合いの手
文化祭は劇でオリジナル。
庄司さんも他の活発な生徒達も会議に遅れてくるようになると、残った俺達はもう「何を決めた所で無駄である」事が分かっているので無駄話位しかする事がない。そしてそれを見た庄司さんが、
「真面目にやろうや。俺だけやん頑張ってるん」
とか言い出し、他の活発な生徒達が、
「ホンマホンマ」
「そうそう」
とか同意する。
じゃあ勝手にやってくれ。と言えないチキンな俺は、取り合えず台本を書こうと声をかけた。
「は?台本の前に登場人物やろ(笑)」
人を馬鹿にしているのか、元々なのか、庄司さんは笑いながら喋るもんだから、煽り耐性のあまり高くなかった俺はますますやる気がなくなってしまうのであった。
大体の流れが決まり、登場人物も決まっていくが、クラスの人数を考えると圧倒的に少ない。
「……高校最後って言うなら、全員1回は舞台に立てるようにしたら?」
メモを取っていた男子が、お手本みたいな意見を言うと、
「んー……それは難しいかなぁ」
と、庄司はまだ台詞の半分も決まっていない台本を眺めながら拒否。
「難しくないような設定にするとか、役柄を増やすとか……」
まだ男子が意見を言う。
「いや、これはもう完成されてるやん」
と、まだ半分も台詞が決まっていない台本を眺めた庄司が言う。
「今決まってるんは流れだけやん。脇役とか足せるやん」
まだ男子が意見を言い、
「無理無理、人増やしたらグダル」
庄司が拒否。
「オリジナルの時点でグダル事前提やん」
それは練習量によるだろう?と思われる事を言った男子と、
「は?」
会話を諦めた庄司と、
「は?」
男子。
ちょいちょい入るのは女子達の庄司への賛同を示す「ホンマホンマ」「そうそう」という合いの手。
じゃあ、こうしよう。
「最後に、小道具係はこの人らでしたーみたいに全員舞台に立たせて紹介してったら?」
めんどくさくなってそう言った俺に対し女子達は、
「ふーん」
「えぇんちゃう?」
と賞賛してくれたのだが……少しだけ「ホンマホンマ」「そうそう」を期待していた事は秘密だ。




