表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SHORTで、俺。  作者: SIN
小学校 低学年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/485

初めての

 登校前の眠気に耐える苦行中、ランドセルを背負った所で奇妙な感覚に襲われた。

 いってらっしゃいと声をかけてくる祖母の顔が認識出来なくなっていたのだ。

 これは誰だ?

 いや、祖母ですよ。

 それは分かってるけど、これは誰なんだ?

 だから祖母ですよ。

 そんな自問自答を繰り返しながら祖母の顔を見つめるが、見れば見るほど別人に見えてくる。だからと言って知らない人に感じないのだから不思議で、俺は確認のために声を出した。

 「バァちゃん」

 心配そうに俺を見る祖母の顔はまだ別人に見えていたが、声を出す事でこの顔は祖母だと自分の中で区切りが付いて、妙に納得した。

 これで一件落着、安心して学校に行こう。

 そう玄関に向かい、靴を履こうと出した足と腕。

 これは、誰だ?

 自分だと分かるのに分からない感覚に慌てて鏡の前に立つ。そこに映っているのはランドセルを背負った1人の子供。

 誰なんだろう?

 鏡に近付いてジックリと眺めて見るが、さっきの祖母と同じ感覚で誰だか分からない。

 鏡に映っている時点で自分だ、にしたってコレは誰だ?

 再び感じる不快感に、俺はまた声を出した。

 「誰だ?」

 その瞬間、俺は一気に恥ずかしくなって慌てて玄関に戻った。自分の声を聞いて思い出したのだ。コレは自分だと。

 これが初めてのゲシュタルト崩壊経験だったと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ