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ヒキコモリな炎竜と契約者(コントラクター)  作者: あだち りる
第一章「炎竜と契約者」
1/43

1.人と竜人

この世界では竜が存在している。

だが、存在している竜は、竜人リュウジンと呼ばれる者の事だ。

竜人とは人の形をした竜の事で、

人の血と竜の血が体の中で流れている。

そして、この世界には1つの謎がある。

数百年前に全ての竜は突然と消えた。

なのに、何故、竜人の人口は増え続けているのか。

それが、この世界の謎だ。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

皆さんは、竜、と言う存在を信じますか?俺は信じてます。

て言うか、信じざるを得ないのです。

俺の世界には竜人と言う、竜の血が流れている人間が普通に存在している。

こんな、竜人と言う人とは違う存在がいる非日常な世界。

これから話すのは、この俺、朝倉アサクラ アオイが、一日で経験出来ないような経験をした、日の事だ。


……

…………

ピピ………

ピピピピピピ……

ピピピピピピピピピピピピピピ!!


「ん?…」


朝、俺はピピピと五月蝿くなっているスマホのアラームを停めて目を覚めた。


「ハァ~~」


と、大きなあくびをした後、中学の制服に着替え下に降りる。


「おはよう、母さん」


「おはよ、蒼、机の上にご飯置いてるからさっさと食べちゃって」


「了解~」


母さんはいつも俺よりか早く起きて朝ごはんを作ってくれてる。


「モグモグ…ん?…」


俺が朝ごはんの鮭を食べながらテレビを見ていると、気になるニュースが流れた。


「昨夜、今までにない、落雷が、

竜ヶ峰都市に落ちました、あれほどの落雷が落ちたと言うのに被害は何処にも及ぼっておらず、停電もしませんでした、それでは次のニュースです」


へぇ…

でも、そこまで、でかい落雷が落ちたって言うのに音なんてしなかったけどなぁ…まぁいいか…それより…


「母さん」


「な、何…?」


「俺…前にも言ったよな…」


「な、何を…?」


「クッ!!」


俺は机に置いてある写真をとり母さんの前につき出す。


「いい加減俺の契約竜を探すのやめろよ!!前も言ったよな!?」


「だって蒼…未だに契約竜を決めてないんだもん…周りの子はもうみんな決めたんでしょ?」


「だからって知らない子と契約なんて出来るか!!母さんだって父さんと契約

したんだからわかるだろ!?」


契約竜とは、契約する竜人の事だ。

人は高校生までに竜人と必ず契約しなければならないのだ。

何故なら、高校生になると竜人共に通う所がある。それは…

「私立、竜ヶ峰人学園」この学園は、竜人の力や健康状態、そして、竜人が人と関わりを持ったら人にはどんな影響を持たらすのか、つまり、この学園は竜人の保護施設であり、竜人の実験施設でもある。

そして、竜人と関わりを持った人間にはどんな変化が起きるのか。


良い忘れていたが、竜人と契約した後の1つのデメリットがある。

それは、

契約した竜人が死ねば共に死ぬ。

竜人が契約した人が死ねば共に死ぬ。

と言うものだ。


さっきの話に戻る。

母さんは俺の事をよく心配してくれる。

心配してくれるのはいいんだけど…

俺の契約竜を勝手に探して紹介しようとするのはやめて欲しい。

そ、それに…竜人との契約方法は…


「あら、何赤くなってるの?」


と、ニヤニヤしながら言う母さん。


「うるさいなぁ!!」


「まったく…私の息子はどうしてこううぶなのかしら…契約何て、キス、1つで済む話じゃない?」


「だぁもういいから!!行ってきます!」


まったく母さんは…

そのキス1つがどんだけ恥ずかしい事か……

玄関の扉を開けた後走りながら俺は学校に向かった。


突然だが、ここ、竜ヶ峰都市の話をしよう。

ここ、竜ヶ峰都市は全国でも竜人が多くいる都市として知られていてとても有名だ。

竜人の人口と人の人口、恐らくここ、竜ヶ峰都市では半々と言ったところだ。

そんな、中で、竜人も人も普通に暮らしていると言う訳だ。

勿論他の都市にも竜人はいるがここほどてはない。

俺の中学にも竜人は何人もいる。

俺の友達にも竜人がいる。

竜人はもはや、普通の存在として見られているのだ。

竜人と人は共存して生きている。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

「ふぅ…着いた…」


俺は学校に着き、教室に向かう途中


「おい、朝倉」


俺の担任の、篠崎 凜先生が話し掛けてきた。


「何ですか……?」


ほとんど予想はついてるけど…


「契約竜の事で話がある、放課後職員室にこい」


で、ですよね~…


「は、はい…」


昨日も呼び出しくらってまた呼び出し…これも青春の一ページに刻むとしよう…


「キーンコーンカーンコーン♪」


「やば!」


俺は鐘の音と焦りと共に慌てて教室へ向かった。

そして…時間が流れるのは早い物で…

放課後です。


「朝倉、お待ちかねの放課後だ」


「全然待ってませんけどね」


篠崎先生と一対一と言う今にも説教されるとわかるこの状況…最悪だ。


「朝倉、昨日も言ったと思うが…契約竜は見つかったか?…」


「…………」


「何故目をそらす?」


「いや…あの…えっと~…」


「はぁ…お前わかってるのか!?もう2月だぞ!朝倉…お前は二ヶ月後には竜ヶ峰人学園に通うんだぞ?…」


「わかってますよ…でも…契約竜何てそう簡単に見つかるものじゃ…」


「はぁ…朝倉、お前以外はもう決まっている、三学年で契約竜が決まってないのはお前だけだ…いいか、明日までに、必ず契約竜を見つけろ、契約竜の契約に年齢の上限はない、もし、明日以内に見つけられなかったら、私からまだ契約していない竜人を紹介しよう、いいな?」


「はい…」


そう、俺はこの大事な時期にまだ、契約竜が見つかっていない。

本当なら12月までに契約しなければならないのだ。

このまま契約竜が見つからなかった場合竜ヶ峰人学園に通えなくなる。

勿論他の高校に行くと言う手もある。

だが、この学園では、竜人と契約すれば食事、学費、全てがただで学園に通える。

はぁ…普通の高校に通いたいけど…母さんには迷惑はかけたくない…


「はぁ…」


俺が溜め息を吐きながら校門を出ると


「どーしたの!蒼!」


「ん?」


と、後ろから俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。

そして、誰かと思い後ろを向くと


「積木か」


俺の幼馴染みの、水島ミズシマ 積木ツミキだった。


「むー…幼馴染みに会って、か、とは何よ!か、とは!?」

と、頬を膨らませながら言う積木。


「なぁ、積木、聞きたい事があんだけど」


「ん、何?私はちょっぴり不機嫌何だけど!」


と、そっぽを向かれる。

俺は、気にせず話を進める。


「お前もう契約竜決まったんだよな?誰と契約したんだ?教えたくないならいいんだが」


「え?珍しいね、そんなこと聞くなんて、まぁ、別に教えてもいいよ、私は隣のクラスの美姫ちゃんと契約したよ!美姫ちゃんの唇柔らかかったな~♪」


お、女の子同士でキスしたのか…そう、契約竜は男女に限った話じゃない、女の子同士でも男同士でも契約は可能だ。

まぁ、みんな勘違いされるのが嫌で大抵は男女のペア何だけどな…


「そう言う蒼は契約竜決めたの?」


「いや……まだ…」


「やっぱり…」


「まぁ明日までには見つけるよ…」


俺と積木は久し振りに一緒に帰りながら楽しげに話す。

だが、俺は今日、行かなければいけない所がある。


「それじゃあ俺はここで、寄るとこあるから」


「うん!わかった~それじゃまた明日ね!バイバーイ!」と、言いながら積木は走って帰っていった。


「さてと、行くか」


これから行くのは電車を乗って駅を1つすぎた先にある、中央区A、ここは、色々な店があり、今回俺が用事があるのは本屋だ。

そして、本屋に着いた後、目的の物を探す。


えっと~…


「お!合った!」


これが、目的の物。

俺が愛読している、漫画だ。

今日が新刊の発売日で記念すべき10巻目だ。

ストーリーはいたって簡単だ。

主人公が強い敵を倒していく。

主人公には特別な力があり、その力を世の中のために使い、悪を滅ぼそうとする主人公の話だ。

この漫画が大好きでいつも、新刊の発売日に買いに来ているのだ。

そして俺がこの漫画を愛読する理由。

たぶん…俺もこの主人公見たいになりたいからなのかも…知れないな……


「さってとー!そろそろ帰るかな」


俺が本屋から出ると、突然、それは起きた。


「バアァァァァァアン!!!!」


「ッ!?!?」耳が…何だこれ…雷…?

もしかして、これが今朝ニュースやってた落雷事件…?


「てかおい待てよ…何だよあれ…」


俺の目に飛び込んできたのは、1つのビルが木っ端微塵になっている光景だった。


「何なんだよ…これ…」


そして、周りを見渡すと、逃げている人や竜人が沢山いた。

何で…あんな…慌てて逃げてんだ…?そして、右を向いた先にいたのは…


「あれは…雷の竜人……」


そう、雷竜だ。

そうか…あいつが今朝のニュースでやってた落雷事件の犯人って訳か…この落雷の破壊力は雷竜にしか出せないはずだ…てか…もしかして…あれ…暴走してるのか?…

でも、竜人の暴走事件は過去にも合ったけどニュースではもう起こることはないって…


「って!!何やってんだ俺!早く逃げなきゃ!あの落雷に巻き込まれる!!」


俺が走ろうとした瞬間。


「キャッ!!」


「ッ!!!?」


後ろを振り向くと転んでいる子どもがいた。

フードをしていて顔はわからないが体のでかさは小学6年くらいだ。

そして、その子どもの数十メートル先には雷竜がいる。


どうする!?助けるか?

でも、この距離じゃ助けに行ったところで落雷の餌食だ……

逃げるか…?子供を見捨てて…?


「クッ!!…」


そんな事出来る訳ない…

でも、俺は、フィクションの中の主人公でなければ特別な力もない…ただの…人だ…俺にあの子を助ける事なんて…出来ない…出来る訳がないんだ!だから……ごめん…俺は…君を見捨て……


「れる訳ないだろ!!!!!!!!!!」


俺は子供の元へ走る。


「クッ!!」確かに俺は何もない!!力も、勇気も、強さも!!

でも、子供すら見捨てて逃げるなら…俺は本当に何もなくなる!!

フィクションの中の主人公に憧れてもいいじゃないか!!主人公になれないなら…憧れて追い続ければいいじゃないか!!主人公なら…たった一人の子供を救えない訳…


「ないよなぁぁぁぁあ!!!!」


俺は転んでいる子供を抱き抱える。


「グァァァァァァァァァア!!!!」


雷竜の雄叫びと共に俺がいる、場所に落雷が落とされた。


「クッ!!」かすり傷くらいか…


「君!!ケガはない!?大丈夫!?」


と、俺はフードの子供に問い掛ける。


「だ…ぃじょぶ…」と、小さな声で答える。


「はぁ…よかった……うあぁあ!!」


また、落雷が落とされ、それを間一髪で避ける。

どうやら、さっき壊したビルの時に全力で落雷を落として威力が少し下がってるみたいだな…

とりあえず早く安全な場所に!!


「ッ!!」

俺が走っていると


「ぁ…の…聞きたい事が…あり…ます…」


と、フードをしている子供が言う。


「何……かな!?」


落雷を避けながら耳を傾ける。


「その…何で…私を助けてくれたんですか?…」


「…………」


答えづらい質問だった。

けど、答えた。


「何て言うか、人を助けるのに理由はいらない、とかそんなカッコいい理由だったらよかったんだけど…ただ…主人公になりたかっただけ、かな……」


自分で言っといて恥ずかしい…


「……あの……もう1つ質問いいですか?…」


「何?」


「その、契約竜とかはいるんですか?」


「いたらこんな風に逃げてないよ!!」


と、俺は、再び落雷を避けながら言う。


「ならよかった」


フードの子供は俺の頬を両手で押さえて、顔を近づけて来た。


「へ、何…」が?…


「んっ!」


何これ…唇に柔らかくて暖かいものが…

その瞬間、その子のフードは風に吹かれて取れた。

その姿は、とても濃い赤い、炎のような、髪の毛と、ちょっと垂れてる目の瞳はとても赤く、美しかった。てか…フードしてて気づかなかったけど、この子女の子だったの!?

てか…まって…そろそろ息が…


「ん!!んー!!んーんー!!ぷはぁ!!」


塞がれていた口は解放され、暖かい感触が仄かに残っていた。

てか…今…俺…き、キスされた……は、初めての…き、キスを……

ん?待て、てか、何でこの女の子は俺にキスを?え?ま、まさか…


「契約成立ですね、マスター」


と、無表情で言われた。

え!?てか…


「君!竜人だったのか!?」


しかも…今キスしたから俺の契約竜はこの子……ん?…


「あれ?さっきまであった傷が消えてる?しかも痛くない」


「私と契約した事によって治癒効果が発揮された見たいですね」


契約するとそんな事が出来んのか…


「って!それよりか色々話したい事が!」


「待ってください、まず、あいつを倒すのが先ですよ」


と、少女が指を指す先には。


「ッ!!雷竜!!」


そうだ!今はこっちだ…

距離がいつの間にかこんなに近く…

もう逃げるなんて選択肢はないな…


「仕方ない…腹をくくろうか…君の名前…教えてくれないか?」


と、僕は赤髪の少女に問い掛ける。


「私の名前は、火爪ひづめ あかねよろしく、マスター」


「俺の名前は、朝倉あさくら あおいだ、よろしく、茜」


俺達は目を会わせて自己紹介をした後共に正面を向き雷竜の方に集中する。


「それじゃあ行くよ…マスター」


「あぁ!!」


そして、茜が手を前につきだし言う。


「竜式解放」


茜の周りは火に囲まれ、そしてその姿を現す。

大きい翼に、角、そして、体中に纏っている炎。


そう、その姿はまるで、あの、


「まさか…あいつ…」


炎竜、その者だ。

この世に、竜人はいれど、炎竜の契約者は今だかつていないのだ。

炎竜の力はとても強力だと聞いた事がある。

そして、炎竜は、この世界でもっとも強いと言われる竜人だ。

つまり…俺が契約した竜人はとんでもないな…


「こりゃ…俺の出番は…ないかな…」


俺は、力が抜け、下の地面に座り後ろに両手をつく。

茜は手を前につきだし、唱える。


「《赤き炎の番人よ、炎竜の名の元にて命ずる、奴を食らい尽くせ》来て、イフリート」


茜の背後から全身炎で纏われている奴が現れた。

イフリートなる奴は真っ先に雷竜の方へと向かう。


「ガアァァァァァァァァァァァァァァァア!!!!!!!!!!!!」


イフリートは雄叫びをあげる。

そして、イフリートは雷竜を大きな口で丸飲みにしてしまった。


「焼き尽くせ、イフリート」


雷竜はイフリートの炎の胃袋の中へと包まれたまま灰になって消えてしまった。

そして、さっきまであんなに五月蝿かった耳鳴りや、雷の音は消え、とても、落ち着く、静けさへと変わった。

戦いが終わり、こちらを向く茜に俺は、一言


「お疲れさま…茜」


と言った。

俺は、これからこいつと


「マスター…」


「ん?」


主人公とヒロインとして


「これから、よろしく」


「……あぁ、よろしく」


新しい物語を作って行く。

俺はなりたい、フィクションの中の、主人公に。

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