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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 中学年

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怖い

 母の田舎は山奥にあった。

 山のふもとから母の家までは、乗り物に弱い俺では必ず酔ってしまうほどのグネングネンとした山道を1時間近くも登らなければならなかった。

 そんな山奥だからなのか、天候が崩れると一気に崩れる。雷注意報とか、警報とかがテレビではなく、玄関に置かれている警報機から流れるのだ。

 山の中にポツンと建っている家の周囲に避雷針なんてものはなく、雷が鳴り始めると家中の電化製品のプラグを抜いて、窓から離れた場所に座って待機。

 ピカッ ゴロゴロゴロ……。

 と、こんな生易しい雷ではなく、

 ビカッ! バリバリバリ!ゴゴゴゴゴゴゴ……

 と、恐ろしい轟音と共に地鳴り。

 雨も、

 ドォォォォ!

 まさにバケツをひっくり返したような雨である。

 それでも家の中にいれば安全だったので、俺は田舎の人は大袈裟だなぁ、なんて思っていた。

 ある日の事。

 俺は田舎のバァちゃんに言われ、山を少しだけ上った所にあるお地蔵さんへお供え物を持っていく事になった。

 お堂の前にお供え物を置くべきか、それともお地蔵さんの足元に置くべきか……少し悩んでいると、

 「雷警報、直ちに屋内に避難を」

 と、微かに聞こえてきた。

 見上げてみると、空は分厚い雲に覆われていて、ポツポツと雨が降り出していた。そして聞こえる雷の音。

 雨も降り出しているし、お供え物はお堂の中に入れよう。

 こうしてお供え物を全て置き終えた後、手を合わせてお辞儀をして、

 ビカッ! ドォォォォ!

 地鳴りを伴う轟音がきた。

 家の中ではなく、外で聞く雷の音は空全体から聞こえて来るようで、俺は恐ろしくて動けなくなっていた。

 そうだ、お堂の中で雷が通り過ぎるのを待とう。

 あれ?でもそれって罰当たり?

 どうしよう、走って帰ったら次に雷が鳴るまでに家に着くかな?

 ザァァァァァ。

 雨脚が急に強まり、俺はその瞬間家に向かって駆け出していた。雨が降っているのだからお堂の中に入った方が濡れずに済む筈なのに、急に帰らなければならない気がしたのだ。

 下り坂を扱けそうになりながらも全速力で走って、家の中に飛び込んで、濡れた髪をタオルでふきふき。

 ゴロゴロゴロゴロ……。

 ゴゴゴゴゴゴ。

 音は地味なのに、1回1回地鳴りがする。

 カッ!

 部屋の中が真っ白になる程の、強烈な光が見えた。その直後に聞こえた物凄い音は、どう表現したら良いのだろうか……とにかく、かなり近くに雷が落ちたのだ。

 パタパタパタ。

 「バケツ持ってきて!」

 そう言って母の弟が慌しくやって来る頃には雷は随分と遠くに行っており、親父は外に転がっていたバケツを持ってオジサンの後に続いて山を上っていった。

 ついさっき下ってきた山道を俺も一緒になって上っていくと、バケツリレーをしている男達が、必死になって消火活動を行っていた。

 燃えていたのは、さっきまで雨宿りをしようかと悩んでいたお地蔵さんのお堂。

 雨が降っている中、いくら水をかけても火は消えず、終には崩れて、なくなってしまった。

 俺のせい?何か間違った?

 翌日、お堂の様子を見ようと山を上ってみると、そこには煤けたお地蔵さんがぽつんと立っていたのだが、その顔は怒っているかのように見えた。

 それ以来、俺はお地蔵さんの顔を見る事が出来ないし、雷が鳴り始めるとヘッドフォンで音楽を聞いて誤魔化さなければならなくなった。そうしないと恐怖で動けないのだ。

 ええ、未だに。

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