12.夢
「はぁ…今日は疲れたな…」
とりあえず今日の放課後は練習を禁止にした。
立ち直らせる事は出来たが恐らくまだ心の整理は出来ていないからだ。
「ん~!」
俺は背筋の伸ばす。
「帰りますか」
俺が帰ろうとした瞬間。
「おい、朝倉」
「ん?」
俺に話し掛けて来たのはセルス先生だった。
「何ですか?」
「いやちょっとお前に話があるんだ」
俺は不思議に思いながらセルス先生の話を聞く事にした。
「お前いつになったら契約竜連れてくるんだ?」
「うっ…それは~…」
「お前なぁ!!」
「す、すみません!」
「はぁ…まぁそいつの気持ちもわからなくはない、無属の竜人、何てなかなかいないからな、属性術も使えんしな」
「そ、そうですね…」
そう、実は茜はこの学園では、無属の竜人、として学園登録してるのだ。
何故なら茜は炎の竜人、炎竜だからだ。
炎竜としれたら研究者達が大騒ぎし、茜に何をするかわからないからだ。
ちなみに無属の竜人とは
普通の竜式術しか使えない竜人の事だ。
属性術は愚か、竜式も解放出来ない
竜の血が混ざっているただの竜人。
「まぁそいつに伝えておけ、気にせずに学園にこい、落ち着いたらでいい、お前を歓迎するとな」
「は、はい」
ごめんセルス先生ー!!
物凄くいい事言ってるけどあいつはただヒキコモってるだけなんですー!!
「じゃ、じゃあ俺はこれで」
「あぁ、またな」
俺は罪悪感を持ちながら家に帰った。
「はぁ…」
溜め息をつきながら自分の部屋のドアを開ける。
「あ、マスター」
「ぶふぉ!!!!」
扉を開けた蒼の目の前に居たのは、「お、おま…」下着姿のままゲームをしている茜だった。
「何下着のままゲームやってんの!?」
「ん?」
茜は自分の姿を確認する。
「あ~これか~上にTシャツ着るの忘れてたよ、まぁいいじゃんマスターラッキースケベ乙!」
と、指をたてる茜。
「い、いいから!早く服着ろ!」
と、俺は目を瞑りながら言う。
「え~…まったくしょうがないなぁ…んしょ」
茜は立ち上がった後Tシャツを着る。
「たく…」
本当にこいつは…
その日、俺は茜の下着姿を見て、貧乳も悪くないなと思ってしまった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
 ̄
「蒼」
え…
誰…?
「私は貴方だよ」
俺……?
「そう」
君は…一体…?
「私は……」
ここで彼女の声は途切れた。
「ハッ!!」
蒼は布団の上で目が覚める。
「はぁ…はぁ…夢…か…」
蒼はさっきの夢を思い出す。
「あれは一体…誰なんだ…」
思い出そうとしてもまったく思い出せない。
姿も形も、ただ、一つ、覚えているのはとても優しい声が聞こえた事だけだった。
「んん~マスタ~どかした~?」
茜はむくりと毛布から出てきて言った。
「いや…何でもない…」
蒼はもう既に先程の夢の事は忘れてしまっていた。