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ヒキコモリな炎竜と契約者(コントラクター)  作者: あだち りる
第一章「炎竜と契約者」
4/43

4.契約の理由

「それでは今日は帰っていいぞ」


「え?」


俺はあまりにあっさりしたセルス先生の態度に驚く。

死にかけた生徒をもうちょっと心配して欲しいものだ。


「脱落した奴から帰っていいぞ」


と、セルス先生が言っていたので俺は遠慮なく帰らせてもらった。


「あ、そう言えば明日はどんな事をするんですか?」


と、蒼は帰る前にセルスに聞く。


「明日は実技や大会のチームを、順位によって決める、今日はその為の順位戦だ、なので明日持ってくる物はお前の場合契約竜を持ってこい」


「は、はい…」


蒼は返事をした後その場から立ち去った。


「はぁ…」


持ってこい…って言われてもなぁ…

蒼は溜め息をつきながらも家に到着。


「ただいまぁ…」


そして、蒼は自分の部屋に向かい、部屋の扉を開ける。

するとそこには…


「まふはーおはへり~」


「…………」


ポテチをボリボリと寝ながら食べて、ゲームをやっている茜の姿があった。


俺はひきつった顔で茜にこう言う。


「茜…今すぐゲームを片付けてくれ」


「はんへ?」


「いいから…てか、喋るか食べるかどっちかにしろ!!」


「じゃあ食べる~」


と、言って茜はポテチだのコーラだのを食べて飲んでいた。

そして、蒼は呆れた顔で「はぁ…もういい…今日は疲れた…」と、ため息混じりに言う。


蒼は下に散らかってる茜が食べていたであろうお菓子や、 ゲームを片付けた後布団を敷いて眠ろうとする。


だが…

茜のゲームをやっているカチャカチャした音やゲームから出てくる効果音、茜の「それ、ほれ~」と言う掛け声が俺の部屋で合唱をしているせいでまったく眠れなかった。


「はぁ…こんなじゃ寝れねぇよ…」


その日、結局俺は茜が寝るまで一睡も出来なかった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

「ん…ん?…」


目を覚めた俺は時間を確認する。


「まだ6時…」


学校までに時間がまだあるな。

てか、三時間しか俺寝てないって事か?はぁ…ちゃんと睡眠とんないとな…俺は下に降り、母さんが作ったご飯を食べた後茜を今日こそ学校に行かせるため起こしにいく。


「…………」


さて…どうするか…

こいつは恐らく普通に起こしても無駄だろ…なら…

俺は茜の棚の奥にあるとある物をとり、そして茜を起こす。


「茜~お~い、茜~」


「ん~…ん…な~に~…マスター…」


「これ、何かわかるか?」


と、蒼が、ベットからむくりと起き上がった茜に見せたものは…


「そそそれは!?わ、私のちょっとマスターに似てるBL本が何故ここに…」


BL本だった。


「なぁ、茜、これ、燃やされたいか?」


「い、嫌に決まってるよ~」


「なら、今日学校に行くか?」


「い、嫌だ…」


「なら燃やしてもいいのか?」


「嫌だ…」


「なら学校に行くぞ!!いい加減にしろ!!」


「嫌だーー!」


蒼がいくら脅してもまったく引き下がらない茜。


「クッ…」


これでもダメなのか…

何でこいつはこんなに行きたがらない?外の世界が怖いのか?

いや、なら何であの落雷事件の時は外に…


「なぁ、茜」


「な、何……?」


疑問に思った俺は聞いてみる事にした。


「お前何で俺と契約した日、外に出てたんだ?」


「ん?その日はね…」


「……」


「私の大好きな漫画の発売日だったんだよ!!!!」


「へ?」


「あの日私が買った漫画は主人公がすっごくカッコ良くて敵を倒したときとか戦闘の絵がもう息をつかせる暇なんてまったくないくらいすごいの!しかもその日は何と、記念すべき10巻目の発売日だったのだよ」


「え…それって…」


俺はダンボールにしまってあるあの本をとった。


「もしかして茜!これの事か?」


「ん?」


茜は蒼の方に顔を向けて蒼が差し出してる本を見てみると…


「そう!それだよ!」


「お前もこの漫画好きだったのか!?」


「もって事はマスターも?」


「あぁ…この漫画の主人公が好きでな…皆を悪から守る主人公…ってのが本当にいいなって思う…」


「わかるよ~その漫画の主人公カッコいいもんね~」


と、俺と茜は大好きなこの漫画について語りまくった。


そして、蒼はふと思った事を茜に聞いてみた。


「茜はどうしてあの時、俺と契約してくれたんだ?」


「ん?」


両手の人差し指を頭に指しながら「ん~」と、考えてる茜。


「ん~…まぁあの時のマスターがすごくカッコよかったからかな」


あの時……俺はあの時の出来事を思い出してみた。


「…………」


カッコいい所1つもなくね!?

情けない所しかなくね!?


「茜…どの場面を思い出してもカッコ悪い所しかないぞ…ちょっと泣けてきた…」


「もう忘れたの?あの時の台詞!」


「あの時?」


「そう!」


茜は蒼を指さしてあの時の蒼のように言う。


「ただ、主人公になりたかっただけ」


「え…それ…?」


「うん!私にはあの時のマスターが最高にカッコよく見えたんだよ!だから私はそんなマスターのヒロインになりたかった…だから契約したんだ!」


「あれがカッコいいって…」


助ける理由が主人公になりたかっただけとか言う奴そもそもカッコ悪いと思うが…まぁ…あの時契約してなかったらたぶん俺は死んでたしな…感謝はしてる。


けど…


「…茜」


「はい…」


「話が上手くそれたと思ってるだろ?」


「ギクッ…」


「さぁ学校に行くぞぉぉお!!」


「やぁだぁあ!」


その日、結局茜を学校に連れて行けなかった。

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