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SHORTで、俺。  作者: SIN
高校 2年

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決別

 留年という恐ろしいものがある高校。

 俺は学年末テストで赤点はとらなかったのだが、通知表には赤点があった。それは英語と体育。

 真面目に授業は受けていたというのに、まさかプールの授業を全部見学しただけで赤点になろうとは。

 赤点は3つ以上あれば留年決定で、更に不運な事に俺達の1つ下から制服が変わっている。

 俺達の代は男子は学ランで、女子は紺色のブレザーと紺色のスカートだったのだが、1つ下からは男子もブレザーになっており、デザインも一新。紺チェック柄と言う近代風になった。

 留年生は新しく制服を買わなければ晒し者にされてしまうのである。

 留年決定組が繰り広げる会議は、新しい制服を買うかどうかではなく、単位制の学校に行くか、働くか、の2択だった。

 そして折角進級出来た奴でさえ、

 「一緒に学校辞めよっか」

 とか言い出す始末である。

 こうして始まったのは、無事にメグと卒業しよう大作戦、だ。

 メグは特にヤンチャな性格と言う訳ではなく、むしろ1人でいると真面目なタイプの人間だ。しかし、周りに影響されやすいというか、流されやすいというのか。悪い奴と集まればそれなりに悪くもなれる奴だった。

 そんなメグは、1人暮らしをしているキラの家に転がり込み、そこで寝泊りをしていた。

 俺の家の裏手には駐車場がある。その横にはビルがいくつか建っていて、コンビニがある。そのコンビニの上はマンションになっており、そこの1室がメグの居候部屋。

 かなり、近い。徒歩にして2分あれば到着出来る距離だった。

 夜な夜な駐車場で喧嘩が始まったり、泣き声が聞こえたり。いちいち窓を開けて確認はしなかったが、きっと騒動の当事者とは顔見知りだっただろう。

 朝、登校前にマンションに向かう。

 「用意しぃや、行くで」

 鍵すらかかっていない玄関のドアを開け放ちながら声をかけ、行かないと言い張るメグを説得する。

 高校は出といた方が良い。と大声で言いたい所ではあるが、部屋に溜まっている人間に中卒者が多数いたので言葉を濁すしかない。

 そうすると、不思議な事に伝えたい事が全く通じなくなるのだ。

 捩れまくる説得が通じる筈もなく、メグは1ヶ月に1回学校に来れば良い方となり、結局出席日数が足りなくなり留年が決定。そしてそのまま学校を辞めてしまった。

 それからも学校に行っていた俺の所にメグがやって来たのは夜中の事、駐車場から大声で、

 「木場ぁ!出て来いや!」

 と怒鳴られては出て行かない訳にもいかない。そもそもご近所迷惑だ。

 急いで駐車場に行くと、

 「一緒に辞めるって言うたくせに、裏切り者!」

 嫌悪感むき出しの顔で叫んだメグ。だけど、俺は1度たりとも辞めるなんて言っていない。寧ろその逆で、一緒に卒業したかった。

 散々喚き散らしたメグは翌日には地元に戻ったようで、それから1度も会っていない。

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