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SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 中学年

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肝試し

 昔、家の近所には1階建ての完全木造の家があった。

 住んでいたのはおばあさんが1人。

 窓から顔を出して道行く人を見ていたので、弟を公園に連れて行く時には毎回顔を合わせていた。

 視線が合うと、おばあさんはニコリと微笑みながら頭を1回下げてくる。だから俺も同じように頭を下げていた。

 雨の日は窓が閉まっていたが、晴れた日は毎回そんな挨拶をしていたある時、晴れているにもかかわらず窓が閉まっていた。

 病気だろうか?

 単純にそう軽く考えていたのだが、おばあさんは本当に病気だったらしく、そのまま窓が開く事は永遠になくなってしまった。

 こうしてその木造の家は空き家となり、いつしかオバケが出るとの噂が広がった。

 「ホンマかどうか見に行こうや」

 クラスの男子が声を上げると、怖いもの見たさなのか何人かが行こうと同意し、何故か家が近いと言う理由だけで俺も行く事にされてしまった。

 放課後、その家の前まで来るクラスの男子は、教室での勢いを失ったように無言である。

 オバケなんか出る訳ないと思っていても、かなり雰囲気のある木造の家。

 誰も住まなくなってから結構な時間経っているので、庭先にあった花壇も荒れているし、物置の戸も腐食していて気味が悪い。少しだけ開いている物置の中にあるのはボロボロの手押し車。

 怖い、帰りたい。そう思ってもクラスメート達は中に入るつもりでいるようで、ガタガタと窓を開け始めた。

 玄関には当然鍵がかかっているので、出入りは窓からする事になっていたらしいのだが、その窓は毎日おばあさんが顔を出していた窓。

 窓が開き、先頭にいる男子が家の中に入ろうと気合を入れた時。

 「にゃー」

 猫が鳴いた。その瞬間、

 「ぎゃぁ~~~」

 と、逃げて行くクラスメート達。

 その後姿を見送った俺は、今回1番ビックリしただろう野良猫をヨシヨシと撫ぜ、何故そうしたのかは分からないが、

 「お邪魔しました」

 と、会釈してから窓を閉めた。

 必死に家の中を見ないようにしながら。

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