パンツ
着替えようとタンスを開けると、パンツが1枚もなかった。
季節は梅雨時、きっと洗濯が間に合わなかったのだろうがパンツがないのは一大事である。
仕方なく別のタンスを開けてみると、色とりどりのパンツが並んでいた。ピンクのドット柄、アニメのキャラがプリントされてある物、毛糸。
こうして俺が手にしたのは、何度も洗濯されて色が落ち、見ようによっては白に見えなくもない淡いピンク色のチェック柄、フリル付パンツだった。
なんとかノーパンで過ごす事を回避でき、何事もなく行った学校。
ズボンの中でずれ落ちるパンツをなんとか押さえながら過ごした午前の授業が終わり、残す授業は午後の2時間だけ。しかし、5時間目の保健体育の授業は・・・。
「身体測定やから保健室に移動~」
身長を測り、体重を量ると言う簡単のものなのだが、体重を量る時はパンツ一丁にならなければならないと言う決まりがあった。
どうしよう、どうしよう!
フリルをハサミで切る?フリルの部分を内側に折る!?
そんな小細工が施せるだけの余裕は心にも、頭にもなく、フリフリパンツ姿をクラスの皆に披露する事になった。
誰でも良いからツッこんでくれれば「いや違うねん~」と言い訳が出来るのだが、皆は最後まで無言だった。




