16.お前は弱い人間だ。
ん…
何だこれ…ん?
あれは…俺…?
蒼が見ていたのは小さい頃の蒼の姿だった。
そして、その蒼の前にいたのは見覚えのあるような少女だった。
「蒼、お前に何がある?」
「へ…?」
一人の少女が俺にそう言う。
「お前には何も出来まいよ…所詮お前は…」
「ッ…!!」
その少女が次に俺に言った言葉は自分でも理解できる事だった。
「弱い人間だ。」
この言葉を俺は確か毎日聞いたはずだ。
「どうして…そんな事を言うの…僕は…僕は!!」
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「ハッ!!…はぁ…はぁ…夢か…」
久し振りに見たな…この夢……
何で今更こんな夢を…昨日の事が原因かな…
「はは…まだ立ち直ってないのか…」
昨日、俺達のチームは初勝利を果たした。
そして、その後何があったかと言うと。
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「勝った…」
蒼が架空フィールドから戻ってきてそう言うと皆も戻ってきた。
「あ、蒼~…か、勝ったよ~…」
涙目になる積木。
「はは、お前何泣きそうになってんだ?」
と、俺は笑いながら言う。
「やりました…やりましたよ…僕達…」
楽は泣きながら言う。
「ら、楽くん何泣いてんの?」
「そ、そうだよお兄ちゃん!」
「ふふ、そう言う美姫殿も栞殿も泣きそうではないか」
と、風子は積木と美姫に言いながら満面の笑みで笑う。
「あ、蒼さ~ん…」
「ん?」
俺が誰かと思い後ろを向くとそこには
「蒼さん…グスン…信じて…よかったですぅ~!うわぁ~ん!」
今までにないくらいキャラ崩壊している。
そして、泣き崩れている紀の姿があった。
「落ち着いて紀さん!!」
俺は焦りながらも紀さんを落ち着かせようとさせる。
そして、皆一先ず落ち着いた。
「なぁ…蒼殿…」
「ん?」
風子が突然俺に話し掛けてきた。
「私はこのチームのリーダーは蒼殿がいいと思うんだがどうだろう?」
「は?!」
蒼は急にそう言い出した風子に驚きを隠せなかった。
「あ!それ私思ったよ!!あおいっちは絶好にリーダー向いてるよ!」
美姫がそう言うと皆も異論はまったくなかった。
「皆…ありがとう!」
俺が皆に感謝の気持ちを伝えた。
そしたら、後ろから「おい!貴様!」と言うどっかで聞いたことある声が聞こえた。
「ん?」
そして、俺が後ろを向くと。
「お前は…シル=バレット…」
そこにはクラス順位1位のシル=バレットがいた。
「何のようだ…?」
風子が嫌悪感を露にしながらそう言う。
「貴様には用はない、用があるのはそこのゴミだ」
と、シルが指差す先に居たのは…
「ん…?え?俺?」
蒼だった。
「貴様、順位戦の時に契約竜が休んだとは本当か?」
シルの謎の質問に俺は答えた。
「あぁ…」
と、俺が返事をすると
「そうか…すまんな…」
「へ…?」
さっきまで開いてた口からあり得ない一言が出た。
「お前をゴミかどうか判断するにはまだ早かったようだ…」
「あ…」
なんだ…そゆことね…
「てことで、お前」
突然蒼を指差すシル。
「な、何かな?」
「一週間後、私と決闘をしろ」
「は…?」
「お前をゴミかどうが判断するにはこれが最適だ。」
「いやそんなの急に言われてもな…」
「何だ?怖いのか?」
「別に怖いとかじゃないけど…」
わかり安い挑発だなぁ…
こんな挑発に乗るほど俺は馬鹿じゃないですよ。
「フッ…まぁ…そうだなぁ…、弱い人間、ほど逃げたくなる者だ。」
鼻で笑いながらそう言ったシルの言葉は蒼にはとある人を思い出させた。
「今何て言った…?」
「聞こえなかったのか?だったらもう一度言ってやろう、お前は、弱い人間、と言ったのだ。」
そして再び、あの少女の言葉が蒼の脳裏をよぎる。
『お前は弱い人間だ。』
「ッ!!…あぁ何だっけ?決闘だっけか?」
蒼のスイッチをシルは完璧に押してしまった。
「受けてやろうじゃねぇか」
怒りのスイッチを。