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なんとなく作ってみたシリーズ

パンでミックス

作者: KOLO×2

ある日、ウィルスのパンデミックが発生した。感染者はゾンビ化し、人の肉を求め、人を襲っていた。パンデミックは政府の尽力により、一つの市、T市だけで収まった。T市は有刺鉄線に囲まれ、ゾンビと生存者は共に隔離されていた……

 

 ▲▲▲

 

 パンデミックから数週間後。

 

 ある男はひたすら奴らから逃げていた。もう三日間何も食べていない。飢えと恐怖が彼の行動を支配していた。

 

 仲間は皆、いなくなってしまった。皆、奴らに殺されてしまったのだ。自分ももいずれ、奴らに見つかりそして、殺されるのだろう。と彼は頭の中で考えていた。

 

 怖い……死にたくない……

 

 お腹が空いた……誰か食料を……

 

 彼はひたすら頭の中でその言葉を繰り返していた。死にたくないという本能と、食事をしたいという本能が争った結果、死にたくないという本能が勝り、彼は隠れ家にこもっていた。

 

 しかし、


 12月11日、彼はなぜか突然決心した。自殺する事を。

 

 重く動きにくい足を、引きずるように彼は歩き始めた。隠れ家の近くに十階建てのビルがあることを思い出し、彼は飛び降り自殺をする事にした。

 

 隠れ家から出ると、町は廃墟と化していた。辺りは昼位で明るく、すこし眩しい……周辺に奴らはいないようだった。

 

 一歩一歩ゆっくりと足を動かした。お腹が空いていて、なかなか力が出ない。

 

 ビルに着き、緩慢としかし、警戒しながら慎重にビルの奥へと進んだ。すると、更に奥に食料があることに気がついた。

 

 彼は跳び跳ねるように喜び食料の所に行こうとした。死のうと思っていたのに。

 

 しかし、同時に彼は奴らも見つけてしまった。奴らもこちらに気がついたらしく、何か叫んでいる。


 まずい…

 

 彼にとって究極の選択だった。お腹を満たしたいという本能を選ぶか、逃げたいという理性を選ぶか。彼は本能と理性の狭間に挟まってしまったのだ。

 

 結果、彼は理性を選択した。彼は後を振り返り逃げ始めた。

 

 奴らに殺される……

 

 無我夢中で逃げる彼。

 

 しかし……

 

 刹那、奴らの撃った銃弾が彼の頭と心臓を撃ち抜いた。直後、彼は倒れた。

 

 彼は倒れながら思った。

 

 最後に、人の肉を食べたかった。

 

 と……

 

 ▲▲▲

 

 12月11日 T市で発生したパンデミックは最後のゾンビが射殺され、事件は無事解決したのだった。

 

 

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] さっと読めて、さらに叙述トリックめいてて良かったです。
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