今何時?
今何時?そう聞かれたら例え後5秒で31分になろうとも大体皆30分と答えるだろう。今の俺でもそう答える。しかし、小学生の俺はそうじゃなかった。
時計の読み方を授業で軽く教えていた先生が、はい、今は何時ですか?と聞いてきた。その時にあてられたのは俺、時間は5分だったのだが、後20秒程で6分になると言うタイミングだった。
時間から言った方が良いのか、秒まで言った方が良いのか、そんな事を考えている間、先生は俺が時計を読めないと思ったらしく、かなり丁寧に、
「ほら、長い針が1の所にあるよね?」
と、ヒントを出し始め。クラスメート達も
「こんなんも分からんの?」
と。
ザワザワし始めた教室の中、6分であると答えるタイミングを完全に失い、だったら6分10秒に答えようと思ったのだが、当然先生やクラスメートが黙り込んでいる俺を待つ訳がなく、今何時?の問題は他の子が答えた。
その子は6分になって、更に何秒か過ぎた後にもかかわらず5分と言い、先生はそれを正解だと言った。
大体で良いのか!
こうして俺は少しずつ時間に囚われない人間に育っていくのであった。




