ、でも別にカズくんに悩みがなかったら無理して集まらなくてもいいと思うよ」

 流石に如月先輩は妥当なことを言う。これなら誰も反論はないだろう。

 と思いきや、北斗は少し嬉しそうに言う。

「ありますとも! ね、カズ坊大変だもんね」

 ちょっと嬉しそうとさっきも思ったけど、この子もしかして僕の妹が死んだことをダシにしようとしてそれを言っているんなら、人間性を疑う。

「別にないよ。だから解散、それでいいよ。僕のせいでみんなが喧嘩するのも嫌だし」

 四人が集まった理由である僕がそう言えば、この四人がこれ以上不毛な争いをすることもない。無駄な争いはさっさと終わらせよう。

 が、僕のその意見を止めたのは、予想外にも真優良だった。

「……それ、私に媚売ってる?」

「はぁ!?」

 驚き、つい声を上げてしまった。

「私の味方して好感度上げようとしているでしょ」

 そんな風にこの子は汚物を見るような、は言い過ぎだけど、そんな風に汚らしいものを見る目をしてきた。

 この人はどうしてそこまで自意識過剰になれるんだろうか? 人生此れ無意味を思想とする僕でも、ここで引き下がって帰り、媚を売った人と思われるのも悔しい。

「別に媚なんか売ってないよ。普通に相手するのも面倒臭いし不愉快だ」

「カズ坊、そんなこと言っちゃ駄目でしょ! 仲良く仲良く」

「そんなの無理だって。こんな名前も知らない人と話なんて……」

「だから自己紹介を最初に提案したんだけど」

「もう話もまとまらないみたいだから帰りますね」

 もうセンテンスの坩堝のような議論を見るだけ時間の無駄だろうと立ち上がると、同時に工藤が立ち上がって急に近寄ってきた。

「そんなこと言わないで! 私達は……幸せになるために生まれてきたんだよ!」

 そしてがばぁっと両腕を広げると、ダッシュで僕を抱きしめた。

 力強い両腕が背中に回る。筋張った風に見えて意外と柔らかい体も、小さいながら突然に自己主張してくる胸も、右耳に触れる湿り気を含む吐息も、全てが熱っぽい。急に汗が出てきた。

「え、なにこの人」

 普通の男なら至福とか満喫するものかもしれないけど、僕にとってこの人はただの変質者でしかない。

「こうして心臓がくっつくほどになると、互いの気持ちが分かるでしょ? 私が何を考えているか分かるでしょ?」

「分かるわけないでしょ! 君ちょっと頭大丈夫!?」

 なんとか出ようとじたばたもがくけれど、彼女はぎゅうっと力を込めて抱きしめてくるから、なんかますます変な気分になってくる。

「きっとこうしていれば分かるはずだよ。そしたら私と同じ気持ちになって、ここで話し合うんだ。それが幸せへの近道だよ」

「はいはいどうせここで一緒に話したいとか思ってんでしょ!? 分かったから放してよ!」

「うん、それじゃ話し合おーう!」

 ぱっと、ようやく解放された。

 で工藤は平気で自分の席に戻っていくけれど、僕はちょっと、いわゆる放心状態になっていた。

 他人にあんな強く抱きしめられたのは、人生でもそうそうない。実父が死んだ時、お母さんにされたような気がする。もう十年ほども前のことだ。

「抱きしめられて興奮でもしてんの? もう分かったから早く席に着きなさいよ」

「……君はいちいち癇に障るね。本当に不愉快だ」

「その割にはにやにやしてんじゃない。どうせ私に罵られて嬉しいってタイプの変態なんでしょ」

 この自意識過剰と自尊心は、もはや敬服に値するね。

 真優良のそんな様子に如月先輩と北斗は困った様子だった。


 改めてみんなが席に着いて、如月先輩が司会をして話は始まった。

「じゃあ自己紹介からしていこう。まず私から。さっきも名前は言ったけど、三年一組の如月夢美。年下の男子と話す機会が私にはなかなかないから、ちょっとどう扱ったらいいか分かんないんだけど。一応ここではリーダー格みたいな感じだし、一番常識人だと思うから、しくよろ!」

 軽く手をひらひら振って、彼女は明るい笑顔を見せてくれた。とても普通な人なぶん、こういう明るい表情がとても似合う。

 如月先輩があと三人を見たところで、北斗が手を挙げてはいはいと言う。

「相島北斗二年生です! 留年しちゃってまた二年生なんだけど。元気いっぱい身長百六十二センチ体重五十キロのA型、好きな食べ物はおひたしで……」

「はいはーい、相島先輩は幼馴染なんでしょ? 時間の無駄だから黙っててー。じゃ、言わずと知れた私がささっと。一年三組の宝物院真優良です、以上。はいじゃ工藤さんどぞー」

 とてもやる気なさそうな宝物院さんの自己紹介が終わった。けれどその名字は僕でも充分知っていた。

 確か戦前から活躍する三井三菱住友みたいな財閥の一つに名を冠する宝物院家、今でも超お金持ちだっていうアレだ。

 となると彼女はそれのお嬢様ということになるらしい。自信はそこから現れるのかもしれない。

 すなわちその自信は、本人とは関係ない家の金からできたもの、と考えると、無意味な自信過ぎて悲しいね。

 ともあれ、最後に工藤の自己紹介が始まる。

「工藤理代です! 二年五組で陸上部所属だからあんまり顔は出せませんけど、みんなが一杯幸せになったらいいなって思います! よろしくね、かずっち!」

 勇ましい工藤は、けれど笑顔と振舞いは真優良よりも幼くあどけない。その不釣合いさ、空恐ろしい。

 うーん、八つの瞳がこっちを向いている。なんだこの空気、と思っていると真優良が面倒そうに言った。

「あんたの名前も知らないって言ってるでしょ。とっとと自己紹介くらいしなさいよ」

 ああ、そうか、そうだった。

「平和男です。ヘイワオトコって書いてそう読みます。……ぐらいかな」

「ま、それで充分でしょ」

 無関心そうな真優良はそれだけ言ってまた口を閉ざした。

 これ、雑談なんてできるんだろうか。

「まあ、自己紹介も終わったところで、今日はカズくんの話でもさせてもらいましょう。いい?」

「いいか? と尋ねられると断らせてください。あんまり自分のこととか話されたくないんで」

「そんなことないよかずっち! 今の私の考えが分かる? きっとかずっちも同じ考えになるはず……」

 言いながら工藤は椅子をぎぃっと音を立てて立ち上がりこっちに近寄ってきた。

「わ、分かったよ。話したらいいよ、もう」

「うん、ありがとー!」

 満面の笑みで工藤はまた席に戻る。これって一種の暴力とか、セクハラじゃないのかな? でもこの場では僕の意見なんて何の意味も持たない儚い唾液の一滴なんだろうね。悲しい。

「でもそいつの話って何すんのよ。名前しか知らないのよ?」

 見れば見るほど工藤と真優良は仲が悪そうな感じだ。今もこうして真優良は不満そうに突っかかっているのだから。

「うーん、まあそれはほっちゃんに話してもらえばいいでしょ!」

「ん、よーし任せて。それじゃ昔の話から。まず彼には妹がいて……あ」

 ……。

まあ、仕方ないかもしれない。昔の思い出はいつも僕と和女と北斗の三人で遊んだ記憶だったから、昔の話をしようとすればそうなるのは必然と言ってもいいだろう。

「別に話してもいいよ」

 僕がそう言うと、おっかなびっくり、北斗は話し始めた。

「えっと、その、昔……うう」

 そして泣き始めた。

 滂沱の涙でぽとぽとと机を濡らしながら声にならない声で呻く。

 三人は驚いて僕の方を見たけれど、僕だって驚いている。

「うっ、その、昔、色々あったのに、ううう……」

「な、何があったの?」

 如月先輩に尋ねられて、僕も少し考えて言う。

「それには僕が僕の事情を話さなければならないのだけど、聞きます?」

「相島があの調子だから、お願いするね」

「ぜひそうしてよ! いやぁ、私は君の口から聞きたかったんだよ!」

「話したければ話せば? 情感たっぷりに話して好感度上げればいいのよ」

 三者三様の反応が返ってくる。もう僕は三人の特徴を掴んだような気がするよ。何の意味もないけど。

「まあそんなに情感たっぷりにはならないよ。端的に言うと姉さんと僕は幼馴染で、昔は僕と姉さんと妹の和女の三人で遊んでいたんだけど、今日その妹が死んだって知って悲しんでいるんだよ」

 我ながら端的にまとめられたものだ。けれど三人はそれぞれ、ちょっと考え込んでいるみたいだ。

 まあ見ず知らずの人からいきなり肉親の死なんてヘビーな現実を突きつけられたら困るよね。

「……あんた相島先輩のこと姉さんって呼んでるの? キモ」

 それは確かにキモいかもしれない。今じゃ同級生だし、それを別に彼女とか仲良しとかでもないのに姉さん呼ばわりは、もはや迷惑ですらある。僕だってカズ坊と呼ばれて迷惑だし、そう思う。

「いやそれよりも問題があるでしょ!? ……その、ご愁傷様です」

 流石常識人、真優良にツッコミを入れた後に如月先輩は伏し目がちに呟いた。

「平気ですよ。もう三年も前のことです」

 千沙が生まれた後のことだったなぁ、なんて思い出していると、工藤が疑問符を浮かべている。

「確かに悲しいけれど、泣いている暇はないんじゃないかなぁ? 妹さんが死んだ分も、精一杯幸せになるためにも、今を楽しんで行かなくちゃ! ねえかずっち!」

 堂々とそんなことを言っている工藤は、北斗よりもメンタルが強いのかもしれない。ただその妄信的な幸福・快楽主義は恐ろしくすらある。

「そこまで乗り越えてはないです。ま、そんな感じでした」

 今度は誰も喋らなくなった。

 夕焼けの射し込む教室で、北斗の嗚咽だけが響く。

 なんて意味のない時間だ。でもこんなことを話すなんて僕も趣味が悪い。こういうの露悪的って言うんだっけ? 嫌な奴だって思われるかも。まあそう思われてもいいや。

 空気が気まずいところで、次に声を出したのは真優良だ。

「妹さん、なんて名前だったの?」

「平和女」

「まさか、同じ漢字に女で?」

「うん」

「あんたの父親って変な人じゃない?」

「さあ?」

「さあ、ってあんたの父親の話でしょ?」

 そんなこと言われても実父は妹よりも前に死んでいるというのに、この人は何も知らないから平気で死者を乏しめるようなことを言えるんだろうね。

 でも遠慮はせずに、素直な言葉を話そう。遠慮しても隠しても、無意味だろうし。

「昔の父のことはあんまり覚えてないんだよね。色々あったし、最後に会ったのは十年前くらいだしね」

 ぐ、と真優良は言葉を詰まらせた。他の面々も少し目が開いた気がする。驚きを素直に表情に出している。

「……えっと、昔のってことは離婚したとか?」

「あはは、そこまでじゃないよ。ただ父は二人いたけど、二人とも死んじゃってね。そのせいで今こうして転校してきたわけだよ」

 個人的には夫婦が愛し合っていた分、離婚よりも死ぬ方が別れ方としてはマシだと思う。だって心の底から愛し合って夫婦になった二人から愛が消えるって死ぬよりも恐ろしい気がする。なんて無意味主義者の僕が思うことじゃないと思うけど。

「……本当に大変だったんだね」

 しみじみと、って雰囲気で工藤が呟く。

 そして直後には瞳を爛々と輝かせて、親指を立てた。

「だからこそ、今いる私達が楽しんで生きなきゃダメなんだよ! 好きなものの話でもしよっ!」

 やっぱり溜息が零れる。こんな面倒臭い人は人生で初めてだ。

 流石に工藤の言葉には、共感する人はいないらしく、真優良が敵意を向けていた。

「あのね工藤さん、そんなに軽々しい事情じゃないって分かってる? もしかしてストレスで彼を殺そうとしてんじゃないの?」

「そんなことするわけないよ! 私は正直に、前向きに生きるべきだと思うんだ!」

「でしょうね。でもあなたの言葉はたぶん今悪影響しかないから黙っててくれる?」

「そんなことないと思うけどなぁ」

 不満そうに、工藤は腕を組んで深く座り込んだ。

「……家族の悩みは私には難しいから、ちょっと真優良に任せても良い?」

「別に私に解決できるわけでもないけど、まあ、まずは私に話させてください」

 如月先輩の言葉に真優良は細めっぱなしの目をようやく多少緩めて答えた。

 そして、また目を細めて僕の方を見る。睨むように細めているのは、どうやら真優良の常らしい。

「で、まああんたが結構災難な生活送ってることは私にも分かったわ」

 うん、それは北斗も実は知らなかったことなんだけど、もうここの四人には知られてしまったわけだ。

「そういえばここの皆もなんか重大な秘密が、みたいなこと言ってたね」

 となると北斗もそんなのがあるんだろうか。ま、そんなのがなけりゃ工藤の変な幸せ主義に傾倒しなかったろうし、工藤も何かあるからこんな歪んだ性格をしているんだろう。

 そしてそれはきっと、真優良が自意識過剰なのとも関係しているんじゃないだろうか?

「ええ、そうよ。でもみんな主義が違うわけよ」

「主義?」

「ええ。普通なのは如月先輩だけでしょ? 私は、まあ懐疑主義者って感じのものだし、そっちの二人は享楽主義とか楽観主義みたいなの。ある種これは自衛手段なのよね」

「ふーん、なんだか賢そうだね」

「そんないいものじゃないわ。ただの歪みよ。性格が屈折しきって救いようがないだけ」

 そのネガティブなのも懐疑主義の影響なんでしょうかね。本来の懐疑主義とは違うんだろうけど、要は疑って食って掛かる性格なんだ。彼女の顔には諦めのようなものが浮かんでいた。

「救いようがない、か。でも救えても救えなくても大した意味はないんじゃない?」

「……それって、どういうこと?」

「僕の人生観じゃ、人類がどうなろうといずれ死んで知ったこっちゃないから、まあ僕らもどうなろうと大した意味はないって話」

「はぁ、そんな風に割り切れるわけないでしょ」

「割り切れたんだよね、僕は」

「うそくさ。工藤さんじゃないけどトルストイ曰く人間は原義的に幸せを求めるものよ? 割り切れるわけないじゃない」

「幸せだって人それぞれじゃないか。破滅的な方が嬉しいっていう人もいるかもよ?」

「あんたそれ自分がそうだって認めてんじゃないの?」

「まさか。僕は幸せとか願ってないけど、君のその考え方に従うなら意味ないって嘯いて破滅する方が嬉しいのかもしれないねっていう一つの考えを提案しただけだよ」

「……まあ、なんでもいいわよ。それであんたから何か言いたいことはないの?」

「言いたいこと? ないけど」

 僕が今更、何をこの人たちに言おうと言うのか。けれどそれを真優良は予想外だと言った風に驚いた。

「何もないの? 何かはあるでしょ。辛いこととか悲しいこととかあるでしょ?」

「はは、それがあったとしてなんで君達に話すの?」

「全くどうでもいい人の方が話せることもあるでしょ?」

「気持ち悪いね、そんなの。用がそれだけなら帰ってもいいかな?」

 他人に話そうが話さまいが意味なしの僕が、なんでわざわざ他人に話したがると思ったんだろう。個人的には、どっちでもいいから求められて話すのであって、自分から話そうなんて露ほど望んでいないのである。

 鞄を持って立ち上がると、次に声をかけてきたのは如月先輩だった。

「待って。私には話してほしいな。カズ君にはここの人達ともっと話してみて欲しいし」

「なんで?」

「みんな話してみれば面白いから」

 諭すような如月先輩、むすっとした真優良、にこにこ笑っている工藤、そして涙目の北斗。

「どうせなら一人だけ選んで、その子としばらく話してみればいいよ」

「二人きりですか? それは流石に迷惑でしょ」

「いいのいいの。そんなの気にしない人ばかりだから」

 まさか、と思いながら見てみると、あの真優良ですら口を噤んでいた。気にしない、ということには否定しないらしい。

「それで、カズ君は誰がお好み?」

 優しく微笑む如月先輩は、特徴がないからこういう顔をされるとなんだか大人っぽく見える。


真優良

理代

夢美

北斗

選ばない

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