謝っただろうか?
少し遠くのスーパーに、祖母と2人で買い物に出かけた。
近所のスーパーにしか行った事がなかった俺は、見た事のない商品を目にして多少テンションは高かった。それでも、逸れては駄目だと冷静になり、祖母の隣を歩いていた。
スーパー内を1週くまなく見て回り、どれか1つ好きな物を買ってやると言うから、お菓子を1つ、かごの中に入れた。
大人しくレジに並び、会計が終わるのを待って、サッカー台で袋の中に買った物を詰めていく手元を眺める。
すると、グルグルグルグルグルグルと、結構な時間ビニール袋を巻き取り始めたのだ。
ビニール袋をそんなに、何に使うのだろう?
不思議に思ったので、
「なんでそんなに取ってるん?」
素直に尋ねてみた。
しかし返事はなく、手に巻いたビニールを買い物袋の中に入れ、再びグルグルグルグルグル。
祖母はかなり格好付けだったので、いつもの祖母ならば考えられない行動である。
余程の事があるに違いない。
「いつもそんな取らへんやん。何に使……」
見上げた視線の先には、見た事もない人が立っていた。
誰!?
慌てて周囲を見渡してみると、レジの最後尾に並んでいる祖母を見つけた。
いつから!?いつから間違っていた!?
恥ずかしいので急いで祖母の隣に行き、もう逸れてしまわないようにと服の裾を握り締めながら歩いた。
こうして帰宅した訳なのだが、かごに入れた筈のお菓子は、何処にもなかったのだった。




