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SHORTで、俺。  作者: SIN
高校 3年

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謎のイベント

 卒業を控えたある日の事、1年から3年まで全校生徒で演劇を見に行く。という大規模な遠足っぽいイベントがあった。

 クラス順で、しかも出席番号順に並んで座る予定ではあるが、演劇が始まる前にはそんな席順なんてものはあってないようなものとなり、あちらこちらから「席変わって」とのヒソヒソ声が聞こえてきた。

 それに混じって、男女の声で「浮気がバレたのは私のせい」「良いよ、1発殴られただけやし」「ゴメンな……でも別れる気はないねん」「分かってる」などという生臭い会話も。

 こうして演劇を見てみれば、それはかなり古傷を突くような内容となっていて、見ている途中から気分が悪くてしょうがなかった。

 なので、この時点で少々機嫌は悪くなっていたのだと思う。

 演劇が終わった後は卒業生を祝う為の催しとして、ミュージシャンを目指していた教師による作詞作曲のライブが開催された。

 1曲目が終わり、2曲目は誰もが知っている有名な曲だったので、教師は「皆一緒にー」みたいなノリだった。するとギターを持った本橋が舞台上に乱入し、勝手なのかそれとも演出だったのか、一緒になって歌い始めた。

 ポロロン、ポロロンと不協和音を奏でる本橋に、演劇を見る前は生臭い会話を繰り広げていた男女も「ひっこめー」「黙れー」である。

 とは言っても、ブーイングしているのは一部の生徒達で、大体の生徒達は本橋に声援を送っていた。主に後輩らが。

 教師が歌を披露したのは、卒業生を祝う為なのだとハッキリ明言していたし、歌い終わった後も「3年の皆さんはー」みたいな挨拶もしていて、思い出話まで。

 それなりにしんみりとする3年生。

 教師の話が終わった後、そのマイクを奪うようにしてとった橋本は、後輩らが座っている方を指差し高らかと言った。

 「このライブを、2年の○○に捧げる!学校辞めても真っ直ぐ歩けよ!」

 と。

 3年を祝うライブが、急に学校を辞めていく2年の誰かに捧げられてしまった訳だ。そうして続く本橋の弾き語り。

 何人かの3年生は盛大なブーイングを本橋に送り、ライブを捧げられた生徒とその仲間達は歓喜し、何人かの3年生は興味なさそうに友人との会話を始め、そして何人かの生徒は端に座っている担任に挨拶だけして帰り始めた。

 本橋が何曲弾き語ったのか、その後何が行われたのかを俺は知らない。

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