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SHORTで、俺。  作者: SIN
高校 2年

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小学校の教師

 その日、俺は創立記念日で休みだったゲームセンター仲間に便乗し、学校をサボって何人かと駅前にいた。

 特にやる事はなかったのだが、ゲームセンターもまだ閉まっているような時間だったので歩道橋の階段に座り込んで自動販売機で買ったジュースを飲みながら喋っていた。

 10時になったらゲームセンターに行くか、それとも他の場所に行くか。

 そんな議題が脱線しまくった会話を繰り広げていると、正面から団体さんが歩道橋に向かって真っ直ぐ歩いてきた。

 それは今から遠足に行くのだろうと思われる小学生の列で、1人の教師が先導して真っ直ぐ、俺達の座っている歩道橋へ。

 何人かはボンヤリと小学生の列を眺め、また何人かは小学生の邪魔にならないようにとそそくさと階段から降りて道の端に避ける。俺は、座ったままボンヤリとする1人。

 だけど、小学生を眺めていた訳ではなく、先導している教師を無意識的に睨みつけたまま動けなくなっていたのだ。

 何故ならその教師は、小学校高学年の時の担任だったのだから。

 この贔屓しまくり教師から俺は贔屓にされていない生徒として、今思えば完全な体罰やらいじめやらを受けていた。

 そんな奴に譲ってやる道などない。

 「おいSIN、邪魔になるって」

 「こっち来いって」

 普段はベンチで大騒ぎしているゲームセンター仲間も、朝の明るい場所では良い子だ。

 俺だって良い子とまではいかなくとも、自分のこの行いが子供のお手本には決してならない行動だと理解している。だけど、動けないものはしょうがない。

 ギューっと心臓が締め付けられるような感覚と、息苦しさ。だけど教師から視線を外す事もできずに立ち上がる事すら出来ない。

 それでも小学生を引き連れた教師は近付いてくるものだからパニックになる。

 何故だか、自分を殺しにきたのではないか?とまで考え付く始末で、そうなるとまたパニック度合いが増し、殺される前にやらなければ!と、手がポケットに中に伸びた。

 ポケットの中には多目的ナイフが入っていて、それをポケットの中で思いっきり握り締めた。

 間合いに入った所で、一気にやってやる。

 足が異様に震え、汗が背中を伝うほどに流れ、暑いのか寒いのかも分からなくなり、ただ息苦しくて心臓が痛い。

 来る、来る、来る!

 「おい、邪魔やって言うてんの!」

 いつまでも動かない俺に痺れを切らしたらしい仲間の1人が腕を引っ張ってきて、端に避ける形となった俺の横を教師は、

 「すいません」

 と小声で言ってから通り過ぎていった。

 道をあけた事に対する言葉であると瞬時に理解は出来たというのに、何故だろうか、心がスッと晴れた気がした。

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