結核
シマが体調を崩して病院に行った数日後の事、シマが俺に結核検査を受けて欲しいと言ってきた。
シマの体調不良の原因は結核だったのだ。
よく接触している人物が全員検査を受ける事になったと言うので、俺はシマのお袋さんとシマの3人で保健所に行った。
親父さんは別の場所で検査を受けたのだとか。
問診とかレントゲンとかだけなら良いのに、そう簡単ではなく拒否権が全くないままに注射をプスリ。
検診から数日後、診断結果を聞きに再び3人で保健所に行って下されたのは、俺への感染だった。
お袋さんには問題はなく、半年後にもう1度レントゲンをしに来てくださいと言われただけだったのだとか。
保健所からの紹介で病院に行き、そこでイスコチンという聞き覚えのある薬を貰った。
それはシマが飲んでいるのと同じ薬で、なにやら注意書きが沢山あった薬。だったのだが……俺が行った病院では特に何の注意もなかった。
「ちょっと見せて」
と、シマに注意書きを見せてもらって初めてマグロやカツオ、チーズやら赤ワインと飲み合わせては駄目だと知った。そして発症率は低いとは言え副作用が多い事も。
10ヶ月も飲み続ける薬の説明を怠るなんて、医師としてどうなんだ?と、初めから不信感満載だったその病院。
病院での検診は、血圧を測り、体温を測り、問診をした後薬を受け取るだけの内容だったが、何度かに1度寝台での脇腹触診も行われた。
「この辺りは痛くないですか?」
と、まぁ痛い事が当然であるかのような言い方で聞いてくる。
「いえ、特に痛みはありません」
そう答えた後、医師は小首を傾げながら、
「可笑しいなぁ」
と小声で言うのだ。
発症率は低いとは言っても、内蔵の何処かしらは弱るものなのだろうか?それでも俺は10ヶ月間脇腹の辺りが痛くなる事はなかった。
それはシマも同じだったようなのだが……俺は視力が落ち、シマは若干うつになった。




