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ヒキコモリな炎竜と契約者(コントラクター)  作者: あだち りる
第五章「炎竜を狙いし者達」
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25.化け物

「ハァ!!!!」セルスは監視の男の頭を回し蹴りする。


「ガハァ!!!!」監視の男は気を失う。


「まったく…手こずらせてくれる…」

セルスはうんざりしながら言う。


「さて…私は、この術の壁をどうにかしなくてはな」

セルスは腰に手を当てながら言う。


「いるか、ナルミ」


セルスがその名を呼ぶと「何かようか?」姿は見えないが何処からか少女の声が聞こえた。


「言わなくてもわかるだろ…」

クルスはニヤリと笑う。


「まぁな…」そしてその声もちょっと笑っているように聞こえた。


「では行くとするか」

セルスがそう言うと廊下を突っ走ってった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

「…………」

体育館に静けさだけが残る。


体育館の中にいるのは、蒼、茜、シル、フルエル、黒ローブの男と女だ。


「フルエル!!氷化は後どれくらい持つ?」

シルはフルエルに訪ねる。


「恐らく残り1分が限界です…」

と、フルエルは答える。


「1分……」蒼はそう呟く。

先程の動きを見る限りあの黒ローブの女の子は相当の手練れだ…だが、俺と茜、そしてシルとフルエル、この四人で戦えば勝てない相手じゃない…大丈夫だ…落ち着け…


「あぁ…朝倉…蒼いぃ…」

黒ローブの男はゆっくりとゆらゆらと立ち上がる。


「ッ…!!」シルは後ろに下がり、蒼、茜、皆身構える。


「ここからはアドリブかよ…」

アドリブ…一番頼りたくない手段だけど仕方ない…やるしかないんだ。


「朝倉朝…朝倉蒼…お前を…殺す!!」

男はそう叫んだ後ポケットから何か薬のような物を出し、それを一つ飲み込んだ。


「グッ!!グアァァァァァァア!!!!!!」男はとてつもない絶叫と共に自分の心臓を抑え、苦しみだした。


「何だ……あれ」

蒼のひたいから汗がポタリと一滴流れた。


蒼達の目の前に居たのは先程の男とは別人だった。

そこにいたのはまさに、恐怖、だった。


男の姿はもはやなく、身体中に目や足、口などが付いている化け物だった。


「おいおいおいおい!!嘘だろ!?冗談やめてくれよ!!!!こんなの聞いてないぞ!!」

蒼の動揺は頂点にまで上がって行った。


「ああああ朝倉朝倉朝倉ららららぁ…蒼いぃぃぃぃい!!!!」

化け物は不気味な声で蒼の名を連呼する。



「蒼…どうやら冗談ではない見たいだぞ…?」シルは顔をひきつらせながら言う「そみたいだな…」蒼も同様。


「ッ!!」怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!

何だよこれ!!ただの化け物だろう!!てかこんなのいていいの!?


蒼が怯えているとフルエルの方に異変が「…」フルエルがじっと蒼の方を見ていると、いつのまにか氷砂化は解け「んな!?」黒ローブの少女の姿は消えていた。


「どういう…?いや、今はシルの身の安全を確認するべきですね…」そしてフルエルはシルの元へ。


クッソー!!戦いたくねぇ!!いやまぁ…


「やるしかないんだけどね…はは」


「マスター!!行くよー!!」


「あぁ!!」


蒼と茜は化け物に突っ込んで行った。


「おい蒼!何の策もなしに行くのか!?」

シルは蒼に言う。


「考えてる時間何てないよー!!」

蒼はそう言いながら突っ込む。


蒼と茜は化け物の横に突っ込む。

蒼は右に、茜は左に。


「茜ー!俺がこいつ転ばすから術を打てー!!」


「マスターそれ可能!?」


「やってみなきゃわかんないさっ!!」


蒼は化け物の足を思いっきり回し蹴り。


「ッ!!!!痛ッたぁぁぁあ!?」無理でした。

蒼は右足を押さえながら一旦シルの方へと戻る。


「何だあいつ硬すぎるだろ!!!!」

蒼は涙目になる。


「うわぁ…マスターの右足だけすんごい腫れ方してるよ…」

茜は顔をひきつらせて言う。


「はぁ…蒼…お前は頭が言いようで馬鹿だな…」

シルは頭を抑え、溜め息をつきながら言う。


「俺のハートのダメージ計算しながら貶してよ!?」


蒼がそんな事を言っていると「あ…あ…《わ、わ、わ、わ、わ、我、罪人は、は、は、は、天を裁く、闇となれ、れ、れ、れ、れ》」化け物は何かを言っていたがうまく聞き取れない。


ただ蒼にはわかってしまった。

これは、術だと。

その瞬間、蒼の体はとてつもない恐怖に襲われた。


「クッ!!!!」これは…不味い!!!!


「皆伏せろー!!!!」

蒼がそう叫んだ後四人とも体を伏せる。

そして、それは一瞬だった。


「ッ…!!!?」蒼は後ろを振り返りその光景が目に入ってきた。


その光景は、さっきまで蒼達の後ろにある物が全て、木っ端微塵に粉砕されていた。


「クッ!!こんなのに…どうやって…勝てってんだよ…」


この日蒼は身をもって知った。

これが本物の化け物だと言うことを。

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