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SHORTで、俺。  作者: SIN
幼稚園 年少組
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朝食は?

 幼稚園には歌の時間や、遊戯の時間、工作の時間と、色々な事があった。

 明確にコレをしなさい、アレをしなさい、という時間の過ごし方は楽で良かった。それさえこなしていれば何も考えなくて良いのだから。

 対照的なのは登園してから1時間目が始まるまでの1時間程もある自由時間だ。

 サクラ組の教室ではお絵かき、スミレ組では折り紙と言った風に色んな催し物が開かれていて、園児達は自分のやりたい所に自由に行くというシステムだった。

 ナチュラルにボッチだった俺は、毎日毎日ただ幼稚園の小さいグランドの横にコンクリートで作られたタコの様なオブジェの上に座って時間を過ごしていた。

 グランド横には他にも滑り台やブランコがあり、毎日長蛇の列が出来ていたが、そんな園児達を上からボンヤリと眺めながら考えていた。

 どうやってブランコに乗ろうか?とかそう言う事じゃなく、1時間目が始まる前に必ずある発表の模範解答を。

 「皆は今日の朝、何を食べたかなー?」

 こうして背の順番に並ばされて前から答えさせられる。

 前にならえ!で腰に手をあてないバージョンをした事がない俺は、当然回答者1番である。朝食をとってない園児や、俺のように発表出来ない内容の朝食の園児が模範解答とする1番始めの答え、それを俺が担ってしまっていたのだ。

 「はぁーい、木場君は何を食べたのかな?」

 この頃の俺は既に知っていたんだ、コーヒーのカフェインは子供に余り宜しくないと言う事を。そして俺は毎朝コーヒーのみと言う朝食だった。

 これは模範解答にあらず、そう幼稚園児ながらに思ったのだろう、毎朝嘘の申告をしていたと言う大嘘つき野郎だ。

 初日には何も答える事が出来ず押し黙り、その態度に先生がキレ、授業が終わるまで教室に入れてもらえなかったという苦い経験があるので答えを焦らす訳にもいかない。だから朝の自由時間の間に寝起きでボンヤリとしている頭をフル回転させて考えなければならなかった。

 「牛乳と…煮干2匹です」

 やけに渋い好みをした幼稚園児だと思われていたに違いない。

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