図工の授業
図工の授業中、何故か全員グランドに整列させられた。
何をするんだろうか?と、周りがザワザワする中で先生は声をあげる、
「運動場に出来るだけ大きく絵を描きましょう」
と。
生徒達はまずグランドにある小石を手に入れ、それを使って思い思いの場所に絵を描き始めた。
普段絵を描いている自由帳や画用紙とは桁外れに大きなキャンバス。
手を伸ばして大きく人物を描く女子、至ってマイペースにこじんまりとした車を描く男子、ただひたすら大きく円を描く者、そしてそんな生徒達に向かって、もっと大きくと呼びかける先生。
俺はグランドの右奥に向かって歩き、縦書きで「への」と書き、左奥にも同じように「への」と書いた。それからグランドの中心に「も」朝礼台の所に「へ」と書き、グランドをグルリと1周線を引きながら歩き、初めに描いた「への」が見えてきた所で「゛」と描いた。
クラスで1番大きな絵を描いたのは、間違いなく俺だったのだろうが、大き過ぎたらしく、先生は俺の絵には気付かず、手を懸命に伸ばしながら人物を描いていた女子を賞賛した。
何事もやり過ぎては駄目なのだ。




