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ミチとサチと私とハルミ

作者: sisui

私の親友のハルミが死んだ


私の親友の三人ミチとサチとハルミ

2ヶ月前ハルミが死んだ


ハルミは写真が好きな女の子だった

いつもなんか写メしては私たちに送ってくれてた


そんな普通の子で優しくてちょっと抜けてて可愛くて大好きだった

でもなんだか人間かどうかもわかんないくらいぐちゃぐちゃになって死んでた


ミチはただ泣いてたサチは手を握り締めててなくより辛そうな顔してて

わたしはただ呆然としてた

それが黄色いテープを貼られて制服の警察がくるまでの話であっという間に部外者になってた

でも私たちは死んだハルミを見てた

しかもハルミはさっきまで写真を送ってくれてた

その最後の写真は緑のコートの男だった


私たちはハルミを殺したはんにんを 殺してやることにした


サチとハルミは特に毎日遊ぶか電話するほどには仲が良かった

「私が気付いてやれてれば良かったんだよ」

サチはいつもちょっとクールそうな雰囲気でスーツやパンツばかり着ていた

そのサチが言うには

「ハルミのやつ前から男に金貸しててどうしてなんだってやめろってのに聞かないし」


私たちはいつもハルミの写真を愛してたけどハルミはいつもちょっと問題のある男を愛してた

しかも暴力を振るわれても金を取られてもハルミは笑っていて

サチはそれを見かねて何度も忠告もして男を警察に通報しては怒っていた


ミチはそれを聞いてハルミはホント病的だよねって苦笑いしてた


ミチは仕方なさそうだけど悲しそうに泣いてるハルミの話をよく聞いてあげてた


ミチはでもそんなハルミを認めてて

「あそこまで好きなんだったらいーかなっておもうんだよね」

それも微妙な笑いを含ませてだけれど

「でもまーなんだろあんなふうに笑われたまま殴られて死んでたりしたら驚かないよね」

それってひどくないって私が聞くと

「驚かないけどさけど多分あたしさそいつのこと皮剥いで殴り殺すんだと思うの」


その時のミチの顔がなんだか笑ってるのに目が笑ってなかった


私はハルミのことをなんていってたんだろうか

わかんないけど、でも多分皆すきだったのに間違いはない


ハルミが死んでから一つわかってたことがあった

ハルミの携帯がきえてた

いつも肌身離さずもっててしかも死ぬ直前まで男を撮ったはずなのに

わたしたちは思ってた取られたことが知ってたのは

もちろんはんにんもそうだって


だからわたしたちに送ってるのも気づいてるはず


「やめよーよ危ないって」

ミチが花柄のスカートと緩く巻いたかみを揺らしながら言う

「でもこれしかないじゃん」

サチがスマホをタップしながらヒールをカツカツ鳴らして歩いてる


わたしたちの中ではいつもハルミが撮った写真の場所に集まる決まりだった

空いてる時間で近場ならいつもハルミのとこにいく

ハルミが中心で集まったらしゃべったり遊んだり気が向いたらご飯


そんなかんじはハルミがしんでからも起こるとおもってなかった


けど



しんだはずのハルミから写真がきてた


最初私たちは随分混乱しててとりあえず集まってしまったその時にサチがいった

「これ、ハルミころしたやつがおくってんじゃないの」

サチが静かにいったことがなぜか響いた

その写真の公園のベンチで

後ろから私は殴られた


意識がもどると病院だった

わたしはだれここはどことかゆーことにはならなかった

ミチがなんかわめきながら私のこと抱きしめて寝てて

サチがそばに立ってた


サチがいうには殴った男を追いかけてみたらしいけど逃げられてミチがすぐ通報したらしいけど

つかまらなかったらしい

サチがイライラしてた


そのあとも写真は送られてきた

包帯を巻かれた私のあたまはぐらぐら揺れながら二人についてゆく


「もーあたし確かにはんにんころしてやりたいけど死にたくないよ」

「じゃぁついてこなきゃいいでしょ」

「そんなこといわないでよ」

「二人共まぁまぁ」

「「あんたが一番ついてくんな」」


そんなやりとりをしながら結局私たちは犯人から送られる写真の場所に行く


揺れるサチのパールのイヤリング

ミチの光る髪

それだけが送られることもあった

もともと入ってたハルミのとった写真だ


ハルミの写真がわたしは大好きだったキラメク川面や空や夕暮れやサチの光る腕時計

ミチの変顔わたしの笑顔喫茶店のお茶の入ったグラス


特にガラス専門の食器店が一番のわたしのおきにいり

天気のいい日に入った光がガラスを照らす

磨硝子の緑の色が一番のおきにいり


それらがおくられるたび私たちがどんなおもいだったか

でもそれがおおきかったんだとおもうだから見つけた


「いた」

「みどりのこーと」

「はんにんだよね」


小声で会話する私たちの目の前には写真の男がいて人だかりの中に紛れてた

ガラスの専門店セール中でごった返している

サチが走り出した


あっという間に男が逃げ出す

悲鳴が聞こえてガラスが割れる

散ったガラスが日をはねかえし、それを私は撮る


ミチが警察に電話してる時私はミチを刺した


そして人だかりのなか

サチが男を押し倒し、いまにも男を包丁で刺そうとしていた

私はその男が見ている場所を知っている

私は呟いた


「しね」


くちびるをよんで彼は笑ってサチに刺されてくれた

その分ちゃんとサチにも男のサバイバルナイフが刺さっていたけれど

私は自分のサバイバルナイフを隠しながらサチに近づいて

サチの包丁と交換する

そのまま警察がきて


私はそのまま警察とお話しておうちに帰る


夜のその道の中

川が流れている公園を通るハルミが好きだったその道

ハルミの写真をスマホの画面にうつす

スライドしていく

いつも光り輝いて綺麗でかわいいものだけのハルミの写真

本人も写真とおんなじような女の子だった

中身のないからっぽな

でも写真はいつも美しいもので


私はハルミが大好きだ

けど、わたしのほうがもっと綺麗にとれる

だってミチもサチもとっくのまえに死んで笑うこともないハルミからの写真だと思ってた

ハルミをみつけるずっと前にハルミは死んでた

私はしばらくの間ハルミだった

ハルミみたいな写真を送れば二人はくる

でもハルミはたまに男が呼べば私たちを置いてった

だから三人で遊んだ

私はハルミになりたかった

ずっとハルミなんかになりたくてそんな自分が腹立った


だから一番好きな緑の写真の緑のコートを男にあげた

男もハルミが好きだったけど私がもっと彼に優しくしてあげた私のいうことはなんでも聞くように

だから男にハルミを殺させた

そのうちわたしの写真はハルミのものじゃなくなった

だからサチもミチもころした


でも包丁に写るわたしはやっぱりハルミじゃなかった

だから私は夜のぬるぬると光るまるで蛇みたいに蠢く川の中に包丁を捨てた


私は私のなかにあるハルミの写真を送る

今はもういないサチとミチに

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