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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 中学年

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アタリ券

 近所にあるタバコ屋には駄菓子も売られていた。

 祖母から毎日50円~100円のお菓子代を貰い、俺と弟はその駄菓子屋へと駄菓子を買いに行った。

 弟は最後の10円で色付きの福引ガムを毎回買っていた。

 福引ガムとは、何種類かの丸いガムが箱に入っていて、ボタンを押すと1つ出てくるという物で、オレンジのガムがハズレで0円、青色のガムが大当たりで50円だった。

 当たった分の金額分、追加でお菓子を買うのを楽しみにしていた弟に対し、俺はアタリ付きの駄菓子を買う。

 食べる前にアタリかな?と毎回ワクワクしたものだ。

 大体はハズレるのだが、アタリが出た時にはスグにタバコ屋には持っていかずにポケットの中に入れた。

 服を洗濯する時は忘れずに券を取り出し、イザと言う時の為に大事に、大事に。

 そうしているうちにアタリ券は10枚ほどまでたまっていたと思う。

 班に分かれて「お楽しみ会」の出し物を決めるべく、班長の家に行った時の事。

 班長の家の近くにも駄菓子屋があったので、とりあえず皆でお菓子を買う事になったのだが、俺はその時サイフを持っていなかった。それでも皆がお菓子を買うので、俺も何か買わなければならない状況に追いやられてしまった。

 ポケットの中にはアタリ券が10枚程。

 アタリ券が出たお菓子はその店にも売られていたので、俺は結構堂々とアタリ券を店のオバサンに手渡したのだった。

 「交換できん!」

 そう強めに拒否されるとは思わずに。

 同じ班の皆は大人の言う事は正しいとの見解だったらしく、アタリ券をつき返されて恥ずかしい思いをしていた俺に対して、タダでお菓子が貰えると思ったアホ。と、からかってきた。

 今思えば、アタリが出た店で交換するのが普通だとか「交換できん」の言葉の意味が「買ったお店で交換してね☆」だと分かるが、当時の俺にはさっぱりで、アタリ券でお菓子がもらえる訳じゃないのか。と解釈した。

 なんにせよ、大事に持っていたアタリ券はただのゴミだった訳だ。

 その後しばらくの間、俺はアタリ券が出るだけでその事を思い出し、アタリと言う言葉を聞くだけで「交換できん!」と言ったオバサンの怪訝そうな表情を思い出し、アタリと見るだけで嫌悪感が出るまでに。

 このアタリ恐怖症とも言える状況が治まったのは、近所のタバコ屋で弟がアタリ付きのガムを買った時だった。

 ガムの包装紙の中から出てきたのはアタリ券。

 「わーアタリ出たんやねぇおめでとう」

 と、店のおばあさんはニコニコした表情で弟にガムを1つ手渡すではないか。

 そして俺は結論を出した。

 アタリ券が使えるのは低学年までなのだ。と。

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