早くも回想にはいるらしい
朔夜が勇者…?
そんなの、あるわけねぇだろ…
あいつは…そんなやつじゃない…
俺のイメージでいう勇者とは、滅ぼされた国だとか占領された国だとかのために旅に出て、最終的には魔王みたいな存在をぶっ倒す。所謂正義のヒーローだ。
正義のヒーローは平和のため、みんなのため、世界のために戦う超お人好しだ。そりゃうまく行けば報酬やなんか出るかもしれないし、綺麗なお姫様と一緒になれるかもしれない。
だがもし失敗したら…?
きっとお偉いさん達にダメ人間なレッテルを貼られ、魔王に鼻で笑われ、防具やら武器やらのために借金まみれ。ケガの治療費もあまりでなさそうだ。
相当いいやつできれいごとが好きなやつしかなれないな。
俺には無理だ。愛国心なんて持ち合わせてないしな。
というヒーローに果たして朔夜がなれるのか。
おそらく、いや、確実に無理だ。
俺がそう確信している根拠はあいつと俺の出会いにある。
今でこそあいつとは親友だが、馴れ初めは最悪なものだった。
俺は中学に入学した初日、人生初の一目惚れをはたした。なんの少女漫画のヒロインだ、と思いつつその子をチラ見してはそらす、という怪しい行動をとっていた。
それから二三ヶ月、ごく一般的な中学生活を送りつつ、その子との距離を縮めた。
そして夏休み前、勇気を振り絞って告白をした。
少女漫画と違う点は二つ。
俺が男だということ。そして…
あっさり振られてしまったということ。
「ごめんね、私朔夜君と付き合ってるの」
頬を赤らめていう彼女は完全に朔夜に惚れていた。
「気持ちは嬉しいんだけど…」
ゴニョゴニョと呟く彼女の声はよく聞こえなかったが、振られてしまったということはわかった。俺なんか全然眼中に入っていなかったということもわかった。
河内朔夜相手に勝ち目などないことがわかった。




