転生
短いけど許してニャン
強い光に襲われた後、俺は見知らぬ部屋の豪勢な椅子に座っていた。
そこは、下品でなく一見何の変哲もない部屋に見える。しかしそれでいてジワリとくる威圧感を放つ部屋だった。
俺が訳も分からず部屋を吟味していると、
「ようこそ勇者君、私の部屋へ」
そこにはどこかで聞いたことのある声をした見たことのない男が立っていた。
「誰だお前は、この俺の何の用だ!」
俺は長きにわたる戦いの疲れからか見知らぬ男に声を荒げていた。
「まあまあ落ち着きたまえ、それよりも魔王討伐おめでとう。それをたたえて乾杯しようではないか。」
どこからともなく表れた人間離れした美しさを持つ給仕から、吸い込まれるような深紅色した液体がグラスに注がれていった。ワインである。俺は年端もなく見入ってしまった。
「ふふふ、勇者君そんなに熱心に見つめなくてもこのワインは君から逃げたりしないよ。」
俺は男にそう言われ現実に戻された。
「って、そんなことよりあんたいったい誰なんだ。俺のことばかり知っていて不公平だろう。」
そういうとはっとしたように
「おっと、すまないね。つい話すのが楽しくてね、それで私だが君たちは「神」として知られているものかな」
その瞬間この部屋を強い威圧感が支配した。こちらに次の言葉を言わせないためだろうか。長い間、それも悠久の時を戦い抜いた勇者であったがこの男には勝てるビジョンが一つも浮かばなかった。
静まり返った部屋の中で少しの沈黙がつずいた。それを破ったのはか「神」のほうだった。
「ふふ、せっかくのワインの香りが飛んでししまうね。つずきは飲みながらにしようか。」
神と名乗る男はそういうと慣れた手つきでグラスを手にすると、香りを楽しみながら少しずつ煽っていった。
「うーん、いつ飲んでも天界歴2296年物はおいしいね。勇者君も一口どうだい?私がおすすめする一杯だよ?これでも味にうるさい自身はあるんだ。」
そういわれて一口飲んでみたがさっきの緊張からか味があまりわからない。それ以前に自分の体が透けていることに気が付いた。俺が驚いていることに気が付いたのでであろうかみは、
「お、今更気が付いたのかい?君は転生するのだから前の体は半死した状態という感じかな?」
と、気が抜けるようなトーンで衝撃的な告白をした。
「そういえばまだ説明していなかったね、君はあの世界の頂点に立った。だから宣言通りに君を別の世界へ連れていき、第二の人生を謳歌してもらおうってことで君ををここに呼んだのさ。要するに転生さ。分かってくれたかい?まあ理解していなくてももう元の世界にはもう帰れないけどね。何か質問はあるかい?」
俺はもう帰れないのか、いつの間にあれの体を半死にしたのか、などなどたくさん疑問が浮かんできた「神」が有無を言わせないような笑顔を向けていたのでそれはワインと一緒に飲み込むことにした。
「さて、説明も済んだことだし君が転生したい世界を選んでくれないかい?」
「すこし考えさせてくれ」
「いいよ時間はたっぷりあるからね。ワインでも飲みながらじっくりと考えるといいよ。」
それからの記憶はすこし、いやほとんど覚えていない………………………
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「ヴェロニカ様元気のいい男の子ですよ。」
……………ん……………………
「あぁ、これが私の…初めましてルークあなたのお母さんよ。ヴェロニカっていうの。これからよろしくね。」
きれいな瞳の女性に俺は抱きしめられていた。
だが直後に抑えきれない感情が出てしまった。
「おぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
そして、勇者こと俺ルーク・アストランが誕生した。
ここから世界最強の伝説が始まる!