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SHORTで、俺。  作者: SIN
高校 2年

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嫌いやわー

 特に何の相談もなく、突然メグがバイトを辞めた。

 しめの日までシフトが入っていたが、辞めると明言してからは1日たりとも来なかった。

 一応「風邪を引いたので1週間休みます」との連絡がマスターにあったらしいのだが、その割には元気そうで……だけど元気そうでもなく。

 身体は元気でも精神は安定していないように見えた。

 原因なんてものは浮気性のキバーさんしかない。

 メグ達はまだキラの部屋を溜り場に使っていて、キラに聞く所によると許可を求めて来たのはシマとメグと、数名の女子だと教えてくれた。

 つまり、ベッドの上を占領している年上男も、キバーさんも無許可なのだ。

 2人はきっと、年上の自分が年下に許可を得る事などない。とか思っていたのだろう。

 キラの許可を貰った俺は時々メグの様子を見に行き、キラが出来る限り全うな生活を送れるようにとご飯を作り始めた。

 するとメグも手伝ってくるようになって、何人かの女子も。

 買い物はキバーさんとメグの2人に任せ、部屋の外で2人きりになれる時間を作った。

 余計なお世話だったのかも知れないが、泣きながら「もう嫌だ」と言ったメグをどうにかしてあげたかったのだ。

 まぁ、俺は俺で「もう嫌だ」だったのだが。

 少し愚痴るなら、ベランダに生ゴミをそのまま捨てて虫を繁殖させている部屋の掃除なんて大変過ぎるし、料理が得意と言う女子に洗米を頼んだら洗剤を手に取るし、ちょっとシャワーでも浴びようと入ったバスルームは……とりあえず汚い。

 と、こんな感じだったので、何度も部屋にはお邪魔したが泊まった事は1度もなかったりする。

 シマは何度か泊まった事があったのだが……シマが泊まる時に限ってベッドを占領している年上男とキバーさんは帰宅していたらしい。

 シマはキラの部屋にあるパソコンでマージャンをするだけなので、部屋に溜まっている女子とどうこうする訳でもなく大人しい。その上迷惑な年上男とキバーさんを追い払って?くれるので、キラは毎日でも泊まりに来て欲しいとシマに言うほどだった。

 年上の男からしてみればシマも年下になる。それなのに明らかに避けていた理由を俺は知らないが、キバーさんがシマを避けていた理由なら聞いた事がある。

 あの「誰とでもそこそこ仲良くなれるオールマイティーグループ」の1人であるシマが「嫌いやわー」とハッキリ言ったのがキバーさん。

 その切欠は、1つのバイク事件。

 シマのバイクが何者かによって盗まれて、警察から「バイクが見つかったから取りに来て」と言われていた同時期に、キバーさんはバイクの窃盗犯として警察に取調べを受けていた。

 警察に「このバイクはどうしたんだ!」と言われたキバーさんは「知り合いから買った」と言い「誰から?」との質問に対し、当時は全く面識もなかったシマの名前を出したのだ。

 シマの名前を聞いた警察はシマの家にパトカーで向かい「バイクの事って言えば分かるな?」と。この時シマは自分の盗まれたバイクの事だと思ったので「はい、分かります」と答えてパトカーに押し込まれ、ご近所の方々が見ている前で堂々と連行された。

 バイクの窃盗と、盗んだバイクを知人に売りつけたとして警察から攻めてたてられてやっと状況を把握したシマは「知らない」と言い続け、根負けした警察にキバーさんの居る部屋に連れて行かれたそうな。

 驚く事に、シマはこの時がキバーさんとの初対面だったという。

 「こいつにバイクを売ったな?」

 仕上げとばかりに発した警察の言葉にシマは、

 「え?誰?」

 と答えるしかなく、事細かく嘘の供述をしたキバーさんの言葉を信じきっている警察は、

 「嘘つくな!全部知ってるんやぞ!」

 と強く怒鳴るしかない。

 その後も延々と続く「知らない」「嘘つくな」の激しい攻防がキバーさんの最小の良心に響いたのだろう、かなりの時間がたった後、

 「キミ、この人からバイクを買ったんやろ」

 とのキバーさんに向けられた警察の質問に、

 「知らない人です」

 と答えたらしい。

 シマは無事に釈放され、翌日には自分のバイクも戻ってきたそうな。

 この話を聞いた直後、俺は色々と混ざる憎悪から「キバー、なんなんアイツ!めっちゃ嫌いやわー」と口に出し、それを丁度やって来たメグに聞かれると言う奇跡を起こした。

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