卒園アルバム
部屋の片付けをしていると幼稚園の卒園アルバムが出てきた。
懐かしさに負けてページを捲って行くと運動会とか、音楽発表会、劇と、色んな催し物毎に写真が載っていた。
年長組になってからの写真は、どれもこれも薄紫色の帽子を被った姿で写っている。しかし、餅つき大会と題されたページにだけは別の色の物を頭に被っていた。
周りの園児はちゃんとうす紫色の帽子だと言うのに、俺だけが明らかに違うものを被っている。
何をどう見たって白いネットだ。
こんな大層なものを被らなければならない大怪我をしたと言うのか?全く覚えにないんだが?
そもそも餅つき大会をした記憶がない。
これを一般的に記憶喪失と言うのだろうか?しかしそれ以前の事が思い出せるのだから、ここは瞼を切った時と同様に記憶のムラと言う事で良いのだろうか?
そう結論付けても気になるので、俺は卒園アルバムを持って親父の所に向かい、それを見せながら頭を怪我した事があるのかどうかを訪ねてみた。
「あぁ~、コレな。サチにこかされてテーブルで打った時のや」
ん?
可笑しい、それは瞼にある傷の理由だ。まさかその時に頭も一緒に?にしたって時期が合わない。
今度は母の所に向かって聞いてみる。
「あぁ~、サチにこかされた時やわ」
だから、それは瞼の傷だ。
自分の子供が怪我をしたと言うのに印象に残ってないのか?そんな怒りがこみ上げてきて、そのまま祖母の所へ。
「あぁ~、サチにこかされた時のー」
「それ瞼やん」
「ちゃうちゃう、2回あってん」
なに!?




