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SHORTで、俺。  作者: SIN
高校 3年

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数珠

 俺は霊的な物は信じていない。何かが見えても、何かが聞こえても、ビタミン不足による幻覚と幻聴で説明が付くし、心霊写真だって今の時代いくらでもそれっぽいのが作れてしまう。

 しかし、幽霊否定派ではあるが幽霊が存在しないと強くは言い切る事は出来ない。

 極稀に幻覚や幻聴では説明の付かない現象が起きるからだ。

 それは、ゲームセンターに来ていたスピリチュアルグループの人から数珠を貰った所から始まった。

 その人曰く、ちゃんとした水晶で作られた数珠だと言うが、同じスピリチュアルグループだったキラに見せた所、本物かどうかは怪しいとかなんとか。

 キラ曰く、遊び半分の軽い気持ちでそういう物をアクセサリー代わりにするのは良くない。と、結構真剣に怒っていた。けれど、年上の人から貰った数珠なのだからゲームセンターに行く時はつけていた方が角が立たない。

 そんな理由から俺は少しの間スピリチュアルグループに入って“遊び半分ではない”事の証明をしようとしたのだ。

 まず言われた事は、気をためろ。だった。

 こうして気をためる特訓が始まり、結構すぐに終わった。その理由はどうやら俺はちゃんと気をためられるようになったからだとか何とか。

 「どんな感じする?」

 と聞かれた時、丁度指先が痺れ切れたようにピリピリしていたので、それをそのまま伝えた所、それが気だと言われたのだ。

 次に言われた事は、極限まで気をためろ。だった。

 良く分からなかった。

 物凄く良く分からなかった。

 それっぽく手を合わせてみたり、それっぽく腹に力を入れてみたり、それっぽく目を閉じてみたりしたが、やっぱりよく分からない。それなのにスジが良いとか褒められる。

 こうなればもう遊び半分ではないだろうと自分なりに納得が出来たので、俺はここでスピリチュアルグループから抜け、元のベンチグループに戻った。

 左手首には1本の数珠、かなり長い時間愛用していたので愛着もわき、かなりお気に入りになっていたその数珠は、お風呂の時以外は嵌めたままにしていた。

 ある日、俺は夢を見た。

 体の彼方此方を切られるという結構な惨劇が繰り広げられる悪夢で、左手首を切り落とされる夢だった。

 その夢を見た日の昼下がり、左手首が急にピキーンと鋭く痛み始めたではないか。

 丁度捻挫した時のような痛みだったと思う。しかし特に動かしてもいない手首が急に捻挫するのは不自然だ。

 ズキン、ピキーン。

 とにかく痛いので湿布を張ってみる事にして数珠を外そうとしたのだが、その瞬間に数珠は切れ、珠がバラバラと転がってしまった。

 慌てて拾い集めようとした手を止めてじっくりと眺める。

 「痛くない?」

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