ゼブラ
文化祭当日。
準備期間中はほとんど学校に来なかったメグだが、当日はしっかりと登校してきた。その理由は恋人のキバーさんが来るから。
行くとハッキリと言い、自分から招待券を強請るほどだったのだとか。
他にもゲームセンター仲間を招待したので、てっきり皆で固まって来るのかと思っていたのだが、数人ずつの小グループでやって来た。
最初に来たのは、目を疑うほどの派手な格好をしたシマを含めた3人組。
まだそんなに寒いという季節ではない中でのコート、ゼブラ柄。瞬く間に「ホストが来た」と噂する同級生達。
「……迎えにいかなアカンのかな……」
「……俺らが呼んだんやし……」
門まで迎えに行くなり人々の視線が俺達の方にも集まる。
そんな視線を無視し、とりあえず演劇の公開で常に薄暗い体育館内に一直線。端っこの方の席に座ってもらって、軽く尋ねる。
「なんでそんな格好なん?」
すると、
「目立つやろ!」
と。
なんだか物凄く得意げだったので、それ以上は何も聞けずに笑っておく事しか出来ない俺とメグ。
うん。よし、別行動にしよう!
「じゃあ、好きな所見て来ぃな。お勧めはどっかのクラスがやってるオバケ屋敷な」
「楽しそうやん」
「行って来るわ」
と、シマと一緒に来ていた2人は体育館から出て行ったのだが、肝心のシマは移動せず、
「SINのクラス劇やろ?見てくわ」
との事。
俺のクラスの出番は最後から数えた方が早かったので、その日シマはズット体育館の薄暗い体育館の端の方の席にメグと共に座っていて、俺は途中から劇の準備と、幕引き係の仕事もあるのでそこそこ忙しかった。
シマとメグに合流出来たのは一般客の退出時間の少し前になってからの事。
何度も携帯を確認し、時々何処かに電話をかけていたメグ。相手はきっとキバーさんだったのだろう……。
しかし、メグの恋人は音信不通のまま文化祭に来る事はなかった。




